実録リアル自転車ライフ「トレーニング」vol.10

写真と文:星野哲哉
 

ヒルクライムレースに向けて
一か月間トレーニングをしてみた

今まで某C社のサイクルコンピュータを利用していたが、自転車にもランニングにも利用できる、G社のGPSウォッチを最近購入した。

光学式の心拍計を搭載していて、いわゆる“乳バンド”をしないで心拍数を測ることができる。また、連携しているWEB サイトでトレーニングメニューを作ることもでき、便利この上ない。人気があるのもうなずける。

高価なためこれまで購入をためらっていたが、思い切って買ってみて良かったと思う。

 

レースに出るからには
やっぱり結果も出したい

「スポーツ自転車を買う」→「自転車の軽さに感動して、どこへでも自転車で行くようになる」→「100kmぐらい走るのが平気になる」→「輪行をして、行ったことがない街に走りに行くようになる」→「ロングライドイベントに参加する」→「200km走れるようになる」→「人と競争したくなり、ヒルクライムレースに出る」→「毎年数レースは出るようになる」

これが今までの、私の自転車ライフだが、その後もどっぷりとレース志向になったわけでなく、あくまでも自分のベースは、「自転車でより遠くへ行きたい」「行ったことがない街を走ってみたい」といったサイクリングであり、その延長でレースに出ているというスタンスだった。

そして今年も、「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」という今年で31回目の歴史あるヒルクライムレースを走ってきた。

エントリーをするのは3回目だが、過去2回は悪天候のため短縮コースで行われたので、未だゴールまで行ったことがない。

少なくとも一度ゴールへ行くまではヤメられない。そんな気持ちで、今年も申し込んだ。

そして迎えた大会当日。前日に会場へ向かう途中、大雨だったので、「今年もダメか?」と不安になったりもしたが、当日は見事に晴れ渡った。

「全日本マウンテンサイクリングin 乗鞍」での、いわゆる“乗鞍ガール”との記念撮影。美しい女性に囲まれ、どんな表情をすれば良いかわからず、固い顔になっています。せっかくなので、もっと笑顔にすれば良かった……。

そして念願のゴールまで行くことができた。ここのゴール地点は、日本の道路最高地点。

そのため、四方には遮るものが何もなく、他のヒルクライムでは味わえない絶景が拝める。充実感でいっぱいだった。

だが、しかし、なんかすっきりしない。前述したように、根を詰めてレースに臨んでいるわけではないが、かれこれ5年ぐらいレースに出ているので、やっぱり少しくらいは速くなりたい。

それどころか、逆に遅くなっている気がする。その証拠に二年前の乗鞍と比べてみると、今回の方が遅い(※短縮されて大雪渓ゴールだったので、大雪渓までのタイムで比較)。

ここに限らず、他のレースでも同様の傾向があり、さすがにもっと速く走りたくなってきた。
 

トレーニングの成果は?
ベストタイム更新なるか!?

というわけで、一か月後に行われる赤城山ヒルクライムまで、継続的にトレーニングをしてみることにした。

やったメニューはこれ。

『ローラー台で、最大心拍数の8割程度の心拍数を15分継続。5分の回復走をはさんで、もう一回。前後のウォーミングアップとクールダウンそれぞれ5分で、計45分。』

このメニューを、2日に1回くらいのペースでやってみた。バリバリやっている人からしたら、大したことないかもしれないが、今まで漫然と自転車に乗っていた者からすれば、これはとっても画期的な出来事だった。

自分の中の自転車ライフが何か変わったような気がした。約一か月続けたところ、心拍が強くなって、身体も軽くなった気がした。

これで、今度の赤城山はベストタイムが出るのではないか? 自分自身、密かに期待していた。

そして迎えた、赤城山ヒルクライムの当日。走るにあたって気をつけたことは、終盤にバテることがないように、序盤から飛ばしすぎないようにすること。

心拍計を使って、最大心拍数の9割̶160を超えないように走ることを心がけてみた。

今年から、実業団のレースも併催されることになった「まえばし赤城山ヒルクライム」。同じレースに、ヨーロッパのレースでも活躍したことがある選手も走るということで、少しばかしテンションが上がってしまいました。

その結果、道中息が苦しくなることもなく、比較的楽に走れたと思う。この赤城山ヒルクライムのコースは、斜度の変化があまりないため、ペースのアップダウンが少ない。

そのことも楽に走れたひとつの理由だと思う。おかげで残り2kmになった時に最後の力を出してペースを上げたら、ものすごい勢いで何人も何人もごぼう抜き
をすることができた。

そしてゴール! 走っている間、心拍数しか気にしていなかったので、ほとんどタイムを見ていなかった。果たして結果は?

下山して大会会場へ戻り完走証を手にする。そこに記されたタイムは?

「ベストタイム更新!」ではなく、なんとワーストタイム更新?? う〜ん……。どうやらペースを落としすぎてしまったらしい。

サイクルコンピュータに記録された序盤から中盤の区間タイムを見ると、今まで走った中で最も遅いものだった。

終盤は確かに速かったが、それだけで巻き返すことはできず、最終的にワースト記録を更新してしまった。

これまで自転車に乗ってきて、間違いなく走る技術は上がっていると思う。だけど、速くならない。

理由は、ひとつは加齢による体力の衰え。やっぱり、ちょっとずつ筋力や持久力が落ちているのだろう。

もうひとつは、ちょっとばかし走れるようになったせいで、無理をしなくなった。これ以上無理すると、あとがキツくなるというのを身体がわかっていて、知らず知らずのうちに力をセーブしているのだろう。経験を積んできたことの弊害か?

今回の結果がまさにこれを象徴している。あっちを立てればこっちが立たず。難しいね……。

今年のレースはこれで終了したが、せっかくトレーニングをする習慣がついたので、私の自転車ライフが、「継続してトレーニングをするようになる」→「ヒルクライムでベストタイムを更新」と続くと良いのだが、現実は「またひとつ歳をとった」で終わりか?

 

アナザー自転車ライフ

かすみがうらエンデューロ

開 催:2016年10月8日

締め切り直前、10/8に行われたエンデューロ大会に、妻とふたりで参加してきた。男女混成車種自由というカテゴリで、1周5km弱のコースを、交代しながら5時間走り続けた。

途中、豪雨に見舞われたりして心が折れそうになったが、最後には晴れ間も見え、無事ゴールすることができた。初レースだった妻も楽しんだようなので、大会の雰囲気も良かったし、また来年も出ようかなと思っています。

 

Profile 星野哲哉

自転車とは無縁の編集部で働く、ただの自転車好き。どこに出かけるにも、まず最初に、自転車で行くことを画策する。直線距離なら20kmくらいなのに、わざわざ遠回りして100km走ることもしばしば。天気予報とルート作成アプリは必需品だ。

 
『自転車日和』vol.42より抜粋

- 連載, ロードバイク