スペインの自転車ブランドORBEA(オルベア)より、初のダウンヒルバイク「Rallon(ラヨーン)」が登場しました。
DHワールドカップでの開発を経た「Rallon DH」、そして、上りもこなせるエンデューロ仕様の「Rallon」の2系統です。
DH仕様は前後200mmトラベルにマレット仕様のホイール、エンデューロ仕様は前180mm/後170mmで前後29またはマレット仕様の選択が可能です。
どちらもこれまでにないセッティング範囲の広さを搭載して、さまざまなライダー、異なるコースやシチュエーションで、路面接地とサスペンションの作動を適切に提供します。
以下、プレスリリースより。
ORBEAの競技への取り組みは揺るぎないものです。185年にわたる歴史の中で、ロードレースからマウンテンバイク(MTB)、トライアスロン、そして近年ではグラベル競技に至るまで、さまざまな種目で表彰台を獲得してきました。その進化がダウンヒル、つまりMTB界のF1へと進むのは、ごく自然な流れです。
MTBでの豊富な経験、ORBEAエンデューロチームによるエンデューロ選手権での成功、そしてOOLAB(オーラボ。Orbea Optimization Lab)による継続的な技術革新が、次の一歩を支える礎となっています。
2022年以降、ORBEAはDH競技に参戦しており、マーティン・メース選手が特別仕様のダブルクラウンRallonでレースに出場しました。最近ではモーターなしのWildでの参戦も行っています。
そして今回、ORBEA史上もっとも野心的なバイク「Rallon DH(ラヨーンDH)」を発表しました。このバイクはレーストラックで何年もかけて開発され、ワールドカップでも使用されている、究極のダウンヒルマシンです。
1. 下り特化のスピード
● 妥協のないサスペンション性能
Rallon DHは、ワールドカップ級の最も急峻で過酷なダウンヒルコースにも対応できるように設計されており、前後に200mmのサスペンションを備えています。大きなドロップや高速走行が求められるトップレベルのレースにおいて、その真価を発揮。激しいコースでも高いトラクションと安定感を提供してくれます。ペダルのキックバックを抑えるようにキネマティクスが調整されており、チェーンテンションがサスペンションに与える影響を最小限にしています。また、リアピボットの位置を工夫することで、スイングアームへのブレーキ力の影響を切り離し、ブレーキング時のフィードバックを軽減しています。
漸進的かつ直線的なレバレッジカーブにより、小さな衝撃には高い感度で、中間域ではしっかりとサポートを提供、大きな着地に対しても底付きしにくい構造となっています。ライダーは、走行するトラックに応じて、25%または30%のプログレッシビティ(サスペンションの漸進度)を選択して調整することができます。
● 低重心設計
ダウンヒルバイクには、急勾配で荒れた地形において最大限の信頼感をライダーに与える「抜群の安定性」が求められます。そのために最も重要となるのが「重心を下げること」です。Rallonのグラビティリンク・サスペンションシステムは、まさにこの目的を実現しています。
ショックユニットをフレーム内でできるだけ低い位置に配置することにより、より地に足のついた、安定した走行を可能にします。ショックの位置を下げたことで、トップチューブもより低く設計でき、低いボトムブラケットとの組み合わせにより、重心を限界まで下げることができました。これにより、コーナリング時やジャンプの際の操作性が向上し、安定性がさらに高まります。
さらに「隠し技」があります。それは、ボトムブラケット(BB)部分にウェイトを追加できる機能です。これは多くのワールドカップメカニックたちが舞台裏で活用している裏技であり、395g、95g、93gの3種類のウェイトを1つずつ、または組み合わせて装着することで、より安定感のある「地を這うような走行感覚」を得ることができます。逆に、加速性やすばやい反応が求められるコースでは、これらのウェイトを簡単に取り外すことも可能です。
● DHに特化したジオメトリー
Rallonのジオメトリーは、長年にわたりダウンヒルトラックでの開発とテストを重ねてきました。その結果、ORBEAは理想的なジオメトリーを完成させるに至りました。これまで以上に細かな調整が可能となっており、ライダーは自分の走行するコースに合わせて最適なセッティングを施すことができます。
