さまざまな自転車誌を発行している『自転車日和』編集部ですが、弊社には自転車とは全然違う編集部に在籍していながら、編集部員以上に(!?)、自転車生活にどっぷりのスーパー社員がおりました!
日々、編集業務をこなしながら、休みの日には自転車ライフを濃密に楽しむ。リアルなレポートをお届けします。
写真と文:星野哲哉 イラスト:小泉智稔
東国三社を巡ってカシマまでサッカー観戦
昨年9月に、Jリーグ鹿島vs 浦和を観戦しに、茨城県鹿嶋市にあるカシマサッカースタジアムへ行ってきた。
土浦駅まで輪行し、霞ヶ浦の南岸から、東国三社(香取神宮、息栖神社、鹿島神宮)を巡ってサッカー観戦。
一泊して翌日は、霞ヶ浦の北岸を走って土浦駅へ戻ってくるという、合計180km のルート。霞ヶ浦沿いは、つくば霞ヶ浦りんりんロードというサイクリング道が整備されているので、自転車で走りやすくなっている。
関東最強のパワースポットで必勝祈願
自転車で出かけるときに決めることといえば、目的地と走るルートだ。ふらふらと思いつくままに、というのもアリかもしれない。しかし、さすがに完全ノープランでというわけにもいかず、ある程度の行先は決めるのが普通だろう。
私の場合、サッカースタジアムが目的地になることが多い。自転車以外のもうひとつの趣味、サッカー観戦に行くときに、せっかくなら自転車で行こうというわけだ。
昨秋も、茨城県のカシマサッカースタジアムへ自転車で行ってきた。数えてみたら、このスタジアムに自転車で行くのは5回目で、ホームスタジアム以外では一番多く行っている。
最も便利な公共交通機関が、東京駅から高速バスというアクセスの悪さが、自転車で行こうという気にさせるのかもしれない。
走るルートは毎回変えるようにしている。場所柄、利根川サイクリングロードやつくば霞ヶ浦りんりんロードを組みこんだルートになるが、家から直接走ったり、輪行で土浦駅や銚子駅まで行ってから走ったりして、変化をつけるようにしている。
この日は、土浦駅まで輪行することにした。ここからだと、つくば霞ヶ浦りんりんロードにアクセスしやすい。
また、カシマスタジアムが霞ヶ浦をはさんで反対側にあるので、自転車で走るには、距離的にも長すぎず短すぎずちょうど良い。
つくば霞ヶ浦りんりんロードで霞ヶ浦沿いを45キロぐらい走ったところで、霞ヶ浦を離れて佐原の町並みへ向かった。北総の小江戸と言われる古い町並みが有名な佐原。初めて来たが、趣のある町でとても良かった。舟巡りなどがあって楽しそうだったが、長居もできないので、早々に先へ向かった。
東国三社巡りが、今回計画したルートの中心だ。鹿島神宮、香取神宮、息栖神社を巡ることを言い、江戸時代には、お伊勢参りに匹敵する人気があったそうだ。そのために、御朱印帳を忘れずに持ってきた。
香取神宮、息栖神社の順で巡り、この日の試合の勝利を願いお参りをしてきた(時間が無くなったので鹿島神宮は翌日に)。
カシマスタジアムへは、日帰りでしか来たことがなかったが、今回は初めて宿泊することにした。ホテルにチェックインをしてからスタジアムへ向かう。名物のハム焼きやもつ煮を食して、いよいよキックオフ。
試合は2点先制されるも追いついて、2対2の引き分けだった。試合後ホテルへ戻り、居酒屋でもないかと探していたら、ホテルのすぐ裏に一軒の店を発見。カウンターで、ひとりで黙々と飲み食いをしていたが、いつの間にか、お店の人と常連客と一緒に談笑していた。
東京から自転車でサッカーを見に来たというだけで、興味を持ってくれるので打ち解けやすい。こんなのもまた、自転車旅の楽しみのひとつだ。
翌朝一番に、前日に行けなかった鹿島神宮へ走っていく。本殿でお参りをしたあと、さらに奥へ行くと、うっそうとした森が広がっている。東京ドーム15個分の広さがあるらしい。
奥の方まで散策していたら、あっという間に1時間も経ってしまった。海の方を走って、北浦を渡った後、思いつくままに適当な道を走っていたら、道がなくなりゴルフ場に紛れこんでしまった。そういえば、前夜に出会った人たちは、翌朝ゴルフに行くって言っていたっけ。
そんなことを頭に浮かべながら、ロードバイクでは走りにくい、道とは言えないような道をしばらく走っていた。道に迷ったうえに、日差しの強さも堪えた。じりじりと体力が消耗していく。
悪戦苦闘しながら、ようやく霞ヶ浦のほとりにたどりつく。走り始めて4時間。予定よりだいぶ時間がかかってしまった。遅めの昼食をとったら、つくば霞ヶ浦りんりんロードをひた走り、土浦駅に到着。輪行して帰路についた。
ちなみに、カシマスタジアムに次いで自転車で行った回数が多かったところは、静岡県の日本平スタジアムで、4回行っていた。伊豆半島からフェリーで行ったり箱根越えをしたり、こちらもルートは様々だ。
今年は6月に試合が予定されている。今度は富士山方面から行ってみようと、密かに計画を立てている。
星野哲哉
同じ社内の別の編集部に所属する、50 歳オーバーの自転車好き。寄る年波には勝てず、ライド後の回復が遅くなった。以前はやみくもに出ていたヒルクライムレースも控え、出るレースを取捨選択しようと考えている。とりあえず今年は、乗鞍ヒルクライムにエントリー済み。良い走りができるように頑張ります!
『自転車日和』vol.63(2023年5月発売)より抜粋