「お父さん、見られてますよ」
日本人の平均年齢は47.4才らしい。
これは寿命じゃなくて生きている人、つまり赤ちゃんから爺さん婆さんまでの生きている人の平均の話。だから、サイクリングしている人に、お父さんが多いのは当然の話。実はその多くのお父さん達は、サイクリングの経験が短い、初心者や中級者だ。一見風貌は、何十年も自転車に乗っているベテランかのようにみえるけれど(笑)。
その背景は……
おおよそ中年になれば、健康診断の結果それなりに問題が散見されるようになり、検診指導する医師からは、『煙草やめなさい、運動しなさい、お酒控えなさい、ダイエットしなさい』なんてことを言われるのが毎年の恒例行事になってくる。30代の頃はそんなことを言われても、日常生活では痛くも痒くもないので、太く短い人生もそれで良しっ!! なんて強がっているのだが……40才を超えたあたりから、知り合いの知り合いの同年代が、心筋梗塞で急死したなんて話が耳に入り、オイラもヤバいかな……血圧も高めだし、尿酸値も、中性脂肪も……ああ、コレステロールも高め(汗
こうして、マジ運動してダイエットしないと……なんて考え出すのだ。
選択肢はジム・ゴルフ・ハイキング等々沢山あるのだけれど、子供の頃買えなかった、カッコいいロードバイクなんて思い出すと、「サイクリングっていいんじゃね!?」なんて思ったりする。ネットでいろいろ調べて購入……
そしていそいそと荒川サイクリングロードデビューすることになる(東京北部や埼玉県の場合)。こんなパターンはかなりふつうで、いくらそれなりのコスチュームに身を包んでも、この手のお父さんはワタシには見破られてしまう(笑)。見破られたって、誰でもそんな時期はあるのだから、恥ずかしい事ではない。具体的には……
◆腹が出ている
こりゃ、最初は仕方がないよね。毎月500km以上乗っていれば自然にウエストは細くなる。
◆脚が締まっていない
これも仕方がない。山に行くようになって、獲得標高ナンチャラカンヤラ言うようになったら、締まってくる。
◆重めのギアでペダリング
これは、無酸素運動になりがち。憎き中性脂肪やコレステロールを減らすためには有酸素運動レベルが有効だ! 軽いギアの低負荷でクルクル回す方が当初の目的にかなっている。
◆手信号をしない
実はこれは自分自身が追突されるのを回避するためのものでもあるのだ。でもお父さんはシャイなので最初はなかなかできないのよ(笑)。
◆黙って後ろに付く
実はこれはマナー違反。他のサイクリストの後ろに付く場合は声掛けすることで、ベテランなら手信号を出してもらえる。引いてもらって離脱する場合はお礼を言おう。でも、声掛けしても無反応の場合は、突然意味なく止まって追突する危険性もあるので、そういう人の後ろには付かないことだ。
◆挨拶をしない
さすがに、近頃の中流・下流域の荒川サイクリングロードでは、オイラでも挨拶はしない。いかんせんサイクリストの数がハンパないので、米つきバッタになってしまう。でも郊外の田舎道や山道では挨拶している。挨拶をするとビックリしたようなリアクションするお父さんは良く見かける。
思い出してみれば、実は自分自身も初めの頃はこんな様子だった。だからなおさらこんな”おやぢ達”にシンパシーを感じるのだ。
すれ違う知らないサイクリストに挨拶することが妙に照れ臭かった。先輩の手信号が滑らかでカッコよかったことをボンヤリと思い出す。このおやぢでも、シャイな時期があったのだ。信じてもらえないけど……(と最初から書いておこう)。
見た目はともかく、人に迷惑をかけずに安全に走るためのノウハウは知らないより知っていたほうが良いということだ。
健康寿命が取りざたされている昨今、サイクリングはとても魅力的なスポーツだ。運動のエネルギー源は糖質と脂肪。お父さんのお腹周りに沢山ある憎き脂肪……朝サイで脂肪を燃焼させるためには、頑張りすぎないことが大切だ。頑張りすぎて無酸素運動になっているお父さん達を良く見かける。頑張りすぎると、脂肪じゃなくて糖質が優先的にエネルギー源として使われることを知らないらしい。
実は、空腹時の軽い有酸素運動は脂肪が燃える。水分だけとって、朝食前に軽くサイクリングすることは、脂肪燃焼しやすい体質を作るのに最適だ。朝起きた時は、血液中に糖質が少ない状態だ。運動を開始して血液中に糖質がないと、脳は「食べたい欲求」発信する。糖質が補給されなければ、仕方なく蓄えた脂肪をエネルギー源として使うようになる。最初は腹ペコが辛いのだけれど、それは脂肪燃焼スイッチが入りにくい証。慣れてくると、低負荷ならば、空腹を感じなくなる。40〜50km位の距離は苦も無く走れるようになり、帰宅後に美味しく朝食を食べることができる(食べすぎ注意!)。
サイクリングのフィールドは無限。慣れれば100km以上どころか200kmだって1日で走れるようになる。自由気ままに日本中どころか、海外でも走れる。
独りで走れるようになると、毎回がプチ冒険。新しい道や、こんなところにこんなお店が!? とか、この時期に、こんな花がここに咲くのか! といった発見がある。
これからが、秋本番、紅葉の季節。サイクリングにも最高の季節!
これから楽しめる朝サイの風景
Profile 神田秀仁
若い頃はオートバイに狂っていたが、自転車業界(Tommasini,Casati,Calamita)に関わり始めた30年以上前にMTBに乗り始め、20年ほど前からロードバイクに乗り始める。中年以降は、メタボ(脂質異常症)、脊柱管狭窄症、腰椎ヘルニア、アレルギー性喘息等を経験しながら、ダイエットにいそしむ。軽いノリでロードバイク、ラン、スイムを始め、2002年にトライアスロンに挑戦したが、溺れかけ、スイムがトラウマに。その後数年はデュアスロンとなり、奥武蔵を中心にサイクリングを楽しむように。気付けば80kg以上あった体重は、70kg前後に。トライアスロンも復活(宮古島・佐渡・Ironamnを経験)。