自転車好きなら一度は聞いたことがあるメジャーなスポット……ではなくても、実は魅力がぎっしり詰まっている。そんな場所は全国各地にあふれています。ということで、気になっていたサイクリングロードにふらりと出かけてみました。
つくば霞ヶ浦りんりんロードとは
旧筑波鉄道の廃線跡と霞ヶ浦を周回する湖岸道路をつないだ約180kmのサイクリングコース。令和元年11月、「ビワイチ」、「しまなみ海道サイクリングルート」と並びナショナルサイクルルートに選定されている。
今回はJR常磐線・土浦駅付近とJR 水戸線・岩瀬駅を結ぶ旧筑波鉄道コースへ。約40kmの道のりは、ほぼ平坦で、旧駅舎を利用した休憩所も点在するため初心者にもやさしい。
クルマも電車もアクセス良好 初心者でも走りやすさ抜群
都道府県魅力度ランキングで、最下位をひた走る茨城県(なぜ!?)。「つくば霞ヶ浦りんりんロード」といっても、読者のほとんどはご存じないかもしれません。そもそも、茨城県内での知名度もかなり低いようですし……(地元友人調べ)。
そんな存在のりんりんロードですが、途中にそびえ立つ筑波山を知らない茨城っこはたぶんいません。校歌には必ずと言っていいほど登場しますし、「西の富士、東の筑波」と称されるほどなのです。茨城出身者としては、この「筑波山を眺めながら走れるサイクリングコース」へ行かないわけにはいきません。
今回走る旧筑波鉄道コースの距離は約40キロ。のんびり、でもそこそこ走りたい派にはちょうどいい距離ですが、「40キロでは走り足りない!」という方は霞ヶ浦周回も含めた全長180キロのルートにチャレンジしてみてください。
今回のスタート地点はJR常磐線の土浦駅。日本最大級のサイクリングリゾート「プレイアトレ土浦」は立ち寄っておきたいところです(残念ながら取材時はまだできておらず……)。サイクリングコースのスタート地点までは駅から数百メートルほどという、とても便利なロケーションです。走り出してみると、さすが廃線上につくられた道だけあって、分かりやすく走りやすい!
木々のトンネルや並木、そして開放感抜群の田園風景の中を真っすぐ続く道。終始田園風景と言ってしまえばそれまでなのですが、のんびり走るとさまざまな発見があって、飽きることなくペダルをこぎ進めることができます。
サイクリングコースだけに、自転車に乗った人たちとちょこちょこ出会います。一部のサイクリングロードでは、目を三角にした人たちがものすごいスピードで走っていて危険だという話もありますが、りんりんロードはなんとも穏やかな空気。軽快車からロードバイクまで車種を問わず、それぞれがその空気にとけ込むペースで走っているような。一般道と交差する箇所が多いため、自然と安全なスピードになっているのかもしれません。
穏やかな気持ちで走れる癒し系のルートが最高!
りんりんロードのルート上にはホーム跡を利用した風情ある休憩所が5か所(ゴール地点の岩瀬休憩所を含めると6か所)。サイクリング途中の方が利用しているだけでなく、地元の方の憩いの場所にもなっているようでした。生活道路としても使われているようですし、だれもが気持ちよく走れる雰囲気は大切にしたいですね。
いい気分のまま筑波山を右手に見ながら走っていると、りんりんロードが突然途切れた!?予想外の展開に挙動不審になりながらも進行方向だと思われる方向にコンビニを発見。「ちょっとおやつ休憩でもして心を落ち着かせよう……」と走りはじめたところで歩道がオレンジ色に塗られていることに気づき、たどって行くとそのまま道の反対側へ誘導されました。恐る恐る走るもそれらしきものが見当たらず不安……。
すると、立て続けにロードバイクの方々が走り去って行ったので「あっちに続きがあるに違いない」と付いていき、無事にりんりんロードに戻ることができました。これ、知っているのと知らないのとでは動揺具合が違うので、要注意です。(今は状況が変わっているかもしれませんが)
さて、サイクリングも後半へ。それにしても、走りやすい。日射しが強くてバテそうだな~と思っていたのですが、意外と木陰も多く、田んぼの水面を渡る爽やかな風のおかげか快適に走ることができました。地元の学生さんからロードバイクに乗るサイクリストまで、すれ違う人の多くが「こんにちは」とあいさつを交わす、なんとも心温まる感じもたまりません。
のんびりしていたら意外と時間がかかってしまい、寄り道もせずにゴールの岩瀬駅へ到着。往復する人もいるようですが、気軽に楽しむなら片道がちょうどいい感じ。わたしはここから輪行で帰路につきました。
JR水戸線は本数がかなり少ないので、時刻表の事前確認はお忘れなく!(事前確認していなかった撮影隊は近くで食事をして時間調整……)今度は周辺観光やグルメも合わせて、もっとじっくり楽しもうと思います。
茨城出身!
編集部ヨコキ
写真:村瀬達矢 イラスト:田中 斉
『超はじめてのロードバイク実践編』(2017年6月発売)より再編集