サイクリング途中に立ち寄った公園や川沿いの河川敷。そこでアウトドア用のコンロを使って簡単な料理を作ろうと思ったものの、「火気厳禁」でコーヒーを淹れて飲むこともできない……そんな場所は案外多いんです。それでも、アウトドアな雰囲気を味わいたいという自転車好きの皆さんに、火を使わずにあたため可能な道具、アイデアを駆使したレシピを紹介しましょう!
ヒートパック+コンビニ食材でつくる 極じゅわハンバーガー
お手軽アウトドア料理といえば、ハンバーガー。コンビニ「ファミリーマート」では、人気スナックのファミチキをバーガー化する「ファミチキバンズ(タルタルソース)」が評判。そのバンズに、ファミマルブランドのレトルトのハンバーグをサンドしたら、ハンバーガー専門店匹敵の美味しさになりました!あたためは、水だけで加熱できるヒートパックを使用。火器厳禁でも、簡単にできちゃいます!!
つくりかた
1.ヒートパックにレトルトのハンバーグを入れてあたため、約15分。
2.ファミチキバンズの下バンズに、オニオンミックスサラダ、スライスしたミニトマト、レトルハンバーグ、その上にとろけるスライスチーズをのせ、上バンズをセットしてできあがり!
※使用した極じゅわハンバーグのデミソースは量が多いので、サンドする際は、先にハンバーグのみを取り出してのせ、後からスプーンでソースをすくってかけるとキレイにできます。
3.マッシュポテトは、カルビーポテト/北海道じゃがマッシュ(270円)という、マッシュポテトの粉に、分量分の水や牛乳を入れて混ぜるだけ。味を見て、塩、こしょう、または残ったスライスチーズをちぎって混ぜるとコクが増します。
コンビニ食材は、すべてファミマで購入!
ハンバーグと同サイズのふっくらバンズ。最初から上下に分かれていて、タルタルソースがサンドされているので、カットする手間も不要!
箸でつかむのもひと苦労の、厚さ4cmはあるハンバーグ。デミグラスソースは、肉汁たっぷりのハンバーグと好相性。
レタスと紫たまねぎで合わせたさっぱり食べやすいミックスサラダ。紫たまねぎのシャキッとした歯ざわりと辛味がハンバーガーのアクセントに。
あたたまったハンバーグの熱でトロ~り溶けると、美味しさ倍増。コンビニにこだわらなければ、チェダーチーズを使って本格度アップもあり!
野菜の販売があればトマトを手に入れ、サンドしたい。今回はミニトマト。それでも酸味がプラスされ、ハンバーガーの味が引き立ちます。
ポイント
レトルト食品を袋のまま15分
水だけであたためられるんです!!
電車内で湯気が出てホカホカの駅弁を食べられる、火を使わないあたため技術を使ったヒートパックとマルチウォームバッグを今回使用。どちらも袋に入れた付属の発熱剤に水を掛けるだけで、高温の蒸気が発生。約15分で、レトルト食品やパックご飯、湯沸かしができます。火を使っていないので、湯気は出ますが、火器厳禁の場所で使っても問題なし!
水だけで食品や飲料をあたためできるのは、ヒートパック同様。違いは加熱袋。内部が発熱剤を入れる発熱層と食品を入れる加熱層の2つに分かれ、発熱剤に食品が触れない仕様。加熱層には水をそのまま入れて湧かせ、袋のまま給水できるのが便利です。
加熱袋と発熱剤3回分のセット。気温20度で1回分の発熱剤使用時に、 200gのレトルト食品と200gのパックご飯と250ml缶飲料をあたため可能。発熱剤の上に食品を置くので、パックに入っていないおにぎり等をあたためる場合は、ラップやホイルで包むとよい
パックご飯とレトルトハンバーグで満腹ロコモコ丼も美味しい!
