MTB天国スコーミッシュ#10|友人が病院送りに!? 救助の呼び方@カナダ

こんにちは! 昨年日本でMTBと出会い、今はカナダのMTB天国スコーミッシュにて日々トレイルに繰り出している寺井杏雛(あんじゅ)です。

久々にライドをしたら、一緒に行った友人がクラッシュし大怪我………。

今回は実際に遭遇した事故と、「カナダでの救助の呼び方」をお伝えします!

MTBから離れる半月

カナダに来てから定期的にMTBに乗っていた私。10日間以上空けることはほとんどありませんでした。でも7月の終わりに、ヘリコプターでアルパインエリアにクライミングに行くという楽しい計画を実行した結果、気づけば半月ほどMTBから離れることに。

氷河の上でクライミングをしてきました!

 

今回はクライミングに行ってきましたが、ヘリコプターで行くMTBツアーなんかもあるそうなので、いつか挑戦したいです!

氷河の上から帰ってきて日常を取り戻す中で、MTBも再開しようと。久しぶりなのが少し不安ではあったものの、カナディアンの友人を誘って久々のMTBライドへ!

 

友人の大クラッシュ

久々のライドにもかかわらず、なんと友人が大クラッシュ。
雨上がりで地面が濡れ、木の根はツルツル。


カタツムリも登場するようなジメっとした日でした。

 

友人は不運にも、木に頭を強く打ち付けてしまい、ヘルメットを外すと頭頂部が真っ赤に腫れていました。本人も「視界が変だ」「今は動けない」という緊急事態。

トレイル脇に自転車を動かし、彼にも少し動いてもらい横にして様子を見ました。15分ほど横になったまま休み、彼が「自分でトレイルから出ることができる」と言ったので一緒に下山し、私がSquamish General Hospitalという市内の緊急病院まで送っていきました。

彼は体格が良く、私が背負うことはもちろん、動かすことも難しい。電波はなく、人気もない。

トレイルのちょうど真ん中くらいにいたので、トレイルから出て戻ってくるのも時間がかかる。そんな状況に置かれてしまったので、正直パニックでした。ただ、意識はずっとしっかりとしており、最終的に一緒に下山することができたので今回は救助を呼びませんでした。

 

事故時の対応の仕方@カナダ

今回は救助を呼ばなかったけれど、本当にそれで良かったのか。ちょっとモヤモヤして、事故時の対応の仕方を知っておこうと調べたので、共有します。

1. 相手の安全確保
まず、声をかけて相手の状況を確認しましょう。確認の結果、以下の場合は脊髄損傷のリスクがあるので動かさないようにしましょう。
・背中・首・腰に痛みがある
・手足の痺れ
・意識がない/弱い
・立てない、歩けない、座れない
上記の症状がなければ、本人を ”トレイルの端” に移動させましょう。

症状があり動かせない場合は、他のライダーの二次事故防止のために、わかりやすい位置にバイクを置いて ”クラッシュサイン” を作りましょう。

2. 電波のあるところへ行く
スコーミッシュのトレイルには電波の入らないところはたくさんあります。特に、これまでも紹介しているダイヤモンドヘッドエリアでは電波の入らないところが多いです。よって、相手を1人にすることに罪悪感があっても救助を呼びに行かなくてはなりません。

最後に電波が拾えた地点に戻ります。ダイヤモンドヘッドの場合、一番下の駐車場では電場波が入ることが多いです。

3. 救助を呼ぶ
カナダでは911。
“Police(ポリス), Fire(ファイヤー), or Ambulance(アンビュランス)?” と聞かれるので、救急車を意味する“Ambulance”と答えましょう。

その後は救急医療オペレータの指示に従い、事故現場の場所を正確に伝えましょう。どのエリアの、どのトレイルなのか、そしてトレイルのどのあたりかを。

もしも、英語に自信がない場合は、絶対に通訳サービスがあるので “Japanese please.Mountain bike accident(ジャパニーズプリーズ. マウンテンバイクアクシデント./日本語をお願いします。MTBの事故です。)” と伝えましょう。その後、通訳者と3人でのやり取りになります。

ちなみにこの通訳サービスは、レンタカー会社なども導入していることが多いです。数年前、アメリカでタイヤをパンクさせてしまった時には、こういった通訳サービスを通じてレンタル会社とやりとりをしました。

緊急時には、なんとかなるようになっています! これって少し、海外にアウトドアをしに行く上でのハードルが下がりますよね。安心して来てください!

4. SARがやってくる!
以上の流れで、Squamish Search and Rescue(通称SAR)という山での救助隊がトレイルまで助けにやってきてくれます。SARは無料で利用することができます。

とはいえ、医療費自体は恐ろしく高いので、海外保険(MTBにも対応しているもの)の加入は絶対です。

もし、救急車や救助の必要はなく、自力で、あるいは仲間同士で病院に行ける場合は、私と同じくSquamish General Hospitalへ行ってください。カナダ国籍がなくとも、誰でも診察・治療が可能です。ただし、医療費は……以下同文。

 

事故時に使える英語

ここまで救助する側のお話でしたが、もしかしたら、あなたがクラッシュし、海外の人に助けてもらうかも。そんな時に使える英語を少しだけ紹介します。

I crashed.  クラッシュしました。
I can’t move. 動くことができません。
My back/neck/shoulder/leg hurts. 背中/首/肩/足が痛いです。
I hit my head. 頭を打ちました。
I feel dizzy. 眩暈がします。
Please call 911. 911を呼んでください。

 

最後に

私はこれまで日本でも救急車を呼んだことがありません。そんな中、いきなりの海外での事故。事故ってだけでパニックなのに、言語が通じない。怪我をした相手とも言語の壁があり、100%クリアなコミュニケーションができない。

正直すごく怖かったです。

結局友人は指の靭帯を怪我してしまいましたが、頭や脳は無事で、命に別状はありませんでした。友人が無事だっただけで、本当に良かったのですが、この経験により私は「MTB怖いかも……」と思うように。

ただでさえ、久しぶりだったライドで、友人の怪我。ここから1か月間ますますMTBから遠ざかってしまいます。

次回はそんな「MTBの恐怖」を克服するお話です。

では、また!

寺井杏雛(てらいあんじゅ)

山で遊び育ち、その想いのまま学生時代を過ごす。22歳でマウンテンバイクと出会い、山との新しい遊び方を知る。現在はカナダ、ブリティッシュ・コロンビア州、スコーミッシュにて、マウンテンバイクとクライミングを楽しみながら生活を送っている。
Instagramhttps://www.instagram.com/anju_terai/

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