下り系MTBレースのシリーズ戦「SHIMANO ENS 2026」開幕戦レポート

国内最大級のMTBエンデューロシリーズ戦「ENS(Enduro National Series)」。

その開幕戦が4月11日・12日に長野県の富士見高原リゾートスキー場で行われました。

エンデューロとは、下り基調のコースに複数のステージが設定され、それぞれでタイムを計測。全ステージの合計タイムで順位を競います。
各ステージの移動区間(主に上りコース)でのタイム計測は行われないものの、指定時間に移動する必要があります。

ここでは、ENSのパートナーを務めるシマノによる、開幕戦レポートをお届けします。

2026年4月11日・12日|長野県・富士見高原リゾート スキー場

「難易度を上げすぎず、安全に楽しめる」——そのコンセプトが示す通り、SHIMANO ENS 2026の開幕戦は多くの新規参加者を巻き込みながら幕を開けました。会場となった長野県・富士見高原リゾート スキー場には定員超えの166名がエントリー。春らしい穏やかな陽気のなか、幅広い層のライダーが3つのステージに挑みました。

今大会では恒例の富士見高原リゾートスキー場特設コースを使用するものの、そのラインどりには進化が加えられています。

特にステージ2のレイアウトが一新、長いペダリング区間と程よい斜度を持つトレイルコースへと生まれ変わりました。下りのテクニックだけでなくすべての面でスキルを試されるまさに“ENDURO”を体現する仕上がりで、参加者からの評価も高く、ゴール後すぐに自分のステージタイムを確認できるライブリザルトシステムの本格稼働も会場の熱気をさらに高めました。

幾田悠雅、全ステージ制覇の完全優勝

トップカテゴリーAAクラスは、幾田悠雅選手(輪娯館/vittoria)が全ステージトップタイムという圧倒的な内容で制しました。ディフェンディングチャンピオンとしての貫禄を見せつけ、他を寄せ付けない走りで開幕戦を完全制覇した形です。

レース後、幾田選手はこう振り返りました。「なかなか練習も少ない中で、前日の下見で3周ぐらいして難しいところを反復しました。ペダリング区間ではもう全力で漕いで、隙あれば漕いで走った感じです」。

前日の試走でテクニカルセクションを徹底的に頭に叩き込み、稼ぎどころでは一切手を抜かない——その徹底ぶりがタイム差となって結果に表れました。
コース状況への対応も冷静で、「砂利とかバームが崩れたりしていたんですけど、転ばないギリギリのスピードで入り、漕げるところはもう全部漕いでいった感じですね」と語っています。

フィジカル面の強さについて問うと、答えは飾り気のないもの。「体重が重いので、その分進んだり安定したりします。あとはモトクロスをやったり、乗り続けること。飯をいっぱい食う。しっかり体を作ることを心がけています」。

次なる舞台は5月1〜2日、韓国で開催されるUCIマウンテンバイクワールドカップ(ダウンヒル)。「コースが難しいという情報が入っていて。来週にはダウンヒルバイクに乗って感覚を取り戻しながらやっていきます」と意気込みを語り、表彰式でも会場から大きな拍手を浴びていました。

2位の朝倉佑太選手は、前戦の反省を糧に走りを修正。「前回の秋の大会の反省を活かして走れるように走って、なんとか2位に入ることができました。本当に幾田悠雅くんに近づけるように頑張ります」——ライバルの背中を明確に見据えた言葉が印象的です。

3位の清水一輝選手(BLAZE A TRAIL)は、百戦錬磨のベテランらしく安定した走りで表彰台を確保。「冬の間いろいろトレーニングに行ってきて、今日どれぐらいのペースで走れるかが試せていい開幕戦になった」と、シーズン序盤の手応えを口にしています。

Aクラスは高水裕史選手が優勝。最終ステージで驚異的なタイムを叩き出し、逆転で開幕戦を制しました。フレンドリーマッチ(チーム戦)でも小出蒼太選手・手塚踏選手とチームを組んで優勝と、この日は二冠を達成しています。

ピックアップライダー:佐藤龍之介(16歳)、総合6位の衝撃

今大会でひときわ目を引いたのが、Bクラス優勝を果たした佐藤龍之介選手(16歳)です。Bクラスの枠を大きく超え、総合6位という驚異的な結果で昇格条件をクリア。次戦よりAクラスへの参戦が決定しています。

「小学1年生の半ばにBMXレースを始めて、5年生くらいに友達に勧めてもらってマウンテンバイクを始めた感じです。自転車ばっかりやってきた人生ですね」。

本人はしっかりと課題を見つめており「S1の途中で曲がりきれずに詰まってしまったところと、S3の岩のところで体勢を崩しそうになった。コースは歩いてラインもしっかり見ていたんですが、1発勝負でタイムを出すにはまだ覚え切れていないところもある」とのこと。

強化に向けた取り組みも具体的です。「今の課題はパワーとペダル、あと体力です。タイムを測る区間中に体力が切れてしまう。家でワットバイクを使って2時間ゾーン2(心拍118〜130ぐらい)のトレーニングをして、有酸素でしっかり体力が持つようにしています」。

将来の目標を聞くと、迷いなくこう答えてくれました。「目標はレッドブルライダーです。ENSはとてもいいトレーニングにもなりますね」。MTBの頂点を見据える16歳の今後から目が離せません。

ENSエクスペリエンス、本格始動

今大会より「ENSエクスペリエンス」が本格的にスタートしました。レジェンドライダー・柳原康弘氏のサポートのもと、6名のライダーが日曜日に設定された2ステージでのお試し計測に挑戦。ビギナーがレースの緊張感と楽しさを安全に体験できる場として、昨年のテスト開催に続き好評を博しています。今後のシリーズ定着が期待されます。

会場は10代前半から60代まで幅広い層のライダーで賑わい、終始和やかなムードに包まれた一日となりました。「マウンテンバイクを純粋に楽しむ」という方向性が色濃く打ち出される一方、トップライダーたちの鋭い走りがイベントに心地よい緊張感を与えています。コンセプト通りの、完成度の高い開幕戦になりました。

次戦は2026年5月30日・31日新潟県・八海山麓マウンテンバイクパークで開催。
パーク代表ディガー・五十嵐氏が手がける、「これぞマウンテンバイキング!」と言えるダイナミックなコースレイアウトが待ち受けています。開幕戦の熱気をそのままに、シリーズはいよいよ本格展開へと向かいます。

SHIMANO ENS 2026 開幕戦 リザルト/総合タイム(1〜10位)
1.幾田悠雅(ASIA UNION TCS/輪娯舘/FOX) 05:44.08
2.朝倉佑太 05:56.56
3.清水一輝(BLAZE A TRAIL) 05:59.70
4.永田隼也(Cannondale / Oakley) 06:04.38
5.髙水裕史 06:09.81
6.佐藤龍之介(TEAM A&F) 06:11.01
7.小出颯太(MTBクラブ安曇野/白馬高校MTBクラブ) 06:13.25
8.大野良平(KYBカントリーモーニング) 06:15.90
9.大黒佑弥(シマノドリンキング) 06:17.01
10.石川琢磨(TAGBIKE) 06:20.51

ENS(Enduro National Series)
https://ensjapan.net/

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