つくりかた
材料は基本的にハンバーガーと同じ、バンズがパックご飯に変わり、ファミマの温泉たまごを追加しました。
1.ヒートパックで、レトルトハンバーガーとパックご飯をあたため、約15分。
2.丼にパックご飯を盛り、とろけるスライスチーズ、オニオンミックスサラダ、カットしたミニトマト、ハンバーグの順番でのせます。
3.ハンバーグの上、または脇に、温泉たまごを割ってのせます。
4.ハンバーグは袋からドバッと出すのではなく、ハンバーグだけを取り出し、最後に好みの量のデミソースをスプーンでまわしかけるのが◎です!
茹でない「そうめん」+フリーズドライつけ麺
少ない時間で茹でられるそうめん。でも、最近は、茹でないでつくるそうめんの方が、実は美味しいとも言われています。そこで、火器を使わず、サーモボトルのお湯に浸けて、そうめんをつくってみました。つけ汁は、フリーズドライの担々風つゆの素を使用。これからの寒い季節、あたたかいピリ辛つけ麺は、手軽&あったかくて、なかなかイケます!
つくりかた
1.サーモボトルのお湯を、そうめん1把なら700ml、2把なら1ℓをクッカーに注ぎ、そうめんを入れて、かき混ぜる。
2.そうめんが、パラパラと離れたら、5分~ 10分、フタをして置く。
3.カップにフリーズドライのつゆの素を入れ、お湯100mlを注ぎ、混ぜる。
4.5~10分経ったら、そうめんを入れたクッカーの湯を捨て、流水でぬめりをよく洗い流す。さらに、そうめんを軽く絞って水分を切ると、食べる際につゆが薄まらず、最後まで美味しい。つゆの素の湯量を180mlにすれば、かけにもできます。
材料はコレだけ!
誰もが知っているそうめんの定番品。夏の食べ物のイメージがあるけれど、短時間でつくれるのでアウトドアでは一年中使えます。
お湯を注ぐだけで簡単にできる、フリーズドライの具材たっぷりつゆの素。うどん用ですが、そうめんでももちろん美味しい!
ポイント
お湯は2把で1ℓを用意
少ないと粉っぽくなるので注意
茹でないそうめんづくりのポイントは、湯量です。1把で700ml、2把で1ℓ強の湯に浸けて、よく混ぜる必要があります。湯量が少ないと、流水にさらしても粉っぽさが残るので注意。つゆに注ぐお湯も含めると、サーモボトルに1.1ℓの湯を用意する必要があります。前ページのヒートパックで500mlの湯を沸かすのも方法のひとつです。
サーモボトルであたためた
野菜ゴロゴロカレーうどん
カップ麺同様にお湯を注ぐだけでできる稲庭うどんに、レトルトカレーをプラス!あたたかい稲庭うどんなので、レトルトカレーをそのままのせてもよいのだけれど、よりホカホカで味わうために、サーモボトルにお湯と一緒に入れて持ってきてみました。
つくりかた
1.クッカーに稲庭うどん、お湯を400ml注いで、フタをして5分待つ。
2.5分経ったら、サーモボトルであたためてきたレトルトカレーを取り出し、うどんにかける。好みで、乾燥ワケギ等をふると見た目も風味もアップします。
材料はこの2つ!
宮城県岩沼市のレトルト食品専門メーカーが展開する自社ブランド。レトルトの手軽さはそのまま、味はホンモノ。このカレーも野菜ゴロゴロ。一食の価値あり!
お湯を注いで、フタをして5分。付属のスープと薬味を入れれば、手綯い手延べ熟成製法の稲庭うどんのゆでたての食感を味わえます。寒い季節にぴったりです。
ポイント
広口サ-モボトルにレトルトパックを
入れて保温したまま持ち運ぶ!
