表彰台を狙う世界のトップライダーが駆るピュアレースバイクから、コアなマウンテンバイカーたちが注目する新カテゴリー〈ダウンカントリー〉をコンセプトに持つ
トレイル向けXC バイクまで、編集部スタッフが話題の3 台を独断でピックアップ!
KONA
HEI HEI CR
XCバイクとして長い歴史を誇るコナのヘイヘイが最新のサスペンションテクノロジーを採用してフルモデルチェンジ。リアユニットの搭載位置が変更され、フレーム剛性の最適化を図った。〈ダウンカントリー〉の流行を牽引する1台へと進化。
価格:47万3000円(税別)
問:エイアンドエフ
https://aandf.co.jp/
MONDRAKER
F-PODIUM CARBON
マルケス兄弟(MotoGPレーサー)がトレーニングに使用することでも話題に。今回はあえて〈ダウンカントリー〉コンセプトのDCではなく、ピュアレースバイク仕様をピックアップ。究極のフルサスXCバイクと称されるその真髄をチェック。
価格:60万円(税別)
問:マムアンドポップス
http://www.mamapapa.co.jp/mondraker/
※インプレ車両は2020モデルとなります。また、インプレ車両にはFOXトランスファーが装着されていますが、販売される完成車にドロッパーポストは付属しません。
SPECIALIZED
CHISEL COMP
カーボンバイクに肉薄する走行性能、快適な乗り心地で話題を独占するアルミフレームのハードテイルXCバイクが、最新のジオメトリーをまとって新たに登場。表彰台を狙えるポテンシャル&コストパフォーマンスの高さがその人気を後押しする。
価格:18万円(税別)
問:スペシャライズド・ジャパン
http://www.specialized.com
※自転車需要の急増によりメーカー完売。店頭在庫のみの取り扱いとなります。
KONA
HEI HEI CR
自由度の高さを活かして走る本来のXCスタイル
「XCバイクらしい軽快感を備えながら、レースというより山の中で自分の足を使っていろいろなシチュエーションを楽しむ。そんな〈XC〉という言葉本来
のスタイルがよく似合う、操る楽しさとペダリングの楽しさをいいバランスで収めたバイクに仕上がっています。
ヘイヘイは、XCレースバイクが持つ瞬時にパワーを出して絶対的な速さを求めるようなモデルではなく、長時間を安定して走れるおとなしめの味つけがなされたバイクです。しかし、それは決して遅いという意味ではなく、アベレージスピードは高いレベルにあります。
バイク全体の剛性を最適化しつつ、必要なところはねじれないようにガチッと押さえることで、リアサスがいい仕事をしてくれるため、疲れにくいバイクに仕上がっている、ということ。これもXCバイクのひとつの完成形なのではないでしょうか? 乗り手が積極的に動かしていけばヘイヘイは本領を発揮してくれます。
上体を動かしやすい反面、場面に応じて自分で意識的にバイクを押さえ込む、荷重を抜くを必要はありますが、MTBらしい立体的な動きができる辺りは自分好みですね。コーナーではいま風の後ろ乗りをするバイクと異なり、自然な形で真ん中に乗っていればよくて、斜度に応じて自分の身体を調整していけば、気持ちよく通過することができます。まさに山遊びのオールラウンダー。
リアユニットの搭載位置が変更されたことで、前モデルよりも踏みはじめの軽さが際立ったように感じました」
フレーム:カーボン
サイズ:S、M、L
重量(編集部による実測):12.6g(M)
フォーク:FOX 34 FLOAT SC PERFORMANCE(120mmトラベル)
リアユニット:FOX 34 FLOAT DPS EVOL PERFORMANCE
変速:1 × 12speed
コンポーネント:SHIMANO XT ほか
タイヤ:MAXXIS RECON(29×2.25)
カラー:グロスダークグリーン×メタリックグリーン
MONDRAKER
F-PODIUM CARBON
表彰台を狙うためのピュアレーシングマシン
