マウンテンバイクの“下りのスピード”を競うダウンヒルレース。そのシリーズ戦を行う「DOWNHILL SERIES」の第2戦が、4月27日・28日に熊本県の吉無田高原DHコースで開催された。
以下、DOWNHILL SERIESによるレポートをお届けする。
DOWNHILL SERIESが誕生した年から継続で開催会場に名を連ねる吉無田高原DHコース。阿蘇の外輪山の麓にある吉無田高原はスタート地点からは長崎の海が見渡せるほど景色がよく、3月に野焼きをした直後のため見晴らしもいい。この時期ならではの素晴らしい展望のなか、今年は、吉無田特有のキャンバーを活かした非常に難しいラインを採用し、今まで使ったことがない新しいコースが用意された。
今回の一番の見どころは谷にあるS字コーナー(通称「スマートダウンヒルコーナー」)。S字のなかには難易度の高いロックセクションが含まれており、ラインの選択が大きなポイントになった。
この会場の特徴は、フィニッシュエリアからコースのほとんどが見渡せるということ。今年も「ライダーとギャラリーが共に楽しめるコース」というコンセプトのもと、2年ぶりにビックテーブルが復活。試走中には、派手なアクションでジャンプをキメる若手ライダーたちに声援が上がった。
土曜日の朝まで降り続いた雨で火山灰を含んだ土は滑りやすく、ライダーたちはドロドロ。しかし、水はけが良いので刻々とコンディションは変化していった。予選はベテラン阿藤寛選手(CIVREL Homies)が53.899秒で2位以下に1.404秒差をつけてトップに立った。
日曜日は朝から晴れ。この日はここ数年の恒例となっている九州を代表するMTBイベント「春の吉無田MTBフェスタ」というXCレースとの併催となり、XCライダーやキッチンカー、ブース出展などで会場は大いに賑わった。
午後からは決勝がスタート。決勝は予選順位のリバーススタートで行われるが、前日の予選でスタートして2漕ぎ目でチェーンを切ってしまったというパワフルな16才の幾田悠雅選手(輪娯館/Vittoria)が早々に51.517秒という脅威的なタイムを叩き出す。
誰もそのタイムを破れないまま残るは土屋聖眞選手(カトーサイクル)と阿藤寛選手の2人。コース脇には多くの観客が並び、勝負の行方を見守るなか、土屋選手が50.810秒。阿藤選手は52.416秒と及ばず、今シーズン初参加の16才、土屋選手の今シーズン1勝目となった。2位は幾田選手、3位は田中航太選手(Myx/trailadventure)と10代の3人がTop3を飾った。
レース後の土屋選手は「何度か吉無田高原のレースには出ていますが、コースレイアウトが初めての感じでした。火山の土は滑りやすいし、オフキャンバーが難しくて、一回のミスも許されない感じでした。昨日は阿藤選手が速くてヤバいなと。今日もオフキャンバーは幾田選手が速いなと思っていましたが、今シーズンのためにスポンサーであるカトーサイクルさんが用意してくださった新車・INTENSE M1がよく働いてくれました。」とにこやかに話してくれた。
今年3月にはニュージーランドへ4週間遠征。とことん走り込んで、メキメキと力を付けている若者が、今年もレースシーンを沸かせてくれる。昨年、誰もが土屋選手の優勝だと確信していながらも悔しいクラッシュで優勝を逃したSRAM PARK大会が来月に迫っている。土屋選手のリベンジなるか。今回優勝を逃したライバルたちの逆襲なるか。次戦も今から楽しみで仕方がない。
エリート男子リザルト
1. 土屋聖眞(カトーサイクル)50.810
2. 幾田 悠雅(輪娯館/Vittoria)51.517
3. 田中航太(Myx/trailadventure)51.714
決勝のリザルトはこちら
次戦、#3 SRAM PARK(愛知県)は5月18日・19日の開催
エントリー締め切りは5月17日(金)昼12時です!
詳細はこちら
問:DOWNHILL SERIES
https://dhseries.jp/