スラムが新たにリリースしたダウンヒル用ブレーキ〔メイブン〕と昨年、デリバリーが開始されて話題を集めるドライブトレイン〔GX イーグルアクセストランスミッション〕。ここではスラムの正規輸入元であるダートフリークの川村さんからそれぞれのメリットについてお話をうかがいました。タグバイクの店長、福冨さんによるインプレッションも必読です!
SRAM(MAVEN & GX Eagle AXS Transmission)
問:ダートフリーク
☎ 0561-86-8301
https://www.dirtfreak.co.jp/
SRAM MAVEN BRONZE
スラム メイブンブロンズ
価格:3万5200円(税込)
上位モデルの性能を継承しつつ、いくつかの機能を省くことで、ストッピングパワーを犠牲にすることな く、低コスト化を実現したスタンダードタイプ。どんなバイクにも合わせやすいダークポーラーアルマイト仕上げ。
●19.5mm +18mmの対向4ピストンキャリパーが生むクラス最高のストッピングパワー
●コントロール性とクイックなレスポンスを両立するスイングリンク搭載
●4ボルト固定による高剛性キャリパーボディ
●静粛性の高いオーガニックパッドを標準装備
●ステルスレバーテクノロジーがハンドル周りにシンプルさを提供
●メンテナンス性とハイパフォーマンスを実現するミネラルオイル仕様
●マキシマ ミネラルブレーキオイル専用設計
●ツールフリーリーチアジャスト
SRAM MAVEN SILVER
スラム メイブンシルバー
価格:5万380円(税込)
上位グレードと同等な性能&機能を持ち併せながら、仕上げの工程を簡素化することで優れたコストパフォーマンスを実現。シャープな印象を与えるブラックアルマイト仕様がどんなバイクにも違和感なくマッチする。
●19.5mm +18mmの対向4ピストンキャリパーが生むクラス最高のストッピングパワー
●コントロール性とクイックなレスポンスを両立するスイングリンク搭載
●4ボルト固定による高剛性キャリパーボディ
●静粛性の高いオーガニックパッドを標準装備
●ステルスレバーテクノロジーがハンドル周りにシンプルさを提供
●メンテナンス性とハイパフォーマンスを実現するミネラルオイル仕様
●マキシマ ミネラルブレーキオイル専用設計
●ブラックアルマイト仕上げ
●ツールフリーコンタクトポイントアジャスト
●ツールフリーリーチアジャスト
SRAM MAVEN ULTIMATE
スラム メイブンアルティメイト
価格:5万6980円(税込)
洗練されたハイポリッシュレバーと削り出し特有のエッジが主張するキャリパー。究極の名にふさわしい意匠が与えられたメイブンのフラッグシップ。ツールフリーのリーチ&コンタクトポイントアジャストを搭載する。
●19.5mm+18mmの対向4ピストンキャリパーが生むクラス最高のストッピングパワー
●コントロール性とクイックなレスポンスを両立するスイングリンク搭載
●4ボルト固定による高剛性キャリパーボディ
●静粛性の高いオーガニックパッドを標準装備
●ステルスレバーテクノロジーがハンドル周りにシンプルさを提供
●メンテナンス性とハイパフォーマンスを実現するミネラルオイル仕様
●マキシマ ミネラルブレーキオイル専用設計
●究極に磨き上げられたレバーボディとチタン製
ハードウェア
●ツールフリーコンタクトポイントアジャスト
●ツールフリーリーチアジャスト
INTERVIEW_01 for MAVEN
メイブンはダウンヒルバイクでの使用はもちろん、170~180ミリストロークのサスペンションフォークを装備したフルスペックのエンデューロバイク、重量のあるフルスペックのE-MTBに向けて開発されたブレーキです。
これまでスラムではブレーキフルードにDOTオイルを使用してきましたが、DOTオイルは熱に強い優位性を持つ反面、水分を吸いやすいので定期的なメンテナンスが必要でした。メイブンにはDOTオイルではなくミネラルオイルを採用していますが、それはスラム社がミネラルオイルでも強烈なブレーキ性能を得ることができる証明のひとつで、ミネラルオイルに切り替えていくということではありません。
世界的に見て、DOTオイル仕様を好むユーザーもいれば、ミネラルオイル仕様を好みユーザーもいて、そこは好みが分かれるところです。新たな選択肢のひとつと捉えていただければと思います。基本的に重量級のブレーキで、使用するローター径は180ミリ以上が前提です。
200ミリローターへのアップグレードもダブルボルトの新型マウントを使用します。これまでボルトが曲がるほど負担がかかっていた場所ですから、そのストレスを分散できる点でメリットは大きいと思います
SRAM GX Eagle AXS Transmission Groupset
スラム GXイーグルアクセストランスミッショングループセット
価格:19万4700円(税込)
幅広いライダーのニーズに応えるため、変速性能とコストパフォーマンスの両立を重視して開発。上位グレードと遜色ない変速性能に加え、各部素材を見直すことで価格を抑えたTタイプのミドルグレード。革新的なハンガーレスインターフェースを採用することでディレイラーのフレームへの固定力を高め、これまでにない高い変速性能を実現。スプロケットの形状の改良により、これまでタブーとされてきた強いペダリング中のシフトチェンジを可能とした。