Rallon DHは、特別なグラビティリンクを用いた「マレット仕様」(前輪29インチ、後輪27.5インチ)のみで提供されています。
● 材料の正確な配置
カーボンの織り方を巧みにコントロールすることで、剛性を損なうことなく柔軟性を調整できるようになりました。これにより、フロントとリアのトライアングルが理想的なバランスで剛性を保つことができるのです。
このように多くの技術、シミュレーション、テストを経た結果、荒れたオフキャンバー(斜面状)地形においても優れたグリップ力と自信を持って走行することができ、レースタイムを削るうえで貴重な一瞬を生み出す力となっています。
2. 幅の広い調整機能
● アティチュード調整
ダウンヒルレース、バイクパークでのラップ、そして友人とのゆったりとしたライドでは、必要とされるバイクのセッティングは大きく異なります。Rallonはその優れた調整機能により、どのようなシーンでも理想のセッティングを実現できます。
● トレイル上でのクイック調整
・ショックのプログレッシビティ:グラビティリンクシステム内のフリップチップを使って、約5%の調整(およそ25%から30%)が可能です。
・ヘッドアングルの調整:オフセットヘッドセットカップを用いて、ヘッド角を±0.75度変更することができます。
・BBウェイト(ボトムブラケットのおもり):安定性を高めるために、ボトムブラケットにウェイトを追加できます。グラビティリンクのネジ穴に、付属の93g、95g、395gのいずれか、またはすべてのウェイトを取り付けるだけでOKです。
● トレイル外でのセッティング:あなたのスタイルに合わせて
ご自身のライディングスタイルを一番よくご存じなのは、他ならぬあなただからこそ、Rallonは購入時にさまざまな設定オプションを提供しています。
チェーンステー長の選択:ORBEAは2つのチェーンステー長を用意しています。442mmはより遊び心のある操作性を求める方向け、450mmは高速走行時の究極の安定性を求める方向けです。
ORBEAのテストでは、ライダーが好むチェーンステーの長さはフレームサイズではなくライディングスタイルによって異なることが分かっています。そのため、サイズによってチェーンステー長を固定するのではなく、ライダー自身に選択の自由を与える方式を採用しています。
このような柔軟なオプションを提供できるのは、すべてのバイクをスペイン・バスク地方の本社にて製造・塗装・出荷しているからです。
3. 頑丈な設計
● 静音性に優れたフレーム設計
ケーブルはすべてフレーム内部にガイドされています。これにより、走行中のカタカタ音を排除し、メンテナンス時のケーブル交換も簡単になります。
チェーンステーには、改良されたソフトラバー製プロテクターが装着されています。中が中空になっていることでチェーンの衝撃を効果的に吸収し、ノイズをさらに抑える設計です。
● グラビティ標準コンポーネント
Rallonに使用されている各コンポーネントは、ダウンヒルバイクの過酷な使用条件にも耐えられるよう選定されています。どんなチャレンジにも自信を持って立ち向かえる信頼性を提供します。
● ORBEA独自の装備
ORBEAの多くのマウンテンバイクと同様に、Rallonにも以下の便利な装備が標準で搭載されています。
・FLPマルチツール:いつでも携帯できる、フレーム内に格納可能な携帯工具。
・広々としたLOCKR収納:フレーム内に設けられた便利なストレージスペースで、ツールや補給食などをスマートに収納できます。
・シールドベアリング:耐久性が高く、メンテナンスの頻度を減らしてくれます。
・Second Skin(セカンドスキン)ビニール保護フィルム:フレームの表面を傷や飛び石などから保護する専用カバーです。
4. パーソナライゼーション
多くのチームが市販されていない特別なバイクでレースに出場している中で、Orbeaでは、プロチーム「Orbea FMD Racing - The Gravity Cooperative」が使用しているのと全く同じRallonを、一般のライダーも手に入れることができます。
さらにOrbeaは、業界をリードする「MyO(マイオー)」プログラムを提供しており、ライダーは自分のニーズに合わせてRallonの構成をカスタマイズできるだけでなく、カラーリングのデザインも自由に選ぶことができます。(一部除く)
カラーバリエーションは、以下の3種類からお選びいただけます:
