クルマよりもスマートに、徒歩よりも効率よく 秩父の街をぶらりポタリング 自転車de札所めぐり

今回、編集部ヨコキが巡るのは都内から電車で1 時間とちょっと、豊かな自然と歴史ある街並みを有する関東有数の観光スポット〈秩父エリア〉。

34 ヶ所の札所が点在する秩父の巡礼道を、自転車を利用することで体力と時間を温存しながら、美味しいところ採りしてしまおうという目論見です。

今回の相棒

PacificCycles birdy C lassic EVO 
(パシフィックサイクルズ バーディークラシックエヴォ)
価格:31 万3500 円(税込)

問:パシフィックサイクルズジャパン
☎ 045-580-1650
https://pacifi c-cycles-japan.com/

初代バーディーのシルエットを踏襲しつつ、設計を0から煮詰めることで各部の剛性を向上させたクラシック。グラベル走行に対応する太めのタイヤ&ディスクブレーキを装備したクラシックエヴォは、輪行旅のベストパートナーとなること間違いなし!

 

~秩父 札所巡礼~

電車に揺られて1時間+α やってきました秩父の街

観光スポットめぐりで自転車を利用するメリットは絶大です。特に市街地を移動する場合、道が極端に狭かったり、一方通行の道を進入できなかったり、クルマでは動きづらい場面に幾度となく出くわします。

また、徒歩での移動は自由度こそ高いものの、時間の面からみても、体力の面からみても、行動範囲は自ずと限られてしまいます。その双方の問題を解決してくれるのが自転車の機動力。

中でも折りたたみ自転車は、現地まで電車やクルマでワープして、めぐりたい場所だけスマートに移動できる旅のベストパートナーと言えます。自宅が西武沿線という編集部ヨコキは、都内から西武秩父駅まで電車でうたた寝しながら移動。

駅で自転車を展開して目的地のみを快適に走るお約束のパターンを採用しています。

輪行にてやってきたのは、2017 年に複合型温泉施設「西武秩父駅前温泉 祭 の湯」がオープンしたことでガラリと雰囲気が変わった西武秩父駅。駅周辺だけでも丸1日楽しめそう!?

 

人通りの少ない場所でササっと自転車を展開。バーディーなら10秒足らずで走行状態にチェンジできます。

 

耳 寄 り 情 報
今回、ヨコキは通常運行の列車でやってきましたが、西武鉄道池袋線・西武秩父線では自転車をそのまま車内に持ち込めるサイクルトレインも運行しています。対象電車は基本、土休日の下り1本&上り1本。実施カレンダーを含め、詳しい情報は西武鉄道のウェブサイトをご覧ください。

 

実は今回の自転車散歩、心強いサポーターが待機していてくれました。西武秩父駅の改札口を出ると、姉妹誌『MTB日和』の連載企画でお世話になっているプロライダーの高山さんと秩父市役所観光課の中村さんがお出迎え。

ヨコキをアテンドするために貴重なお時間を割いて頂けるとのこと。なんというVIP待遇!「いつもお世話になっています」「初めまして」とご挨拶を済ませ、サイクリングへ出発します。

アテンドして頂いたのはこちらのおふたり

右:BMXプロライダー 高山一成さん
姉妹誌『MTB日和』内の連載企画『マウンテンバイクはじめました』にて講師役を担当。秩父滝沢サイクルパークのコースディレクター、秩父市自転車普及推進員として活動するBMXプロライダー。

左:秩父市役所観光課 中村大輔さん
デジタルスタンプラリー〈秩父札所サイクル巡礼〉の達成者を秩父札所公認サイクリストとして認定する制度(本年度の認定は来年3 月24 日まで)を提案。秩父の魅力を広める活動に従事する。

レンタルサイクルも用意

西武秩父駅前の秩父観光情報館では小径車や電動アシスト車のレンタルサイクルも用意。自転車を所有していない家族や友人も一緒にサイクリングを満喫できます!

問:秩父観光情報館
☎ 0494-21-2277
http://www.chichibuji.gr.jp/

 

出発地点は西武秩父駅、ゴール地点を秩父鉄道の秩父駅に設定した今回のプラン。 鉄道輪行だからこそ成し得ることができる折りたたみ自転車ユーザーにオススメのルートです。

マップ&イラスト:田中 斉

 

自転車散歩を満喫しながらちゃっかり御朱印まで……

今回は単なる自転車散歩ではなく、確固たるテーマが存在します。それが〈札所めぐり〉。そもそも札所とはなんなのか?

札所11番 南石山 常楽寺

交通量の多い国道から桜並木の坂道を上ると本堂と納経所が見えてくる。

 

西国33ヶ所や板東33ヶ所などでも知られる、参拝の証に御朱印をいただけるお寺さんのことです。札所を巡礼することによってさまざまなご利益を得ようとする考えが特に江戸時代以降、日本で広まったと言われています。

秩父には34ヶ所の札所が点在していますが、これをすべて1日で回るのは自転車を利用したとしても困難です。そこで「まずは無理せず、ルートに組み込みやすい街中の札所を数ヶ所めぐるところから始めてみてほしい」と中村さん。

秩父札所は街中にも多くあり、ポタリング気分で札所めぐりを楽しめます。

 