変速:12Speed
互換性:T-TYPE EAGLE AXS
最大対応丁数:52T
採用テクノロジー:ハンガーレスインターフェース、フルX-SYNC、オーバーロードクラッチ、AXSペアリングプロセス
付属品:32Tチェーンリング付きアルミクランク、10-52Tスチールカセット(XDフリー)、GX Tタイプリアディレイラー、専用フラットトップチェーン、Pod コントローラー、 AXS バッテリー、AXSバッテリーチャージャー
INTERVIEW_02 for GX Eagle AXS Transmission
「トランスミッションは新型アクセスではなく、ワイヤー引き、従来のアクセスに加え、新たに別シリーズを設定したという考え方です。圧倒的な変速性能を実現したトランスミッションですが、ミドルグレードとなるGXでは、使用するマテリアルを変更することで、上位モデルと同等の変速性能を維持しながら、コストを抑えることに成功しました。
カセットも削り出しではないので当然、グループセットでの重量は上位モデルよりも増加しますが、トップカテゴリーで戦う競技者が使用するのでなければ、重量面でも不満に感じることはまずないでしょう。従来のアクセスと異なる点は、ボタン操作で極端なギアの移動ができなくなった点です。
従来は押せば押しただけディレイラーが一気に動きましたが、トランスミッションは足の回転とシンクロした変速ポイントで動くため、乱暴な変速はさせてくれません。適正な変速ポイントでのみギアがシフトするため、滑らかに変速できるのです。これにより、チェーンやカセットへのダメージが減少しました。確実に1段ずつ変速してくれるトランスミッションは、不適切なシフト操作による破損が多かったEバイクで使用するメリットは特に大きいと思います」
スラムの最新ブレーキとドライブトレイン試乗チェック
TAG BIKE 店長 福冨さん
高校時代から計15年に渡りショップスタッフとしての技術を学び、昨年独立してショップを開業。MTB競技では2006年の全日本選手権で4X王者の座を獲得。元競輪選手という異色の経歴も。マルチな才能を持つタグバイクの店長さん。
取材協力:TAG BIKE
群馬県前橋市女屋町30
☎ 027-226-5031
IMPRESSION_01 for MAVEN
絶大な制動パワーをスイッチ感覚でコントロールできる
「最初はすごいストッピングパワーで〈これは扱えるのかな?〉という不安を感じました。従来のブレーキとは段違いの利き方なので、〈いままでと同じ感覚で扱ったらロックさせてしまうのでは?〉と印象で。
でも、慣れてくるとこのブレーキの性格がつかめてきました。レバーを引く握力で利かせるブレーキとは違った感じで、スイッチ的な操作でコントロールできることに気づきました。利きはじめからロックするまでレバーが動く距離が短いので。その僅かな距離の中に違いがあって、シマノのセイントが10 段階くらいでコントロールできるとしたら、メイブンは30 段階くらい調整できる幅が得られます。
スイッチ感覚の操作を習得すれば握力が必要ないので、特に距離のあるダウンヒルコースではかなりのメリットとなるでしょう。これまでのスラムとはまったく違うフィーリングで、従来はざらっとした利き方でしたが、メイブンはベタッとした感覚でスムーズに操作できました。腕の筋力を使わないので走りに集中できます。このブレーキに慣れてしまったら、ほかのブレーキに戻れなくなってしまうのではという不安を感じましね(笑)」
IMPRESSION_02 for GX Eagle AXS Transmission
走りに集中できるオートマ感覚で使えるドライブトレイン
長くMTBに乗っている方はギアチェンジをするとき、あまり意識せずにペダルを踏み込む力を抜いたり、シフターの押し込み加減で変速ポイントを調整したりしています。それって実はかなりのスキルが必要です。
自分たちは〈ワイヤーさばき〉などと呼んでいますが、初心者は走りに集中しすぎてワイヤーさばきが雑になりがちです。それがメカトラブルの原因になったり、逆に集中できなくなる要因になったり。トランスミッションを装備すると、それらの問題がすべて払拭されます。
いかなる状況でシフターのボタンを押しても、理想的な変速を自動的におこなってくれるからです。登り坂で立ちこぎをしながらシフト操作をしても普通に変速できてしまいます。むしろ変速しているのがわからないくらいスムーズに。登りながら足のトルクを抜く必要がなく、ラインどりやタイヤの接地感に意識を集中できるので、いままで登れなかった坂がクリアできても不思議ではありません。
なんてすごい技術なんだと衝撃を受けました。いい走りにつながる機材は疲労を軽減し、体力維持にも繋がります。あらゆるレベルのライダーに恩恵をもたらしてくれるはずです
写真:村瀬達矢 文:トライジェット
『MTB日和』vol.55(2024年4月発売)より抜粋