「誰が乗っても確実にタイムが縮む、ポジションがカチッと決まる、まさしくピュアレーシングマシンです。シッティングでペダリングしているときは、フルサスに見られがちなボビングによるロスがなく、それでいて路面の凹凸にはきちんと反応してくれています。
しっかりと足に力が込められるので効率よく足を回せて、設計のバランスが優れているため、グリップをキュッと握るだけで上半身が安定。お腹に力を入れるとグングンと進んでいきます。
特に斜度がきつい登り、しかも途中に根っこがあったり、えぐれていたりするような路面など、これまでは身体をある程度動かさなければいけなかった場面でも、バイクがタイヤをグリップさせてくれるのがポイント。
前側をしっかりと進ませていけば、あまり抜重などの動きを意識せずとも、秀逸なリアサスペンションシステムのおかげで登り切れてしまいます。逆にいうと、バイクの上で積極的に身体を動かすトライアル的な、立体的な遊び方は合わないかもしれません。自分の力で前へ前へバイクを進めていく乗り方が正解でしょう。荒れた路面やジャンプの着地など、大きい入力があったときもバイクがピタッと収まり、すぐに次のこぎへと動作をつなげられました。
下りについても、極端に斜度が大きなところでもなければ、無理にお尻を引く必要はなし。レーサーではない人が乗る場合でも『バイクの性能が高いから、おれはこぐことに専念するぜ』という使い方がいいでしょう」
※インプレ車両は2020モデルとなるため、記載される2021 モデルとはスペックが異なります。
フレーム:カーボン
サイズ:S、M、L、XL
重量(編集部による実測):11.8kg(M) ※ FOXトランスファー装着車
フォーク:ROCKSHOX SID SELECT(100mmトラベル)
リアユニット:ROCKSHOX SID+
変速:1 × 12speed
コンポーネント:SRAM GX Eagle ほか
タイヤ:MAXXIS RECON RACE(29×2.25)
カラー:マットブラック×オレンジ
※上記スペックは2021モデルのものとなります。
SPECIALIZED
CHISEL COMP
カーボンバイクの必要性を疑うハイポテンシャル
「乗り手がペダルを踏み込んだとき、弾けるように進んでいく反応性の高さはピュアレーシングバイクそのもの。これは10万円台で購入できるバイクの走りではありませんよ。ダンシングで登ったときもリアタイヤに乗れる感覚がすごくあって、リアタイヤが滑る、トラクションが抜けるような事態を考えなくてもいい。
インプレ車両のタイヤはチューブド仕様でしたが、ハードテイルらしいカチッとしたフィーリングながら、乗り味はとてもソフトに感じられました。これも自社でタイヤまで開発しているスペシャライズドだからこそ実現できるトータルで考えられたパッケージなのでしょう。
車両とタイヤのマッチングがすばらしいと思います。このバイクはレースデビューするのにも最適ですが、自分だったら車体の軽さを活かして、担ぎや押し上げも必要な標高の高い山を目指す、山岳サイクリングのような昔ながらの遊び方にも使ってみたいですね。
ドロッパーポストも後付けできるフレーム設計なので、チゼルの登坂性能を活かして小気味よく登り、下りのテクニカルな場所は最新ジオメトリーの恩恵を受けて、安全マージンをとりながら下る。往年のマウンテンバイカーたちが興じてきたスタイル、その現代版ともいえる新たな楽しみ方が見つかるかもしれません。
タイヤをチューブレス化して、ハブをアップグレードしたらさらに大化けすること必至。『ぶっちゃけカーボンバイクはいらない?』そう思ってしまうほどの高性能バイクです」
※自転車需要の急増によりメーカー完売。店頭在庫のみの取り扱いとなります。
フレーム:アルミ
サイズ:XS、S、M、L
重量(編集部による実測):12.4kg(M)
フォーク:ROCKSHOX JUDY GOLD(100mmトラベル)
変速:1×12speed
コンポーネント:SHIMANO SLX ほか
タイヤ:SPECIALIZED FAST TRAK(29 × 2.3)
カラー:グロスレッドティントブラッシュ×ホワイト
インプレッション担当
CS ナカザワジム 店主 中沢 清さん
写真:鈴木英之、村瀬達矢
『MTB日和』vol.45(2021年2月発売)より抜粋