経年劣化と戦うスポーツおやぢの「朝サイ」記 その5

嘘つきはサイクリストのはじまり?

この連載の“その2”の中で、朝飯前に50km.....なんて記述してしまったことを、小生はいま猛省している……

“マイペースでゆるーく楽しむ脱力系 WEBマガジン”を標榜するこのページには、ふさわしからぬ記述だと気が付いたからだ。

朝飯前に50km走ったら、 後はどうなるんじゃい!? 想像もつかないわ! そのあと仕事もできないし、それで一日が終わるじゃないの!? と誤解される可能性ある。

そもそも、”普通の人”には、本当!? 馬鹿じゃないの!? と思う方もいるかもしれない……

実は、“サイクリストは嘘つき”だというのは、サイクリストの間では定説だ。

サイクリングを嗜むようになって、こんな被害にあったことはないだろうか?

無くても遅かれ早かれ洗礼を受けるだろう……

◆「ちょっとそこまで」が、往復100km以上だった。

◆「すぐそこ」が、10km以上先だった。

◆「○○峠?たいしたことないよ!」信じて行ってみたら、たいしたことあった……

◆「今日は、ポタリングですから」と聞いていたのにガチ練だった。

『ときがわ・くぬぎ平』

だました輩を弁護するつもりはないが、実はほとんどのケースで悪意は無いのだ。ただ、チョッピリ、だました輩の上から目線というか優越感というか……

だまされた奴が悪いというつもりもないけれど、かなりの確率でこのだまされた輩も、サイクリングを続ける限りだます方になる。

実は、幾度かだまされ被害にあうと、潜在的に蓄積したストレスから誰かに同じ思いを味合わせたい気持ちが芽生え、だまされていたその本人が、新たに他の人をだましていたりする。(注:だました本人は、だまされた方から追求されると経験させたかったと言い訳する。)

まるで、昭和時代の運動部の先輩後輩関係シゴキの連鎖みたいに……

ある種の伝染力を持ったビョーキでもある。救われるのは新型コロナと違って、スポーツサイクルを持っていないとこのビョーキに感染しないということだ。

このビョーキは、“はしか”みたいなもので、サイクリストを続けるとかなりの確率で感染する。一度感染してしまえば、深刻な実害はない。

この原因は何か? 実はこれに尽きると思われる(以下)……

“喉元過ぎれば熱さを忘れる”

サイクリングを始めた頃、半ベソで自転車を押して登った坂が、いつの間にかお喋りしながら登れるようになると、その汚辱に満ちたつらい過去は遠く忘れ去られ、記憶からデリートされる(本能的に消し去りたい過去なのだろう)。

そして、今の自分基準で会話をするようになる。

自分を過小評価する輩も要注意だ。客観的な評価でなく相対的な評価でモノを言うので、「僕も初心者だからダイジョウブ」なんて輩は、チョ~~~怪しい。それは自分基準の中の初心者であって、実際には、チョ~~~速くて自転車に乗ると豹変する輩かもしれないので、要注意だ。もしかしたら、生贄を探しているのかも……(後述)

要するに……

だました方にとって、それは真実。だまされ方にとって、それは嘘。

モーターサイクルに例えるなら、 50ccのオートバイと750ccのオートバイで、同じ峠を同じように走れるワケないのに、その違いを無視して会話するから、ややこしくなるのだ。

それに、口下手でピュアなサイクリストは、「オイラは750ccだぜ!」なんて自慢しない。

だけど、やっと追い付きたどり着いた峠の頂上で、待っている750cc野郎に「たいしたことあるじゃない!嘘つき!」と言おうもんなら、豹変して「みんなこうして成長するんだよ」としらっと言われてしまう。

このような現実が、“嘘つきはサイクリストのはじまり”の所以だと小生は分析している。

実は例外的に悪意ある?嘘もある……それは、250ccか400ccクラスの輩に多い。生贄を求めて……

「君だったらダイジョウブ!いっしょにいこうよ!」という自分より1年先にサイクリストになった輩の甘い言葉を信じてはいけない。

この場合は、あなたにとって結果として悪意ある嘘の可能性もある。

本当はキツイことを知りながら、ラクチンだと嘘を言って、誘惑しているのだ!

グループで、サイクリングに行った経験のある人はわかると思うが、一人遅れるとその人を待つために“休憩の間”が生まれる。

先行している人はその間休めるわけで、遅れた人はやっと追いつくと、休む間もなくすぐ出発してしまうという地獄を味わうことになる。

この“休憩の間”を作ってくれる地獄の中の人は、辛うじて集団についている人にとっては、大変ありがたい存在なのだ。

この“休憩の間”をつくってくれる、大切な人を“生贄”と呼ぶ。

『富士見市』・びん沼公園

今週末のメンツはヤバイ!! だれか“生贄”を探さないと……と思っているサイクリストの誘惑には気を付けよう。

そもそも、そんなガチ系のサイクリングなんかしなきゃいいのだけれど……なぜか甘い言葉にだまされて生贄にされてしまう。だって、行ってみなきゃわからないからねぇ!

【まとめ】

◆「ちょっとそこまで」が、往復100km以上だと思う人の会話

◆10kmが「すぐそこ」だと思う人の会話

◆「○○峠?たいしたことないよ!」と思う人の会話

◆「今日は、ポタリングです」(でもアベレージ30km/h以上)という人の会話

要するに「彼にとってのポタリングは自分にとってのガチ」

そんなグループに間違って入ったら最後、あなたは生贄にされるのを覚悟した方がいい 。

でも、これは親しくなって信頼関係が無いと言えない嘘(だまされても成り立つ信頼関係=美しいサイクリストの友情)なので、悪意というか好意かもしれない。

そんな経験を幾度か経て、たぶんだまされたあなたは、自分にとっての生贄を探すようになるのだ。

こうして嘘つきの連鎖ができ、“嘘つきはサイクリストのはじまり”ということになるのだ。

……でもね、伸び盛りの時は嘘がつけるんだけど、おやぢになって人生下り坂になるとね、始めた頃の苦しさや痛みを思い出して嘘をつかなくなるんだよ。最近しみじみと思う(笑)

これからの季節の彩の国の風景
11月

『さいたま市 上江橋の日の出』

『川越市・中院11月下旬』

『びん沼自然公園 富士見市』

『桶川市・泉福寺の山門からの夕日と富士山』

『ときがわ 鞍掛橋』

『さいたま市 治水橋付近』

小川町 吉田家住宅

小川町 八高線


 

Profile 神田秀仁

還暦を数年前に過ぎた、スポーツおやぢ。
若い頃はオートバイに狂っていたが、自転車業界(Tommasini,Casati,Calamita)に関わり始めた30年以上前にMTBに乗り始め、20年ほど前からロードバイクに乗り始める。中年以降は、メタボ(脂質異常症)、脊柱管狭窄症、腰椎ヘルニア、アレルギー性喘息等を経験しながら、ダイエットにいそしむ。軽いノリでロードバイク、ラン、スイムを始め、2002年にトライアスロンに挑戦したが、溺れかけ、スイムがトラウマに。その後数年はデュアスロンとなり、奥武蔵を中心にサイクリングを楽しむように。気付けば80kg以上あった体重は、70kg前後に。トライアスロンも復活(宮古島・佐渡・Ironamnを経験)。

- 連載, ロードバイク