
スピーディーかつ正確、信頼性の高いシフティングパフォーマンスによって乗り手とバイクの間にシームレスなインターフェイスを提供するシマノの電動無線変速システム〈Di2〉。
すでにトップライダーたちがレースで実践投入、高い戦闘能力を証明している〈Di2〉に対して、趣味としてMTB を楽しむ一般のライダーはどんな感想を抱くのか?
今回は編集部のテストバイクを使用し、トレイルアドベンチャー・よこはまにてプチ試乗会を実施。フィールドを訪れていたマウンテンバイカーから率直な感想を頂戴しました!

試乗していただいた編集部のテストバイクはコチラ
試乗していただいた編集部のテストバイクはコチラ MONDRAKER RAZE R(モンドレイカー レイズR)

これまでブレーキはM8100シリーズを、ドライブトレインにM7100シリーズを使用してきた編集部のテストバイク。
「新世代のコンポーネントに載せ替える価値はどれくらいあるのか?」を検証すべく、前号にてM8200シリーズをインストール。今回は電動無線変速システム〈Di2〉に焦点を絞り、パークを訪れていたDi2未経験のマウンテンバイカー5名にインプレッションをお願いしました!
◎搭載コンポーネント(XT M8250シリーズ)
シフトスイッチ:SW-M8250
クランクセット:FC-M8200
リアディレイラー:RD-M8250 SGS
カセットスプロケット:CS-M8200-12
ブレーキレバー:BL-M8200
ブレーキキャリパー:BR-M8220
ホイール :WH-M8200


撮影協力:トレイルアドベンチャー・よこはま
神奈川県横浜市旭区上白根町1425-4
☎︎ 070-4170-7354
https://trailadventure.jp/
東名高速「横浜町田I.C.」から約15分という好立地から週末には多くのマウンテンバイカーが訪れるバイクパーク。
MTB入門者からベテランまで、幅広い層のマウンテンバイカーがライドを満喫できる複数のコースが用意されている。

山口哲生さん
愛車:CHROMAG STYLUS
搭載コンポーネント:SHIMANO SLX
MTB 歴:25年
昔はトレイルライドを楽しんでいたそうですが、近年は横浜と小田原のバイクパークをホームフィールドとしてフロートレイルで走りを満喫中。
年に1度は富士見パノラマにも遠征しています。

ワイヤー引きシフターのストロークと違ってまさにスイッチというか、軽快に操作できてすごくいいですね。慣れるのにもほとんど時間はかからなかったし、こんな風にカチカチと動くのかと感動しました。ワイヤー引きのように引きながら調整していく必要がなくて、考えずともスカンスカンとギアが変わっていくし、変速が明らかに速いし。意識せずに使えるのはすごいと思います。

深澤忠昭さん
愛車:KONA PROCESS 134 CR
搭載コンポーネント:SRAM GX Eagle
MTB 歴:4か月
ホームとなるフィールドはトレイルアドベンチャー・よこはま。前号で取材させていただいた後も通い続け、バイクもフルサスに乗り換え済み。
この夏は富士見パノラマでゲレンデDHデビューも体験。

自分のバイクだとシフトチェンジするときにカッチャンという押し込み感がありますが、Di2はとにかく反応がよくて押した瞬間にスコンと変速してくれます。操作が遅れてガチャガチャしていたような場面でも、直前の操作でカンカンと余裕でギアが変わっていきます。バイク本体の違いもありますが、変速時の音も静かだったような気がします。すべてがスムーズで驚いています。

福田修一さん
愛車:Monkey 98ST 7
搭載コンポーネント:SHIMANO SLX
MTB 歴:15年
取材日は秋川マウンテンバイクスクールのメンバーと来場。地元の里山をメインで走っているそうですが、お子さんが生まれてからはスクールの練習やイベントでも一緒に乗るようになりました。

いま使っているコンポと比べてシフト操作の感触がまったく違います。確実にギアが変わってくれるし、シフターを軽い力で押せるので、疲れたときもしっかり変速できることは容易に想像できます。
とにかくスムーズに変速できるので、これは欲しくなっちゃいますね(笑)。バッテリーがどれくらい保つのかだけ気になりますが、デメリットはなにひとつ見つかリませんでした。

浅石 博さん
愛車:SALSA TIMBERJACK
搭載コンポーネント:SHIMANO DEORE
MTB 歴:2年
お子さんが乗りはじめたことがきっかけとなり、一緒に走るために自らもマウンテンバイカーへ仲間入り。普段は横浜や小田原のバイクパークで走り、たまにトレイルライドも楽しんでいます。

変速が滑らかでとてもよかったと思います。普段使っているコンポだともっとガチャガチャしたり、変速の反動も大きかったりしますが、それがまったくなくてとてもスムーズでした。こぎながら変速しても無理なくギアが変わってくれて、力が確実に伝わっていく印象です。
雑誌を読んでDi2のことは知っていましたが、あまり興味がわかなくて……でも、実際に使うとすごくいいですね。

吉田悠輝さん
愛車:COMMENCAL META SX
搭載コンポーネント:SRAM SX Eagle
MTB 歴:3年
トレイルアドベンチャーのスタッフとして働き出して3年。かつてはロードバイクを中心としたサイクルライフでしたが、仕事がきっかけで乗りはじめたMTBが新しい世界を広げてくれたとのこと。

