実録リアル自転車ライフ「房総サイクリング」vol.14

写真と文:星野哲哉

今回行ってきたのはココ!!

BBBASEに乗って
房総サイクリングをしてきました

BBBASEとは、自転車を分解せずそのまま載せて、両国駅から千葉県の各方面へ行く電車。 わずらわしい輪行作業をせずにサイクリングを楽しめる。内房、外房、銚子、佐原の4つのコースがあり、今回は内房コースを利用して、南房総を走ってきた。

輪行好きにはたまりません
自転車旅行の新たなかたち

自転車を分解せずに、そのまま電車内に載せることができる、自転車乗りにとって夢のような電車「BBBASE」に乗って、房総をサイクリングしてきました。
 
当日は朝6時半に家を出て、約13㎞の道を自走で両国駅を目指す。思いのほか信号に停められたため、両国駅に着いたのは発車ギリギリになってしまった。

慌てて近くのコンビニで、朝食用のおにぎりや飲み物を買ってから、BBBASE専用の入り口へ向かう。

両国駅のBBBASE専用入り口までは、案内表示がペイントされているので、それに従っていけばたどり着ける。

一般客が利用する改札口を通らずに、直接ホームに自転車を乗り入れられるように工夫されている。

都心のホームを自転車を転がして歩くという、これまでの常識ではありえない異様な光景。一般客と、動線を完全に分けたから可能になった。

ホームも特別で、普段は使われていない3番線を使用。車両全面に自転車の絵が描かれた電車が停まっている。

両国駅の発着ホームは、普段は使われない3番線。かつて房総方面の急行列車は、両国駅が始発だったので、その名残のホームだ。

この時点ですでに、テンションが上がってくる。係りの方に促されて、車内に乗り込む。

ゆったりと配置された座席の背面に、それぞれサイクルラックが付いている。ここに自転車を固定させるのだ。

操作が簡単でありながらしっかりと固定させる事ができる。よくできているなぁと、感心することしきりだった。

電車内では、サイクルラックに自転車を固定する。 使い方を一度教わればできる、簡単な仕組みになっている。

座席は1車両に20席しかないため、ゆったりとしている。また、携帯などが充電できるように、各テーブルにはコンセントもついている。

4号車はフリースペース車両になっている。モニターもついているので、人を集めてイベントをすることもできそうだ。

予定通り7時39分頃に両国駅を出発。

BBBASEには4種類のコースがあり、今回は館山へ向かう内房コースを利用した。

途中駅で、物珍しいものを見るようにじろじろとのぞかれたり、写真を撮られたりしながら、目的地へ向かっていく。
 
その間車内では、フリースペース車両を利用して、現地での推奨サイクリングコースなどの説明が行われた。

乗客が集まって何かをできるというのも、普通の電車では味わえない、この電車ならではの特徴だろう。

見どころや食事処などを教えてもらう。やはり場所柄、海鮮ものがおいしそう。この日の気候なら、向かう方向によっては、富士山もきれいに見えるらしい。
 
ある程度の計画を立てたら、車窓を眺めながらの電車旅。買ってきたおにぎりで、少し遅めの朝食を摂る。

海沿いを走りながら、やがて館山駅に着いた。ホームでは、駅長をはじめとした方々が、歓迎の横断幕で出迎えてくれる。

半数以上の人がここで降り、それぞれ走りに出かける。我々はこの先の和田浦という駅まで利用するので、車内で発車を待っていた。

11時前に和田浦駅に到着。自転車をラックから下ろしホームへ降りる。

そのまま駅舎の外へ出てすぐに走り出せるのだ。輪行袋から自転車を出して組み立てる、という作業は必要ない。なんて便利なんだろう!
 
さぁ、サイクリング開始! 海岸沿いを時計回りに走る。

この日は天気も良く、風もあまり強くないという絶 好の気候。海沿いのコースを、絶景を拝みながらサイクリングを楽しんだ。

房総は暖かい。と言いたいところだが、やはり1月初旬ではまだ寒い。

そんな中でも、海の中はサーフィンをする人であふれていた。

サーフィンをやったことがない者からすると、「この寒い中サーフィン?」と思えるが、彼らからしても「この季節に自転車?」って思うだろうから、どっちもどっちだ。
 
帰りの電車は17時過ぎの発車なので、余裕をもって16 時には館山駅付近に着きたい。そう考えると、思ったほど走る時間がない。

当初の計画では、海岸沿いをぐるっと周るつもりだったが、西の端にある洲崎には行かず、内陸を通ってショートカットをして館山駅へ向かうことにした。
 
館山駅付近でお土産を買ったりしていたら、あっという間に発車時刻に。

来た時に出迎えてくれた駅員の方に見送られながら、両国駅へ向けて出発する。

あたりはすっかり真っ暗に。次第に街の明かりが増えてきて、旅の終わりを実感する。もうすぐ終わるんだと思うと、ちょっぴり寂しかった。
 
今回の体験を、SNSの自転車グループに投稿してみた。

すると「往路だけとか復路だけとか利用したい」とか「途中駅での乗り降りができれば」とか「両国駅からしか利用できないのは不便」など、「現状では利用しないな」という類のコメントが多かった。

その一方、いいね!の数も多かったことから、関心は高いのだと思われる。
 
利用してみて、個人で参加しているのに団体旅行のような面もあり、通常の輪行とは違った楽しさが味わえた。

それだけに、このような企画がこの先縮小することなく、是非とも発展していってほしい。JRさん、頑張ってください。

 

Profile 星野哲哉

同じ社の別の編集部で働くサラリーマン。 気づけば40代後半に差し掛かり、体力の衰えを感じる今日この頃だが、自転車への熱はいまだ健在だ。今年は行ったことがない土地へ走りに行きたいと思っている。

 
『自転車日和』vol.46より抜粋

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