東京ビッグサイトで10月31日から始まったジャパンモビリティショー2025で、ホンダとヤマハが電動アシストバイクのコンセプトモデルを発表しました。
また、新しいモビリティのジャンルである「特定小型原動機付自転車」にも新しい波がやってきています。

1954年に「全日本自動車ショウ」としてはじまり2019年まで開催された「東京モーターショー」から名称・コンセプトを一新。「豊かで夢のあるモビリティ社会の構築」を目指すイベント」として2023年から始まったジャパンモビリティショー。
2回目となる今回は「ワクワクする未来を、探しに行こう!」をコンセプトに、自動車関連産業だけでなく、IT・通信・エレクトロニクス産業などを加え500社以上が出展。
■ホンダe-MTB、ヨーロッパでの販売計画進行中!
ホンダ
先日のJapan Bike Showで、既存の自転車を電動アシスト化・コネクテッド化するサービス「SmaChari(スマチャリ)」を公開したホンダは、前回のモビリティショーで展示された「Honda e-MTB Concept」を発展させる形で開発された「Honda e-MTB Prototype」を展示。
ドイツのEバイクブランド、ロットワイルドと提携。2026年中にはヨーロッパでの発売を視野に入れているのとのこと。
展示車両は、アシストモーターにはシマノEP-8。変速機構にXTR Di2。前後サスペンションにFOXを装着。リアトラベル150mmとのことで、ホンダのDHレースバイク、RN01のイメージを踏襲しつつも「Ride Natural・Reach New Peaks」というコンセプトに基づいたオールマウンテンモデルとなる模様。
日本への導入も「検討したい」とのことですが、早期販売のためにはモトクロスバイクのような「公道走行不可」を前提とすることも考えられます。
フロント29”/リア27.5”のマレット仕様。コンセプトの高圧鋳造アルミフレームに代わり、カーボン製フレームとスイングアームの採用で重量は23kg台。
リアユニットはFOX フロートX Live Valve Neoを搭載。シートチューブが追加され、クランクブラザース・ハイラインを装着。
「品質やヨーロッパでのサービス網の広さも考慮しました」と、シマノEP-8を採用。
2023年の直押しからリンク式に変更。スイングアームには、ホンダのモーターサイクルで使用される「ガルアーム」を採用。
カセット、ブレーキもXTR M9200シリーズ。車重に対応した4ピストンキャリパータイプを採用。
開発の中心となったのはDHレース経験もある武藤裕輔さんと、車体デザインの工藤一浩さん。海外でモニタリングを行なった際、多くの人が「RN01」を覚えており、それが今回のデザインにも反映されたとのことです。

(c)Honda Honda e-MTB Concept
「モーターサイクルのFUNとMTBのFUNが融合した新しい乗り味」をテーマに開発され、フレームとスイングアームにハイエンドのモーターサイクルにも使われる薄肉アルミキャスト技術を採用。ブローゼ製アシストモーターを搭載。

(c)Honda Honda RN01
Team G Cross Hondaとして2003年から国内大会に参戦。2004年からはワールドカップにも参戦。モトクロスからフィードバックされた車体設計や剛性解析。車体中央にマウントされる内装変速システムが注目を集めました。
■ヤマハはネオクラシックなコンセプトモデルを展示
ヤマハ発動機

前回は分割式ドライブユニットのeMTB、Y-00Z MTBと二輪駆動のY-01W AWDを展示したヤマハですが、今回はシンプルなスチール製フレームに軽量アシストユニットとスリムなバッテリーを搭載したコンセプトモデル「Y-00B:BASE」とカスタマイズ提案の「Y-00B:Bricolage(ブリコラージュ)」を展示。
リアルスポーツのYPJと実用的なPASの中間に位置づけられ、日常での扱いやすさとユーザーによる拡張性が特徴です。
ブリコラージュは70年前に同社が発売したオートバイYA-1をオマージュした砲弾型ライトやグラフィックが与えられるとともに、セミドロップハンドルやパニアバッグ用キャリアなど、ツーリング車をイメージした装備でクラシックなイメージを強調しています。

(C)Yamaha Motor Co., Ltd.
YPJ-MTプロで採用されたデュアルツインフレームに軽量バッテリーとドライブユニットを搭載。ミニマルなデザインでペダルバイクと見まごうばかりのスタイリングを実現したY-00B。
細身のスチール製トラス構造フレームは、80年代後半に作られたオートバイSDRを想起させます。
トップチューブの上下にボルト穴を設け、ユーザーの好みに合わせたレイアウトが楽しめます。
デュアルツインフレームにマウントされるT字型のバッテリー。USB-PDコンバーターが付属するので外出先でも充電が可能です。
※ヤマハ公式サイト内の動画より抜粋
Y-00Bのコンセプトは「オーナーのライフスタイルや感性に寄り添いながら、共に成長する“愛車”」ブリコラージュとは「ありあわせの材料で工夫して作る」「理論や設計図によらない創造」を意味します。
ポリッシュ仕上げされたドライブユニットは、Wabashなどに採用されているPW-S2。

(C)Yamaha Motor Co., Ltd.
シートチューブにYA-1の愛称「赤トンボ」をオマージュしたマークが入ります。
■電動アシスト自転車←→電動バイクの二刀流バイク登場
glafit
7段変速、前後サスペンションを供えた20インチ径のGFR03。電動アシスト専用モデルも発売予定。
ペダル付き原動機付自転車は、電源を切ってペダルをこいで走っている自転車の状態でも、道路交通法上は原付の扱いとなり、運転免許、自賠責保険への加入義務と登録が必要ですが、和歌山に本拠をおくglafit(グラフィット)は、行政と協議して電動バイクと自転車の車両区分を切り替える独自システム「モビチェン」を開発。ナンバーを覆い、モーターの電源が入らない制御機構などによってスロットル(アクセル)を使用不能にした結果、自転車として走行することができるGFR02を2022年に発売。
2026年には電動アシスト自転車と電動バイクを切り替えることができる折りたたみ式自転車GFR03が登場します。
※GFR02/03は電動バイクのため、ナンバー取得、自賠責保険加入が必要です。
スタートアップ企業として、異例の大型資金調達でも注目されたグラフィットが手がけた第2世代の電動モビリティGFR02は、自転車と原付自転車という道交法上の車両区分を切り替えて走ることができる。
特許取得済みの切り替え機構「モビチェン」。ナンバーの切り替えも両手で操作しなければならないため、走行中に操作できない構造。
写真・文:鈴木英之
photo & text by suzuki hideyuki



