日本の山を楽しみ尽くす日本人のためのクロモリフレーム 究極のトレイルバイク UnAuthorized 45rpmがデビュー

弊誌vol.57に登場した45rpmのプロトタイプ。その製品版のデリバリーがついに開始されました。

クロモリハードテイルとしては異例のヒット作となった33rpm に続いて開発された本フレームの実力はいかに? トレイルライド派必見のニューモデルです!

 

〈日本における究極のトレイルバイク〉とは?

開発陣が導き出した答えを形にしたフレーム

自らの意思でバイクを操る日本の山道を見据えた設計

古くから日本に伝わるパスハントを代表するオフロード系スポーツバイクの文化。それとは違う形で80年代末、日本で巻き起こった初期のMTBブームは、アメリカを中心とする欧米のスタイルを模倣するものでした。

現在、日本で販売されているMTBの大半は、その流れを受け継ぐ欧米で開発されたモデルです。(各ブランドが拠点を置く国の)バイクパークやバックカントリーを野に入れて生み出された最新モデルは当然、日本の山道に適したモデルとは言い切れません。

国や地域によってMTBで走るフィールドは文化も風土も異なっているのですから。

日本には急峻な山が多く、登山道をはじめとする道は狭く、湿度の影響から路面のコンディションも著しく変化します。乗り手に関しても同様、海外のマウンテンバイカーとは体格もパワーも異なるため、大柄な29インチの車両で同じような走りを求めるのは困難。

シーンを席巻するワールドカッパーの走りに魅了されるのは仕方ありませんが、海外ブランドのMTBがマッチする日本人は極々限られている、それが現実です。

では、日本のトレイルに適したMTBとはどのようなモデルなのでしょうか? 「バイクに振り回されるのではなく、自らの意思で自在に操る」車体の開発には膨大な時間と労力を費やし、テストを重ねる必要がありました。

世界各地のトレイルを走りなおかつ日本のトレイルを見つめ続けてきたアンオーソライズドブランドの開発陣。その思いと答えが凝縮された究極のクロモリフレーム、それがこの45rpmなのです。

 

UnAuthorized 45rpm

アンオーソライズド 45rpm
フレーム価格:18万9970円(税込

SPEC
フレーム:オリジナルクロモリダブルバテッド
カラー: CP +ロゴ(初回デリバリーのみ)
サイズ:XS(身長 ~ 163cm)、S(身長 160 ~ 175cm)、M(身長 169 ~ 186cm)、L(身長 177cm ~)
ホイールサイズ:29 インチ(マレット対応)
推奨フォークトラベル:120 ~ 140mm
重量(付属品別):2170g(S)
ヘッドアングル:67°(フォークトラベル140mm)
リアセンター:410mm
ヘッドパーツ:ZS44(上下)
BB:T47BB(エクスターナル 73mm)
シートポスト径:30.9mm
チェーンライン:55mm
付属品:シートクランプ、リアアクスル(USA製)


独自に開発したダブルバテッドクロモリチューブ。それぞれのバテッドの位置を追求、トップチューブの後部を扁平にすることで、軽量かつしなやかな乗り味に。高温多湿が顕著な日本での使用を前提にクロムメッキを採用。

 


フロントまわりの高い応答性を確保しながら、フレームの後ろ4/5くらいで衝撃を吸収する設計を採用。攻めの走りではなく「登って下れるトレイルバイク」らしいリズムに乗って気持ちよく走る乗り味を目指した。

 


BBシェルに対して中心から少し下側に溶接することで、理想のBBハイトとチェーンステイの角度を実現。フレームの乗り味を大きく変えてしまうヨーク部分についても、バネ感を得るための細かな工夫がなされている。

 


ドライブサイドとブレーキサイドで異なる力がかかることも考慮したシートステイブリッジの配置と形状ほか、剛性のアンバランスを解消するための工夫が随所にみられる。パイプ自体にもさまざまな工夫がされている。

 


チェーンステイとシートステイをイメージ通り溶接するためにエンドもオリジナルで作成。UDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)にも対応する。

 


水が溜まりやすいBB シェルの下部には大きな水抜き穴を配置。チューブの継ぎ目(フレーム内部)は穴を大きくすることで軽量化と風通しを狙った。

 

 プロの目線でジャッジする45rpmというMTBの本質

アンオーソライズドのフレームは33rpmを含め、形状こそいわゆるハードテイルですが、従来にない新ジャンルのMTBだと感じています。フレームの後ろ側での路面の捉えやすさは既存のモデルと一線を画していて、体に伝わる突き上げが柔らかくてピーキーさは皆無。

XC系のハードテイルにありがちだったお辞儀するような動きも少なく、バイクが地面と並行に進んでくれるのでフルサスに乗っている人でも抵抗感なく扱えるはずです。

煮詰められたジオメトリーの恩恵で、トレイルに点在するような難度の高い下りでも想像以上の安心感がありました。

抜重したり、トラクションをコントロールしなければクリアできない登りのギャップでは、それらのアクションが多少アバウトになっても、フレーム自体がしなって路面の追従性をキープしてくれるので、キャリアの浅い初心者でも思い切って難しいラインに挑戦できます。

TAG BIKE 佐々木 遥さん
MTBのプロショップとして国内トップクラスの販売実績を誇るTAG BIKE。スタッフの佐々木さんは最新機材に関する造詣が深く、ユーザーから厚い信頼を集めている〈違いのわかる〉マウンテンバイカー。MTBの普及活動にも尽力する有資格インストラクターでもあります。

45rpmには最近の安定性を最優先したハードテイルとは対照的な、積極的にコントロールしていく楽しさがあります。

トレイルでの小技、例えば丸太越えなど、フルサスではつかみにくいバニーホップ的な動きも入れやすく、コーナーではパタッと車体を倒し込むような曲がり方ができるため、フルサスに乗っている人が練習用のセカンドバイクとして所有してもいいと思います。

クロモリとしてはかなり軽量なため、バイクを担ぎ上げるようなルートを好む人のファーストバイクにもオススメです。

ちなみに試乗する前まで、45rpmを33rpmとまったくキャラクターの違う、バイクパークでは遊びにくいトレイルバイクと考えていましたが、予想以上に下りが楽しいモデルでした。

高速域での安定感こそ33rpmに劣るものの、軽快さやアクションを入れやすさ、ペダリングの気持ちよさを優先させるなら45rpmに軍配が上がります。

極論ですが「フルサスまでは要らない」という人は、33rpmと45rpmを両方とも所有するという選択肢もあります。

個人的には正直、それほどハードテイル欲はありませんでしたが「このバイクなら所有したい」という気持ちにさせられました。

CP仕上げの光沢、DKGのシートクランプやロバートアクセルプロジェクトのシャフトなど、マニア心をくすぐる小物が付属する点も魅力的ですね。


取材協力:TAG BIKE
群馬県前橋市女屋町30
☎︎ 027-226-5031
https://www.tagbike.jp/

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