・アロハグリーン × ファンタジーパープル(カーボンビューフィニッシュ/グロス仕上げ)
・ホワイトシック × ダイヤモンドブラック(グロス仕上げ)
・ニッケル(マット仕上げ) × ニッケルクローム(グロス仕上げ)
5. エンデューロバージョン
Rallonにはエンデューロバージョンもございます。このモデルは、ダウンヒルモデルと同じフレームを使用しながらも、アクティブでしなやかなサスペンションと低重心設計を活かすことで、レーススピードにおける圧倒的な安定性、精密な操作性、そして高いコントロール性能を提供します。
また、すべてのトラックやライダーが同じではないことを踏まえ、Rallonは他に類を見ない調整機能を備えており、ライダーは走行条件に応じてパフォーマンスを自在に微調整できます。
● 180mmフォーク+170mmリアトラベル
バイクパークでの大きなジャンプや、最も過激なトレイルでのパーティーラップにも対応できる、十分なストローク量を確保しています。それでいて、Rallonの軽快なハンドリング性能を損なうことはありません。
● しなやかでアクティブなサスペンション
Rallonは下りに特化して設計されています。サスペンションのキネマティクス(作動設計)は、できる限りアクティブに動作するよう調整されており、わずかな凹凸にもスムーズに反応します。これにより、高速域での荒れた路面でも最大限のグリップ、制御性、吸収性を実現します。
● 電子ショック最適化(E-Shock Optimized)
このサスペンション設計は、最新の電子制御ショック(電子サスペンション)を最大限に活用できるよう開発されています。従来は、下り性能を高めると登坂性能が犠牲になるというトレードオフがありましたが、電子ショックの導入によりその妥協を排除できます。必要に応じてショックが自動で硬くなり、効率性が向上するのです。Rallonのサスペンションは、この考え方を最初から念頭に置いて設計されているため、登りも下りも妥協のない1台に仕上がっています。
● ステープ&ディープ(Steep 'n' Deep)設計
さらに深いドロッパーポストの挿入長と非常に低いスタンドオーバーハイトを実現しています。これにより、体の可動域が広がり、操作性とスピードが大幅に向上します。フレームサイズに関係なく、ほとんどすべてのライダーが240mmドロッパーポストを装着可能です。
● アティチュード調整(Attitude Adjust)
トレイルごとに最適な走行感を得るための調整機構を多数搭載しています。
・ショックのプログレッシビティ:およそ22.5%から27.5%の間で、進行率を約5%調整できます。
・High/Low切り替え:グラビティリンク内のフリップチップにより、ハイとローの設定を切り替えることができます。この調整により、ヘッドアングルが
0.5度変化し、ボトムブラケットのドロップ量も7mm変化します。
・ヘッドアングル調整:オフセットヘッドセットカップにより、ヘッド角を±0.75度まで変更可能です。
・BBウェイト:安定性を向上させるため、ボトムブラケットに553gのウェイトを追加できます。
● マレット仕様またはフル29インチ仕様が選択可能
Rallonは、グラビティリンクの変更だけでマレット仕様(前29インチ・後27.5インチ)またはフル29インチ仕様のいずれかを選択できます。27.5インチはより機敏な操作性を求めるライダーに、29インチは最大スピードと安定性を求めるライダーに最適です。

RALLON DH

RALLON
ラインアップ
RALLON DH 価格 メインコンポ
RALLON D-LTD 126万5000円 XTR/SAINT
RALLON 450 D-LTD 126万5000円 XTR/SAINT
RALLON 価格 メインコンポ
RALLON E10 85万3600円 XT/SLX
RALLON 450 E10 85万3600円 XT/SLX
RALLON E-TEAM 110万6600円 XT/SLX
RALLON 450 E-TEAM 110万6600円 XT/SLX
RALLON E-LTD 158万1800円 XTR/X0 Eagle AXS
RALLON 450 E-LTD 158万1800円 XTR/X0 Eagle AXS
※価格は税込希望小売価格
※450はチェーンステー長。表記がない場合は442mmとなります。
サイズ:S、M、L、XL
問:オルベア・ジャパン
https://www.orbea.com/