温故知新 猿屋の山チャリズム《ジュニア用MTB》編 Part.6

過去を振り返ることで見えてくる現代の、そして未来のMTB像が見えてくる。今回は流行の〈下り系〉ではない、山遊びを前提としたフルサスバイクをテーマに取り上げ、お話をうかがいました。

今泉紀夫
ワークショップモンキー店主。MTB 誕生以前からそのシーンのすべてを見てきたまさに歴史の生き証人。日本人による日本のフィールドにマッチする日本人のためのフレーム、モンキーシリーズの開発にも意欲的。

http://www.monkey-magic.com/

今号にはジュニア車の特集があるとのことなので、その辺りの話を少々。うちでは子ども用の自転車として30年前から20インチ、24インチ、小さめの26インチフレームも作ってきました。

目安として身長が110センチくらいで20インチ、もうちょっと大きくなると24インチ、150センチくらいになれば26インチでいいだろう、と。当時はメーカー車に子ども用のMTBはほとんどなかったので、短いクランクなどちょうどいいサイズの部品も手に入りにくく、120ミリや150ミリのクランクを加工して作ったり、工夫しながら組み立てていました。

いまは24インチのメーカー車も手に入りやすいので、買ってあげられる親御さんは買ってあげて下さい。でも、うちの3人の息子たちのことを思い返すと、24インチ車には半年くらいしか乗っていません。

その半年のためだけに24インチを用意するのは親にとって大変なことです。そこでSDGs的なアイデアをひとつ。例えば、お宅にお母さんが乗らなくなった小さめの26インチ車が寝ていたとします。24インチ径の車輪とタイヤを用意して、それを一時的にジュニア車っぽく再利用するというのはどうでしょう?

例えば身長130センチくらいの子どもが小さめの26インチフレームに乗るとします。リーチ云々を問題視する人もいるかもしれませんが、僕個人の考えは「単純に跨げればいいじゃない」、どうせ子どもたちはすぐに慣れてしまいますから。

現時点では前後20インチホイール仕様にてお試し中(クランク長は150ミリ)24インチ化、26インチ化あまで見据えたSDGsなジュニア用MTBに。

 

前号の(女性用MTB編)でお話しした「サイズの合わない靴を無理やり履かされても歩きにくい」と真逆に聞こえるかもしれませんが、自転車に乗り始めたころのキッズ車や成長し切った女性用の自転車を選ぶケースとは状況が違います。

もちろん、都度きっちり寸法を合わせたスペシャルなものを作ってあげられればそれが一番ですけど、それだと24インチだけでも半年に1回の頻度で入れ替える形で2サイズのフレームが必要です。極端な話「でっかい靴に詰めものを入れて履かせる」ことも別に否定はしません。

自分たちもそうやって育ってきたわけですし、完璧を求めなければそこまでこだわる意味はありませんから。

当然、クランク長、ハンドル幅、タイヤの太さなどは子どもが使いやすいものを選んであげるべきですし、車輪をただ入れ替えれば済むということにはなりません。

「フレームにタイヤが干渉しないか」「チェーンラインがきちんと出せるか」など、プロに相談する必要は少なからず出てくるでしょう。部品集めにもそれなりに手間が掛かります。

でも、それすら趣味のひとつと割り切ってしまえば意外と楽しいものですよ。そして、そういったお手伝いをさせていただくことが自転車屋の仕事ですから。

MONKEY 98SH6 SDGs
モンキー 98SH6 SDGs

身長 150センチ台の女性のために制作されたモンキーバイク(26 インチ車)をノリさんが孫活の一環にて再利用。前後20インチから前後24インチへのつなぎとして、実験的に組み上げられたマレット仕様(前24インチ& 後20インチ)のジュニア用MTB。

写真:村瀬達矢 文:トライジェット

 

『折りたたみ自転車&ミニベロCUSTOM』(2023年8月発売)より抜粋

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