足をまわすことに意識がいっている登りでシフト側を気にせず操作できるメリットは大きいですね。長押しすれば連続して変速してくれる上、狙ったギアを確実に捉えてくれます。
トレイルアドベンチャー・よこはまのブルーとレッドコースは登りからスタートするので、Di2のストレスフリーな変速性能があれば周回数が増えそう? 登り返すシチュエーションでも効果絶大です。
編集部スタッフによる長期レポート
もうワイヤー引きには戻れない?シマノ〈Di2〉の比類なき変速性能

前号にてM8200 シリーズをフル搭載した編集部のテストバイク。仕事柄、バイクパーク、ローカルトレイルなど、移動も兼ねてさまざまなフィールドで乗る機会がありますが、今回はその変速機能に重点を置いてレポートさせていただきます。

ここまで本企画をご覧いただければお分かりの通り、一般のマウンテンバイカーにとってもメリットの大きいシマノのDi2。
まず、試乗した方が気にされていたバッテリーの充電頻度についてですが、週末1日(乗車時間2〜3時間程度)の使用であれば少なくとも1か月は充電作業は必要ないかと。
というのも、弊誌の編集作業に費やす時間が1 冊あたり大体1〜1.5か月で当然、平日も使用するわけですが、その間にまだ1 度も充電していないのです(今号の編集作業に取り掛かる時点でフル充電済み)。
使用状況によっても異なるはずなので絶対とは言い切れませんが(極寒の季節は未体験につき)、Di2 を使用しない理由にバッテリーの充電を挙げるのはあまり意味がないでしょう。

多くのメリットを実感している変速性能ですが、同じバイクながら「もしかしてスキルが上がったのでは?」と錯覚するくらい、特にアップダウンを繰り返すトレイルでは効果絶大です。
クルマに例えるのなら、3ペダルのMT車から2ペダルのセミMT 車に乗り換えた感覚でしょうか?(クルマに乗らない方、ゴメンなさい)変速操作のタイミングを考えたり、ペダルへの入力を抜いたりといった操作している感はワイヤーを介した変速システムの方が高めですが、タイムを計測するのであれば2ペダルのセミMT車が3ペダルのMT車に勝るのと同様、Di2を搭載したMTBの方が速いことは確実。
ハンドリング、ブレーキ操作などによる、車体のコントロールに集中できる恩恵の大きさは計り知れません。テクノロジーの進化に頼らない理由などないのです。

Di2を未体験というマウンテンバイカーのみなさん、どこかで編集部号を見かけたら是非お声がけを。
ご試乗いただき、電動無線変速のフィーリングを体験してみてください!
編集部のテストバイクにセットされた新型デオーレXT(M8200シリーズ)の一覧
今回のテスト車両では、新型デオーレXTをフル装備していますが、コンポーネントを丸ごと交換するとなるとそれなりの費用が必要に……。
しかしXTR、デオーレXTを含む新型Di2に関しては、自分のバイクがシマノの12速仕様であれば、シフトスイッチとディレイラー(+バッテリーと充電器)だけで、無線電動化が可能です!

クランクセット(FC-M8200)価格:2万3943円
XTRのデザインを踏襲しつつ、剛性と重量のバランスが最適化されたクランクセット。1種類でトレイル、エンデューロ、クロスカントリーライディングに対応する。
チェーンリング(SM-CRM86) 価格:9892円
ダイナミックチェーンエンゲージメント・テクノロジーにより、高いチェーン保持力を実現し耐衝撃性にも優れるチェーンリング。28Tから36Tまで2T刻みの展開。

リアディレイラー(RD-M8250 SGS)価格:7万1284円
ロープロファイルのウェッジ形状によりスタビライザー機構を本体へ統合。衝撃を受けた際もオートマチックインパクトリカバリーにより瞬時に元の位置へ復帰する。
カセットスプロケット(CS-M8200-12)価格:2万4164円
負荷がかかった状態でもスムーズな変速を可能とするシマノ独自のテクノロジー〈HYPER GLIDE+〉が採用されたカセットスプロケット。歯数構成は10-51T。

シフトスイッチ(SW-M8250)価格:2万5562円
SHIMANO RAPID ESを搭載したシフトスイッチ。取付位置が広範囲かつボタンも機能や角度の変更が可能で、ライダー好みの操作環境に細かくカスタマイズできる。

ホイール (WH-M8200)
価格:4万2348円(フロント:931g/29インチ、877g/27.5インチ)
価格:5万5003円(リア:1052g/29インチ、997g/27.5インチ)
エンデューロやクロスカントリー(XC)ライディングにも対応可能な軽量かつ高耐久設計のアルミホイール。メンテナンスが容易で高いシーリング性能を確保。

トレイル/エンデューロ向けブレーキキャリパー(BR-M8220)
価格:1万4372円
XCレース向けブレーキキャリパー(BR-M8200)
価格:1万1543円
編集部のテストバイクにはフロントにトレイル/エンデューロ向けの対向4ピストン、リアにXCレース向けの軽量な2ピストンキャリパーを装着している。

ブレーキレバー(BL-M8200)
価格:左右各1万2978円
ピボットポイントの改良により指の曲線にフィットする自然なブレーキング動作を提供。再設計されたSERVOWAVEトラックが素早いパワー伝達を実現する。
より気軽に電動無線変速を体験できるM6200シリーズ
今回、Di2未体験のみなさんに編集部のテストバイクを試乗していただき、その優位性が証明されましたが、予算の壁は高いもの。
できるだけ無理なく試してみたい方にはこちらもおすすめ。基本グレードのデオーレ(M6200シリーズ)であれば、低コストでDi2化できてしまうのです。このアップグレード計画も視野に入れる価値は高そうです。

リアディレイラー(RD-M6250)
価格:5万9290円

シフトスイッチ(SW-M6250)
価格:1万8967円



