欧州のそれとはひと味違う、独自のオフロードサイクリングカルチャーを背景に持つ日本のMTBシーン。当然、E-MTBが浸透する速度、そしてマウンテンバイカーたちの受け止め方も変わってきます。今回は、日本でも徐々に普及しつつあるE-MTBの本質に迫るべく、ドライブユニットが異なる4台のフルサスモデルをピックアップ。E-MTBならではの魅力について再検証してみたいと思います。
MTBらしさを追求した唯一無二かつ孤高の存在
SPECIALIZED
Turbo Levo SL Expert Carbon
リーヴォSLは重量の増加を避けることが難しいE―MTBの開発に対して、真っ向から勝負を挑んだ唯一無二のモデルだ。
軽さを重視した設計思想により、MTBらしいコントローラブルかつアグレッシブな動きはスポイルされず、まるで乗り手がパワーアップしたかのような、夢のような現実を手にすることができるバイクへと昇華。
例えるなら、スタンプジャンパーの俊敏な走りに、必要かつ十分なアシストパワーをプラスすることで、これまで体感したことのないMTBの新たな可能性を見出すことができる。
軽量かつ反応性に優れたオリジナルのSL1・1モーターをはじめ、スタンプジャンパーゆずりのフルカーボンフレーム、イメージ通りに可動する前後のサスペンションユニット、最新の12速ドライブトレインほか、車体を構成するすべてのパーツに「E―MTBだから」という妥協は一切ない。MTBであることにこだわった究極のE―MTBといえる。
フレーム | カーボン |
サイズ | S、M 、L |
重量 | - |
フォーク | FOX 34 FLOAT PERFORMANCE(150mmトラベル) |
変速 | 1×12speed |
コンポーネント | SRAM GX Eagle ほか |
タイヤ |
F/SPECIALIZED BUTCHER GRID TRAIL、 R/SPECIALIZED ELIMINATOR GRID TRAIL(29×2.3)
|
カラー | ブラック×ホワイト、オークグリーン×アクア |
ドライブユニット | SPECIALIZED SL 1.1 |
変速 | 1×12speed |
一充電走行距離 | 約 3.5 時間(エコモード) |
価格:79万円(税別)
https://www.specialized.com/
リアルマウンテンバイカーの感性に訴えかける絶妙なスペック
現在のワールドカップで見るような、ガンガン立ちこぎしていって、飛んだり、曲がったりするアグレッシブクロスカントリーのスタイルが自分は好きなんです。
でも世界のトップライダー と一般のマウンテンバイカーではフィジカルの強さが違いすぎる。でもこのリーヴォSLに乗れば、ワールドチャンピオンになった気分を味わえるかもしれません。
なぜなら、このバイク はモーターありきではなく、良質なMTBを設計してそこにモーターを乗せる、という発想で開発がスタートしているからです。
重量を抑えるためにバッテリーの容量&トルクの出方は控えめ。
そのためほかのE-MTBにありがちなドカッとしたパワーは感じられません。急斜面の登りでは後塵を拝すこともあるでしょう。
しかし、このバイクの本質はそこにありません。圧倒的な軽さを武器にしているため、ギアを正しく選択して、MTBらしく扱ってあげるだけで最高の自分の3倍増し、それ以上にエキサイティングな走りを提供してくれる、他とは一線を画す存在なのです。
アシストが切れた際の失速感も他のバイクと比べて明らかに少なく自然なので、普通のMTBに接してきたときと同じようにきちんと乗れば同じ感覚で扱うことができるはずです。
変ないい方かもしれないけど、自転車を買ったら最高の身体がついてきた感じ?
まさに『あなたのまま、さらに速く』というメーカーのキャッチコピーが具現化されています。
Profile
写真:村瀬達矢 文:トライジェット
『MTB日和』vol.43(2020年8月発売)より抜粋