〈坂氷観音〉の扁額が掲げられている観音堂へお参り。象や唐獅子の彫刻が施された向拝の木鼻が印象的。

御朱印帳も忘れるべからず

実は御朱印集めをライフワークにしている編集部ヨコキ。この日だけでも5 ヶ所の札所をめぐる予定ということで……ホクホクが顔に表れています。

ちなみにヨコキが高山さんと中村さんに案内して頂くルートは、秩父市観光課が制作した「レンタサイクルでちちぶ旅」に掲載されている〈街なか札所巡り〜その1〜〉をベースとした走行距離6キロ程度のサイクリングプランで、ハードな登りステージを走ることなく、体力に自信のない人でも秩父の歴史を感じることのできるルートです。

グルメスポットも交えながら、距離や時間などの数字にとらわれず、訪れた土地の魅力を肌で感じることのできる札所めぐりの自転車散歩。

気に入った場所を見つけるもよし。何度も訪れることで〈秩父札所サイクル巡礼〉を達成するもよし。

「サイクリングがきっかけとなり、何度でも訪れたくなる場所として、秩父の街や自然を好きになっていただけたら幸いです」と中村さん。ちゃっかりマイ御朱印帳をバッグに忍ばせてきたヨコキ。おそらくリピーターとして〈秩父札所サイクル巡礼〉の達成者を目指すことになるでしょう(笑)

西武秩父線をくぐるタイミングで西武の新型特急〈Laview(ラビュー)〉と遭遇。その名の由来は、「L」贅沢(Luxury)なリビング(Living)のような 空間、「a」矢(arrow)の ような速達性、「view」大き な窓から移りゆく眺望。
鉄道 マニアならずとも押さえておき たい列車です。

 

札所12番 仏道山 野坂寺

重厚感溢れる黒い楼門造りの山門は江戸時代の享保年間に建設されたもの。

花頭窓の中には、閻魔大王や平等王らが安置されています。
見上げればそこには札所の札所たる痕跡を垣間見ることができました。

 

デジタルスタンプラリーに参加すれば〈秩父札所サイクル巡礼〉がさらに充実

各札所に設けられた〈秩父札所サイクル巡礼〉案内のQR コードを読み込むと、デジタルスタンプがゲットできます。34 ヶ所のスタンプをゲットすると、秩父札所公認サイクリストに申請ができます。

自転車散歩に欠かせないスイーツ休憩タイム

オススメ休憩ポイントとして立ち寄らせて頂いたこちらは、1925 年に創業された秩父で最も伝統のある洋菓子店。

現在は伝統的な焼き菓子から多彩な新作スイーツまで、4 代目がパティシエとして腕を振るう商品がズラリ。ヨコキが頂くのは人気ナンバーワンの〈巡礼笠〉。外側はカリカリ、内側はふっくら。バタークリームと杏純ジャムがサンドされた秩父のソウルスイーツなのです。

ニューみとや
埼玉県秩父市野坂町1-8-17
☎ 0494-22-1182
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休
http://www.chichibumitoya.co.jp/

 

札所13番 旗下山 慈眼寺

黒塗りの整った薬医門様式の山門が特徴。
境内にあるメグスリノキの樹皮や枝葉を煎じて飲めば目の病に効能があると言われている。

石造りの経蔵の中には輪蔵形式の経庫があり、
心柱の上に六角灯篭形の経蔵を置いて回転できるようになっている。
礼拝しながら3 回転させ ると「一切経」をすべて読んだ功徳が得られるとか。

 

札所14番 長岳山 今宮坊

明治の神仏分離によって今宮神社と分離された今宮坊。実は今宮神社にも立ち寄らせて頂いたものの、
誌面スペースの都合上、掲載を断念。龍神木をご覧頂きたかったのだが……。

観音堂前の輪廻塔を回すと幸せが訪れる!? ヨコキ、期待しちゃうぞ!

どこか懐かしさを感じさせる街並みに随所に残された秩父の街。古民家をリノベーションしたバーの前を通過する一同。

近年の昭和ブームで若者が集まるエリアにちょっとだけお邪魔。情緒感溢れるレトロな街並みがステキです。

 

ランチタイムはナポリタンセット

ランチに立ち寄らせて頂いたのは創業55 年という秩父に最初にオープンしたパーラー。昭和レトロを感じさせる店内の雰囲気も◎。いまも変わらない懐かしいメニューを堪能するヨコキ。

パーラーコイズミ
埼玉県秩父市番場町17-13
☎ 0494-22-3995
営業時間:10:00~19:00(ランチタイムは11:30~14:00)
定休日:木曜日(臨休あり)  https://parakoizumi1967.crayonsite.net/

 

札所15番 母巣山 少林寺

秩父鉄道の踏切を渡った先、石段の上に見えるこの日最後に訪れた札所。

白い漆喰が印象的な秩父札所で唯一の土蔵造りの本堂を拝観できる。
バイクラックが備えられた自転車にフレンドリーな雰囲気にも惹かれる。

GOAL!

背後に武甲山を背負いながら秩父鉄道の線路沿いを走れば、ゴール地点となる秩父駅はもう目の前。休憩や食事を取りながら4時間ちょっとのプチトリップを満喫したヨコキ、5 ヶ所の札所で御朱印も見事にゲット。

残る札所はあと29ヶ所。いままでより身近に感じられるようになった秩父。時間を作ってまた訪れますよー。

秩父駅に隣接する〈じばさん商店〉でお土産探しも忘れずに!

秩父土産に日本酒を物色するドランカーヨコキ。折りたたみ自転車なら輪行で最寄り駅まで帰れるので(※最寄駅からは押し歩きで数分)、試飲もOK だったりして(笑)

ポテくまくん、また来るよ~

 

写真:村瀬達矢

-OTHER, サイクリング