2020 エンデューロ・ナショナルシリーズ第3、4戦レポート

新型コロナの影響により開催延期となっていた、エンデューロ・ナショナルシリーズ(ENS)開幕戦の代替大会と最終戦が11月14、15日に富士見高原リゾートで開催された。

通常であればワンデイ・イベントがENSライツということになるが、海外のEWSでもワンデイフォーマットがあることから、フルポイントが与えられる本大会2連戦としての開催となった。

◆エンデューロ・ナショナルシリーズ(ENS)って?

マウンテンバイク人気を牽引する競技として、国内外で注目度の高いレースイベント「エンデューロ」。

日本ではエンデューロ・ナショナルシリーズ(主催・運営株式会社ダイナコ)として2014年からスタート。

ワンデイイベントの「ENSライツ」と、2日間で行なわれる「ENS」が各地で開催されている。

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http://ens.dynoco77.net/index.php?about2020

コースは第3戦と第4戦とではステージ2の距離が変更になったものの、昨年の同大会から大きな変更はなく、総合優勝を争うAAクラスの選手にとっては、コースを熟知しているだけに、わずかなミスも許されない2連戦となった。

土曜日に行なわれた第3戦。朝から快晴に恵まれ、午前中の試走からジャケットがいらないくらい気温も上昇。

今回、注目されるのは目下2連勝中の永田隼也(KONA RACING/OAKLEY)を追う前年のシリーズチャンピオン佐々木博(重力技研/Urge/Drop8/SUBARU)。「なんとしても永田選手をとらえたい」と、大会直前に機材をアップデート。

また昨年のBMX全日本チャンピオン中井飛馬(XLARGE)をはじめ、エンデューロ初参戦というエントラントも目立った。

午後1時10分にスタートしたステージ1では、佐々木が58秒27でトップ。1秒遅れで永田がつける。

ステージ2では九島勇気(玄武/Mondraker)が2分24秒88をマークするが、佐々木も0.4秒遅れの2位につける。

ペダリングセクションが続く最終ステージ3では、永田が2分10秒85をたたき出すものの、合計タイムにして1秒6差で佐々木が優勝。

3位にはヤマハのフルサスペンションE-MTBを持ち込んだ黒沢大介が、パンクに見舞われながらも入賞している。

試走時間を使い、スペシャライズド・アンバサダーの金子匠、仲井彗によるミニスクールが開催された。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

富士見パノラマでの負傷も癒え、前後サスペンションも新調して気合い十分だった佐々木博が接戦を制した。「細かいセッティングは間に合いませんでしたが、狙い通りに走ってくれました」(c)ENDURO NATIONAL SERIES

「ワンミスがタイムに大きく響く」とレース前に語っていた永田。ミスらしいミスはなかったというが、僅差の2位に。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

ヤマハのフルサスE-MTB、YPJ・MTプロで出走した黒沢大介。ステージ3でパンクしながら3位に滑り込んだ。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

2019年BMX全日本チャンピオンの中井遊馬が、エンデューロというよりMTBレースに初参戦。ペダリングセクションやバームでの速さを披露したが、逆バンクではそのスピードが禍いして転倒。第4戦はDNF。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

「久しぶりの一番高いところ(笑)」と笑顔の佐々木。「最後まで勝負がわからないのもエンデューロの面白いところ」と永田。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

競技終了後には、モンドレイカーオーナーを対象に、九島勇気が走行映像を使ってライン取りなどをアドバイス。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

