国内最大級のMTBエンデューロシリーズ戦「ENS(Enduro National Series)」。エンデューロとは、下り基調のコースに複数のステージが設定され、それぞれでタイムを計測、全ステージの合計タイムで順位を競うレースです。
「リエゾン」と呼ばれる各ステージの移動区間(主に上りコース)でのタイム計測は行われないものの、指定時間に移動する必要があります。
ここでは、「ENS」をサポートする、シマノによる「ENSマガジン」をお届けします。

ENSを支える出張ショップ・輪娯館の3年間
ENSの会場に足を運ぶと、ひときわ賑わうテントがあります。栃木県足利市に店舗を構える輪娯館(りんごかん)の出張ブースです。豊富な品揃えとお得な現地価格で、多くの参加者が「レースついでの買い物」を楽しみにしている、いわばENSの名物ショップ。この出張出展を続けて3年、その舞台裏には、ショップとメーカー、そしてレースの現場をつなぐ確かな役割がありました。
輪娯館は、サイクルショップタジマの姉妹店として足利市今福町に店を構えています。店頭に150台、倉庫と合わせて300台という在庫を抱え、マウンテンバイクに強いのが特徴です。近隣で唯一のTREK取扱店でもあり、地域随一の品揃えを誇ります。

年8戦、月1〜2回のペースで全国へ
輪娯館の出展は、年間8戦。月に1回、多いときは2回というハイペースで、地元のパークで開催されるレースも含め、各地のイベントに足を運んでいます。栃木・足利から長野や関東圏の会場まで、その移動距離は決して短くありません。宿泊費、人件費、交通費などかかる経費は相当なものです。
それでも経営として成り立っているのか、率直に尋ねてみました。「今のところ、ありがたいことにそれ以上の売り上げがあるので、マイナスになることはありません。特に大きい規模のレースのときは、びっくりされるくらいの売り上げになることも」。出展そのものが、しっかりとビジネスとして機能しているのです。

メーカーが頼る、ショールームとしての機能
この3年間で、輪娯館を取り巻く環境は大きく変わりました。出展を始めた当初は知名度も低かったものの、年を重ねるごとに「東側のイベントや長野・関東圏のレースには輪娯館が出展している」という認識が参加者に広がっていったのです。いまでは「これを買いたいから、次の出展のときに持ってきてほしい」という事前の依頼も増えています。
背景には、マウンテンバイク業界特有の事情があります。国内にはメカニックとして高い技術を持つプロショップは数多くあるものの、物販に力を入れる店は意外と少ない。コロナ禍で業界が不安定だった時期、多くのメーカーが在庫を抱えるなか、輪娯館のように「たくさん売る」スタイルの店は貴重な存在でした。

「メーカーさん側が、ある意味頼ってくださっている部分もあって。『これを目玉商品に使ってもらえませんか』というお話が、去年あたりからかなり増えました。お互いにメリットがあるので、普通では出せないような価格で商品を出しています」。新商品をいち早く持ち込んで実物を見せる、ショールームとしての役割も担っています。
ネット全盛の時代だからこそ、実物を見られる価値は大きいものです。「画像だと分かりにくいカッコよさとか、そういうものを実際に伝えられる場になっているかなと思います」。A&Fが手がけるトロイリーデザインなどは在庫が国内屈指で、必要とあらばトロイリーのサポートライダーの機材まで輪娯館の在庫から供給されることもあるほど。「輪娯館へ行けば全メーカー見れる」と言われ、あるメーカーが枠の都合で出展できなかったときも「輪娯館に行けば見れるよ」と案内された、という逸話も残っています。

シマノのメカサポートと生まれた、自然な連携
輪娯館がENSで果たすもう一つの役割が、トラブル対応です。忘れ物や機材トラブルは、レース会場につきもの。ゴーグルやウェアを忘れてしまった選手、朝のスリッピーな路面で転倒してウェアが破れてしまった選手、チェーンが切れたりディレイラーが曲がったりした選手、さらには現地でシューズが壊れて予備も履けず途方に暮れていた選手。そうした「困った」に、輪娯館の品揃えが応えてきました。
興味深いのは、シマノのメカニックサポートとの連携です。ENSではシマノがメカサポートを提供していますが、商品の販売そのものは行っていません。そこで、予期せぬトラブル発生時に、輪娯館で部品を購入し、シマノに取り付けてもらうという流れが、自然に生まれていきました。狙って作った連携ではなく、自然な形でそうなったのだといいます。

この連携は、参加者から大きな感謝を集めています。トラブルのときに出展していてくれて助かった。輪娯館では来店客にアンケートを送っており、そこにもこうした声が数多く寄せられているそうです。それが、出展を続ける大きな励みになっているのです。もちろんショップとしての売り上げもありますが、それ以上に、レースの現場を支えているという実感が、この活動を続ける原動力になっています。
豊富な品揃え、お得な現地価格、そしていざというときの安心感。輪娯館の出張ブースは、単なる物販の場を超えて、ENSというレースコミュニティに欠かせない存在となっています。次の会場でも、あの賑わうテントが参加者を迎えてくれるはずです。
ENS(Enduro National Series):https://ensjapan.net/