レトルト食品を、火を使わずにどうやってあたためるか?方法のひとつはヒートパックでのあたため。もうひとつは、あらかじめ自宅で湯せんして、サーモボトルにレトルトパックと湯を入れて持っていく方法です。ポイントとなるのは、サーモボトルの口径。細口ではパックが入らないのですが、内径53mm以上の広口なら縦半分に折って入れられます。
サーモボトルであたためた
レトルトカレー+アルファ米・白飯
レトルトカレーとお湯だけでふっくらご飯をいただけるアルファ米のセットを使えば、手軽にカレーライスもつくれます。レトルトカレーのあたためは、サーモボトルで!アルファ米をつくる待ち時間だけでも、湯温が70度くらいあればカレーはあたたまるので、オススメです。
つくりかた
1.アルファ米袋から脱酸素剤を取り出し、お湯を注水線位置まで128ml注いで、よくかき混ぜます。
2.アルファ米ができあがるまで15分。サーモボトルの残った湯のなかに、レトルトパックを縦半分に折って入れ、フタをします。
3.15分経ったら、レトルトカレーの封を切り、アルファ米袋に流し込めば、食器を使わずに食べられます。もちろん食器にアルファ米とカレーを盛り付けてもOK。写真は、白飯にドライパセリをふりかけました。
あのカレーハウスCoCo壱番屋監修のレトルカレーと尾西の白米セット。カレーはココイチらしいスパイシーさを再現。昨年春発売以降、大人気セット。
ポイント
サーモボトルであたため
コジーで冷えを防ぐ!
火を使って湯せんする代わりに、広口のサーモボトルにレトルトカレーのパックを縦半分に折って入れて15分あたためます。またアルファ米も、コジーと呼ぶ、フリーズドライ食品のパックを収納して冷めるのを防ぐバッグに入れておくのがオススメ。今回使用したのはワンダーラストイクイップメント/スタンドコジー(3500円~)です。
フリーズドライ+缶詰でトロトロ蒲焼き丼
火を使えないと、調理はほぼ不可能。なので、フードを組み合わせて美味しさを演出。お湯だけでふっくら炊きたてを再現する尾西の白飯と缶詰のさんま蒲焼をのせ、さらにフリーズドライのとろろを追加。このとろろが加わることで、特別感が一気にアップします。
つくりかた
1.尾西の白飯の袋から脱酸素剤とスプーンを取り出し、注水線位置まで160mlのお湯を注ぎ、よくかき混ぜて15分待つ。
2.寒い時期は、尾西の白飯の袋を保温袋に入れて、冷めるのを防ぐ。
3.フリーズドライのとろろ、水50mlをカップに入れて、約1分、よく混ぜる。
4.できた白飯を丼に盛り、その上にさんま蒲焼、とろろをかけてできあがり。お好みでサンショウをふると、一層美味い!
使った材料はコレ
お湯を注いで15分。国産うるち米のふっくらご飯を味わえるアルファ米。フリーズドライより時間は掛かるけれど、味わいはこちらが上!
水を注いでかき混ぜるだけで、味付きとろろを楽しめる。信州松代産と青森県産の長芋と枯節かつおと昆布、岩塩のだしが絶妙です。
国産さんまを加工した缶詰の定番。甘辛いタレが絡み、そのまま食べても十分美味しい。
ポイント
自宅にある保冷・保温袋でも
白飯が冷えるのを防げます
ケーキやアイスの購入時にもらえる銀色の保冷バッグに、お湯を注いだアルファ米の白飯の袋ごとを入れて置くと、先に紹介したコジーのように、冷めるのを防げます。今回、お湯のあたたかさで缶詰もあたたまらないかと一緒に入れてみましたが、それはビミョーでした。でも携帯カイロを一緒に入れれば、ほんのりあたためられるので、試してみて!
ごはんが炊ける弁当箱で、
ホカホカたまごかけコンビーフごはん!