日曜日も好天に恵まれ、朝から気温も上昇。

試走時間を1時間半として午前11時から競技開始。ステージ1を得意とする宇津孝太郎が57秒16のトップタイムをマーク。これに九島が0.7秒差で続く。

第3戦とはスタート地点が変更され50mほど距離が伸びたステージ2は、試走時に多くの参加者が、延伸された部分から合流するラインのチェックに時間を費やした。

ここでただひとり2分29秒台をマークした九島が、宇津に約2秒差をつけて暫定首位に立ち、最終ステージ3へと向かうが、

前日、メカトラブルで30秒以上もタイムをロスして優勝争いから脱落した宇津が、永田に続くセカンドベストの2分8秒85でフィニッシュ。

2分10秒35でゴールした九島を0.12秒差で逆転。大会初優勝を飾った。

MONORALプレゼンツ・ハードテールアワードは、第3戦に続き増田直樹(DTC)が2連勝。

この結果、ライツを含むENS全大会のうち、成績上位4大会の合計ポイントで競われた2020年のシリーズチャンピオンは、永田隼也に決定。

ハードテールアワードは、この2連戦まで負け無しだった市原和展(MONORAL)がシリーズチャンピオンとなった。

従来とは異なるフォーマットで行なわれた2連戦だったが、事故などのトラブルもなく無事終了。表彰式後には、FOX、SIMITHなど出展各社から提供されたグッズが当たるジャンケン大会も催され、盛況のうちに閉幕した。

第3戦の勝者、佐々木博のコメント
「総合争いではかなり厳しい状況だったので、なんとか永田選手の前でゴールしたいと思って走りました。直前にオーダーしていたサスペンションをつけましたが、これがタイムアップにもつながったと思います」

第4戦の勝者、宇津孝太郎のコメント
「諸先輩の壁がなかなか厚く、ようやく勝てました。2日連続で体力的にも厳しかったですが、集中して最後まで走り切りました。前日、メカトラで悔しい思いをしましたが、今朝、松田さん(永田隼也のメカニック)に直してもらい完調を取り戻しました。ありがとうございました」

2020年シリーズチャンピオン、永田隼也のコメント
「目標の1つだった全戦優勝は果たせませんでしたが、全ての表彰台に立つことができてシリーズタイトルも獲れたので良かったです。来年のスケジュール次第ではありますが、また全勝を狙ってきたいと思います。今年は10代の参戦も増えて速くなってきましたから、大会が盛り上がってレースが増えるよう、協力していければいいなと思います。応援ありがとうございました」

ENS運営責任者、内嶋亮のコメント
「今年は本大会開幕直前にイベントや外出規制となり、厳しい状況下での開催となりましたが、参加された方や協賛各社のおかげで全4戦ではありますが、開催することができました。まだまだ予断を許さない状況ではありますが、エンデューロという種目は、新型コロナへの対応がとりやすい競技形態だと思いますので、来年も開催できるよう準備してきたいと思います。また、新しい開催地の候補もあがっていますので、さらに楽しんでいただけるような舞台を用意したいと思います」

スピードには定評のあった宇津孝太郎が、参戦6年目にして初勝利。4年前には「キング・オブ・ビルマウンテン」でも優勝している。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

ステージ1、2と宇津孝太郎と好勝負を展開した九島だが、最終ステージでのタイムロスが悔やまれる結果に。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

前週行なわれた全日本選手権DHIとXCO参戦の疲れが残っていたのか? 全勝は逃したものの、年間総合優勝獲得の永田隼也。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

「ハードテール神」の異名を取る増田直樹は「UnAuthorized 33rpm」のニューフレームでクラス優勝。フルサスバイクに混じって走ったAクラスでも優勝を狙っていたという。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

「ビギナーやハードテールでも楽しめる大会」を続けながらステップアップを目指すという大会プロデューサーの内嶋亮(左)と今大会を盛り上げたMCアリー。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

今年になって10代の参加者が急増。なかでもDHエリートクラスの羽口鉄馬は、AAクラスも認める実力の持ち主。今回も総合9位。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

勝てそうで勝てないレースやメカトラブルも多かった宇津だが、九島の猛チャージをしのいで初優勝。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

【第3戦リザルト】
http://ens.dynoco77.net/swfu/d/auto-YgEuNq.pdf

【第4戦リザルト】
http://ens.dynoco77.net/swfu/d/auto-lPdnXe.pdf

MTBレースだけでなく、オークリーでの仕事も多忙な永田は、No.1プレートを手に「ようやく全戦出場できました。今度は全部勝ちます」と宣言。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

DHライダーとしてのキャリアを活かして開発に参加。「チタンフレームの乗りやすさは、エンデューロでも威力を発揮します」という市原和展(左)。(c)ENDURO NATIONAL SERIES

ENS公式ホームページ
http://ens.dynoco77.net/

ENS公式facebook
https://www.facebook.com/ens.japan/

レポート:Hideyuki Suzuki

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