【MTB】初心者必見! プロが教える洗車&メンテナンス

ディーラーマニュアルを隅々まで読み込んでいるようなマニアはともかく、MTB 初心者にとって自転車のメンテナンスは間違いなく高いハードル。

今回は、次のライドを気分よく迎えるための乗車後ケアをご紹介!

AST店長 高山さん
指南役はMTB&BMXのプロショップとして、これまで多くのライダーをサポートしてきたASTパパ。MTB初心者でも挑戦しやすい、整備のコツをレクチャーしてくれます。

AST
埼玉県和光市白子1-24-21 ☎︎ 048-461-2370
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定休日:月曜日、水曜日
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自転車の汚れを落とす

山遊びをする上で避けて通れない、MTBの汚れ。ライドを楽しめば楽しむほど、土や砂、泥などさまざまな汚れが思い出とともに付いてくる。多少の汚れなら見なかったことにしたいところだが、そのままにしておくとタイヤの劣化や変速の不具合にもつながることも。

できればその日、もしくは翌日など、早めのケアをしておきたい。とくにタイヤやシューズは早めにケアすることでゴムが硬化しにくくなり、グリップ力を維持しやすくなる。

自転車用洗剤

タイヤ用 変速機関連 フレーム用

バケツ

ジョウロ

バイクスタンド

アイテムは一例なので、洗車環境に応じて選びたい。中性洗剤も使えるが、専用アイテムのほうが洗浄力は強い。スタンドはペダルを回して作業できるものが便利。

ジョウロやホースなどを使い、車体全体を水で濡らす。

汚れている箇所に洗剤を吹きかける。洗剤が乾かないうちに作業した方が良いため、車体を前後にわけて洗うのがおすすめ。今回は後輪側から作業した。

汚れていれば、変速機やチェーンにも洗剤を吹きかける。

洗剤を吹きかけ、5 分ほど置いて浸透させる。その後、ブラシを水につけながらタイヤの汚れを落とす。あまり汚れていなければ、そのまま水を流すだけでも良いが、頑固な汚れはブラシを使用したほうが落ちやすい。

変速機やチェーンも同様にブラシで汚れを落とす。油分が付くため、タイヤやフレームを洗うブラシとは別のものを使用する。

Point!
頑固な汚れが付着している場合はチェーンを外してディグリーザーでしっかり洗浄する必要があるが、ライド後の日常メンテナンスとしてはこれでOK

フレーム用ブラシでフレームも洗浄。リンク部分など、汚れを落としづらいところもブラシを利用すると洗いやすい。

きれいに見えるリム部分も意外と汚れている。フレーム同様ブラシで汚れを落とす。

ブラシを使い汚れを浮かせたら、ジョウロなどを使い、汚れと洗剤を水で洗い流す。

同様の工程で車体前側も洗車する。

▼洗車後のタイヤ

Before

After

もともとそれほど汚れていなかったが、洗車後はタイヤの黒がくっきりとし、ピカピカに仕上がった。

洗車と一緒にシューズも洗浄!

せっかく洗車するなら、一緒に洗えるものは洗ってしまおう。つい後回しにして洗いそびれてしまいがちなシューズも、洗車と同時に作業すれば一石二鳥だ。

Before

After

車体同様に、ソールを濡らして洗剤を吹きかけた後でブラッシングした。

洗車後のケアと仕上げ

表面上は汚れが落ちてきれいになったMTBだが、洗顔後の肌と同様にしっかりとしたケアや仕上げが大切だ。

フレームをコーティングしたり油分が落ちた可動部に注油したり。少し手を掛けるだけで、次回ライド時の快適さや気持ち良さに差が出るので洗車とセットで作業するようにしたい。

ウエス

潤滑剤 コーティング剤 チェーンルブ
ケミカル類

潤滑剤やチェーンルブは愛車メンテナンスの基本アイテムとしてそろえておきたい。チェーンルブは走る場所や状況に合わせてドライ・ウェットを使い分けよう。

フレームコーティング

洗車後の車体を保護し艶出しするためのコーティング作業。

コーティング剤をウエスに吹きかける。艶出ししたい場所に直接スプレーしても良いが、ブレーキなど、吹きかけてはいけない部分にかからないように注意。

コーティング剤をフレームにまんべんなくすり込むようにウエスで拭き上げる。

フレームのほか、サスペンション、リム、ハブなども同様にコーティングする。

ブレーキやサドルなど、滑ると危険な場所には塗布しないように。

▼洗車・コーティング後のフレーム

Before

After

洗車するだけでもきれいになるが、コーティング仕上げを施したことで、汚れが付着しづらくなる。

ディレイラー可動部への注油

洗車により油分も落とされるため、可動部へ注油する。

ディレイラーのリンク部分へ潤滑剤を注油する。

②プーリーへも潤滑剤を注油。表側だけでなく裏側からも注油する。
※シールドベアリングのプーリーへは注油の必要はない。

チェーンへの注油

洗車後はチェーンへの注油も忘れずに。

チェーン全体に注油していくが、注油した部分を把握するため、ミッシングリンクなどを目印にするとわかりやすい。

チェーンは上側に注油すると飛び散りやすいため下側でおこなう。周囲を汚さないようウエスで保護しながら注油する。

Point!
チェーンがくるくる可動するリンク部分に注油するのがポイント。

チェーン全体への注油が終わったら、すべてのギアに変速し、カセットの刃先をオイルでコーティングしていく。

洗車で水が使えない場合は?

集合住宅など、洗車で水が使いづらい環境の場合、室内でも洗車ができる水なし洗浄剤の使用がおすすめ。作業する際は床などの養生をしっかりしておこう。

フォーミングクリーナー

泡タイプのクリーナーを汚れた場所に吹きかける。フレームだけでなく、駆動系やタイヤなど、あらゆる場所に使用できる。

浮き上がってくる汚れを吹き上げるだけでOK!水を使わずに手早く洗車をしたいなら、試してみてはいかがだろう。

写真:村瀬達矢 文:トライジェット
『MTB日和』vol.49(2022年6月発売)より

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