フリーズドライよりも、もっとホカホカご飯を食べたい!そんな望みを叶えてくれるのが、サーモボトルの元祖サーモスの弁当箱。レンジで8分チン、保温ケースに入れて持ち運ぶ間に蒸らしが完了。ホカホカご飯とたまご、コンビーフの組み合わせも、サイコーです。
つくりかた
1.ごはんが炊ける弁当箱の分量の米、水を入れて、電子レンジ500wで8分加熱。
2.8分加熱後、保温ケースに入れて、サイクリングに出掛ける。
3.ランチ時になったら、ご飯にコンビーフ、たまご1個を割り入れて、できあがり。
絶品たまごかけご飯の材料
たまごは、全卵でもよいし、黄味だけをのせると、コクが増します!持ち運びには、アウトドア用のたまごケースを利用。
米を弁当箱付属のごはん容器の米ラインまで入れると、0.7合。炊き上がると、大盛りめの1人前のご飯になります。米は無洗米でもOK!
牛肉100%のジューシーなコンビーフをかつおと昆布だしで柔らかく仕上げた、たまごかけご飯専用。黒毛和牛脂がプラスされまろやか。
ポイント
手軽にごはんが炊けてホカホカ持続の弁当箱使用!
弁当を持って行ったら料理にはなりませんが、ごはんを持って行き、ちょい足しして食べれば、アウトドアめしになります。しかも電子レンジで8分、保温ケースで30分蒸らせばホカホカのごはんをサイクリング先ですぐに味わえ、味も絶品!使用するのはサーモス/ごはんが炊ける弁当箱。一度使うと、手軽さと美味しさで、きっとやめられなくなります!
人気フリーズドライの、評判メニューを食べ比べ
お湯を注いで混ぜるだけ。アウトドアで食べるのにぴったりのフリーズドライ食品。火器厳禁の場所でも、あったかい料理を手軽に食べられるもの。麺類はインスタント食品がたくさんあるので、今回は評判のご飯系とパンと一緒食べたいシチューを試食してみました。
フリーズドライのご飯系は、できあがるまでに少し時間がかかる……という弱点を克服。お湯を注いで、インスタント麺同様の3分でできあがるリゾッタ。その新製品が、このビビンバ。3分でできるのでご飯は冷めず、ピリ辛の旨味が食欲を刺激します。コチュジャン、ナムル、温泉たまごを用意して混ぜれば、より本格的なビビンバを楽しめそうです。
ご飯系メニューのおいしさで人気のオニシ。寒い季節に身体があたたまる、エスニックシリーズのビリヤニもレベルの高い一品です。このままでも美味しいですし、コンビニやスーパーで売られているスパイシーな味付けがされたサラダチキンをあたためてカットしてのせ、パクチーを合わせれば、かなり本格的なメニューになります。
トロトロあったかなリゾットは、秋冬のアウトドアで食べるのが一番です。これは食物繊維の多いオーツ麦を使用。じゃがいもベースのスープはチーズも入り、濃厚トロトロ感は高めですが、さらにとろけるチーズを足してもよいかもしれません。お湯200mlを注いで、よく混ぜて3分。価格は150円とかなりお手頃なので、2袋つくって食べたくなります。
150mlのお湯をカップに注いで、かき混ぜて、アツアツをいただく。5種類の具材が入っていて、マッシュルームの存在感がしっかりあります。シチューは、大人味。コクと深みがあって、パンと一緒に食べるのはもちろん、ホカホカの白飯にかけて食べれば、お手軽なのにかなりリッチなランチになるでしょう。
火気厳禁アウトドアめしの必須道具サーモボトルはコレがおすすめ!
フリーズドライ食品やレトルト食品のあたために使うお湯。それを持ち歩くために欠かせないのがサーモボトルです。今回使ったのは、保温力抜群のサーモスの山専用ボトルと広口でレトルトパックを収納できるハイドロフラスク。どちらも登山やキャンプで人気。容量は500ml以上あるものを用意しましょう。
6時間経っても湯温77度をキープする、保温性の高さが評判。750ml、900mlサイズもあるので、料理に合わせて選ぼう!
スライドさせるとフタ上部の飲み口が開く広口サーモボトル。飲み口からお湯を注ぎやすく、フタを取ると広口でレトルトパックを入れられます。
写真:長谷川拓司 文:ポンチョ
『自転車日和』vol.62(2021年10月発売)より抜粋