今シーズンのMTB レースも折り返しを迎え新たな注目選手が出てきました。今回はXC、DH それぞれのシリーズで進境著しいアンダー15、ユースクラスのライダー達を機材とともに紹介します。
写真・文:鈴木英之 photos&text by Suzuki Hideyuki
取材協力:MTBリーグ、SLメディア
XC COUPE DU JAPON MTB 湯船国際
FILE.1
TREK PROCALIBER 9.6
加速に優れ、下りでも扱いやすい29er
Women's Youth
有松鈴々菜 ARIMATSU RIRINA
(TEAM Q-MAX)
今年、開幕から圧倒的な速さを見せ、出場したレースすべてに勝っている有松さん。
周回数の少ないユースとはいえ、スタートダッシュと登りの速さはもはやエリートクラス。バイクは今季からトレック・プロカリバーにスイッチ。
コーチでもある現役競輪選手の北津留翼氏が、メンテナンスとパーツチョイスをコーディネイトしているが「最近のXCバイクはトップチューブが長く、小柄なライダーがポジションを出しにくい」(北津留氏)と、1世代前のモデルを選んでいる。
ドロッパーポストが必要以上に伸びるのを抑えるためワイヤリングが施される。
「軽くて加速しやすい点が気に入ってます」とピレリ・スコーピオンXC RCチームエディションをチョイス。
ステム一体型のカーボンバーは、北津留氏がいくつか用意した中から選んでいるという。
DECKAS 製チェーンリングにSIGEYI /AXO パワーメーターを組み合わせる。
FILE.2
SPECIALIZED S-WORKS EPIC
ペダル効率と走破性を両立させたXCバイク
men's Youth
伊藤隆聖 ITOH RYUSEI
(Sonic-Racing)
昨年のシクロクロスU-15全日本チャンピオンであり、XCO強化指定選手の伊藤隆聖さんが目指すのは「どちらも強いマチュー・ファン・デル・プール」。
実力伯仲のユース男子にあってコンスタントに上位入賞を果たしている成長株の1人だが、伸び盛りとあってバイクのポジション出しにも苦労があるそう。「ハードテイルみたいによく進むので、ここ(湯船)のようにアップダウンのあるコースでもスピードを維持できます」。
「天気に関係なくいけちゃいます」というほど気に入っているというヴィットリア・メスカル。
バイクヨークのリバイブ・ドロッパーポストは「とにかく丈夫なので安心です」
シフターと干渉を防ぐためプロテクションデカールに加え、SKEAN LEGENDのトップチューブプロテクターを装着。
グリップはエルゴンGA2。カラーは「特にこだわってはいないです」。
FILE.3
SCOTT SPARK RC TEAM
下りでの安定感が魅力の軽量フルサスバイク
men's Youth
小坂柊矢 KOSAKA SHUYA
(HedgeHog Racing)
今年、XCO育成指定選手となった小坂柊矢さんは「持久系のレースが得意」というようにコンスタントにラップを刻むタイプだが、6月の白山一里野大会で3位に入るなど、速さも身につけつつある。
今年から乗り始めたスコット・スパークRCは旧型ながらワールドカップスペック。「同じカラーに乗っている人がいないですし、ステルスグラフィックも気に入っています。
リアバックが適度にしなるので乗りやすいですし、下りでも安定感があります」
ライズ10mm のレンサル・ファットバー・ライトカーボン。重量は約190g。
ステンレスの保護プレートが目をひくレースフェイス・エラ・カーボンクランクに同社のシンチ・チェーンリングのコンビ。
「これにしてから走りが変わりました」というマキシス・アスペンST。
リブの形状が気に入っているというPNWコンポーネントのロームグリップ。
DH DOWNHILL SERIES R4 白馬岩岳
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SANTA CRUZ NOMAD Cクイックなハンドリングのエンデューロマシン
men's Youth
橋本希一 HASHIMOTO KIICHI
(&stream...小川輪業)
DHとエンデューロを、この1台でこなす橋本希一さんは、BMXレーサーとして「TOKYOジュニアスポーツアンバサダー」にも選ばれる実力の持ち主。
好きなライダーは「顔立ちやライディングスタイルがカッコ良いブレット・リーダー」とのことだが、バイクはサンタクルズ・ブロンソンのXS、Sサイズと乗り継いできて6月の全日本選手権からノマド(Mサイズ)を投入。
「登りも下りもできるオールマイティなところが気に入っています」
「シンジケートチームも使っている」バーグテックのライドワイド・エンデューロバー。
ノーズが浅めに設計され、ショーツが引っかかりにくいバーグテック・ザ・クラウドMkII。ドロッパーはロックショックスのリバーブ。
スイングアーム裏にサポートショップ小川輪業のステッカーを配置。
耐久性重視でDTスイスFR541にONYX ベスパーハブを組み合わせる。ブレーキは信頼性の高いマグラMT7。
FILE.5
TRANSITION TR11パークからレースまで、バランスに優れるフルサイズDHバイク
Women's Youth
藤森美空 FUJIMORI MIKU
(KAMIHAGI cycle)
BMXでキャリアをスタートさせ、現在はDHとXCを主戦場にしている藤森さん。
全日本選手権では連覇を達成。ダウンヒルシリーズも出たレースは全て勝ちエリートクラス首位につけている。好きなライダーはグレイシー・ヘムストリート(ノルコ・ファクトリー)。将来の目標は大きく「ワールドカップの表彰台」。
3月から乗り始めたというTR11は、Sサイズだが「サイズ感がよく乗りやすいです」と、レース後のウイップコンテストでも軽々アクションをメイク。
リアサスが沈んだときに生じるキックバックを軽減するOchain。「荒れた路面で楽に走れます」
マックオフのビッグボアチューブレスバルブは、シーラントの目詰まりがなくパンク修理の時間も短縮できる。
アンヴィル・スウェイジダイレクトステムにアンヴィル・マンドレル20 バーの組み合わせ。
前後ブレーキはマグラMT7。ローターは2ピース構造のMDR-Pを選択。
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SPECIALIZED DEMO RACE
ミックスドホイールで速さとコントロール性を両立
men's Youth
渡邉幸太朗 WATANABE KOTARO
今年4月から白馬高校に入学。岩岳ローカルとしてトレーニングに励んでいる渡邉さんの愛機は、2020年に発表された200mmトラベルのデモ。
レースモデルながら、フリーライドやジャンプセッションもこなせる扱いやすさが人気の秘密。渡邉さんも「トラクションのかかりがよくコーナリングも安定感があります」。
フロントフォークに2023モデルのボクサー・アルティメイトを装着するなど、細部のブラッシュアップもぬかりない。
トップチューブに"レッチリ"ステッカーでロック少年を主張。ステムはバーグテック・ダイレクトマウントMk3。
2.38mm 径インナーとなり、チャージャー3 RC2ダンパーを搭載したボクサー・アルティメイト。「角ばったデザインも好きです」。
「サイドの剛性が高いのでコーナーでも安定します」とコンチネタル・クリプトタルをチョイス。
サドルはバーグテック・ザ・クラウド。フレームには親戚が津島神社でいただいてきたお守り。
『MTB日和』vol.59より抜粋