温故知新 徒然MTB談話室 第6回

ちょうど1年前、都立狭山公園のイベントで実施された西多摩マウンテンバイク友の会とヨツバサイクルのコラボによるマウンテンバイク乗り方教室を眺めていたおふたり。今回は国営昭和記念公園を訪れ、またまたキッズたちの走りを眺めながら盛り上がっています。はたして、どのような展開に?

Profile

  

中沢 清(写真右)
CSナカザワジム店主。西多摩マウンテンバイク友の会会長として、MTBを取り巻く環境の改善と次世代のマウンテンバイカーの明るい未来のために日々奮闘中。弊誌『MTB 日和』ではインプレッションライダーも担当。
今泉 紀夫(写真左)
ワークショップモンキー店主。MTB誕生以前からそのシーンのすべてを見てきたまさに歴史の生き証人。日本人による日本のフィールドにマッチする日本人のためのフレーム、モンキーシリーズの開発にも意欲的。

 

中沢:子どもたちがこれだけ夢中になって走って、それを見ている親たちもよろこんでいて。

でも、この子たちって次にどこにいけばいいんだろうって思うんです。家の近所の公園なんかもそうだけど、どこにいっても乗れないし。
 
今泉:変ですよね。
 
中沢:変ですよ。大人も昔は普段使いでMTBに乗っていましたよね。MTBがちゃんと見えるところにあって、見た人が「カッコいい! 自分も乗りたい」ってなって。

こういう見える場所に自転車を持ってくるとみんな好きなのがわかるんですよ、MTBに乗りたいんだなって。

ヨツバサイクルも気がつけば立派なメーカーになってるじゃないですか。ある意味、日本で一番有名な日本のMTBブランドですよ。

大人にもヨツバの感覚で乗れるMTBがあって、子どもたちと同じ感覚で遊べる場所があったらいいんですけどね。
 
今泉:うちらは靴を作っているようなものなんですよ。履きやすい靴を作ることは大事なんだけど、こだわりすぎちゃうとね。
 
中沢:さじ加減ですね。
 
今泉:最終的には自転車って、与えられたものをセッティングすればなんとかなっちゃうのかもしれないけど、根本のフレーム作りは必要で。
 
中沢:ママチャリでもハンドルの高さやレバーの角度を変えるなど、ちょっといじるだけで乗りやすくなったっていわれます。

ヨツバも高額車ではないけれど、きちんとセッティングすると楽に乗れるようになったとか、遠くが見えるようになったとか、曲がりやすくなったとか、よろこんでもらえます。

そのヨツバに普段乗っている子が今日、モンキーの子ども車に乗ったら「すごい! 乗りやすい!」って。モンキーのようなオーダーフレーム車とコストを抑えた量産車のヨツバを比べるのもおかしな話ですけど、子どもにはちゃんと違いがわかるんですね。

案外、大人の方がわかってないんじゃないですか? 高いMTBに乗っていても(←やや辛口風)。
 
今泉:もの作りっていうのは、ないから作るのであって、いまはあるから。代々受け継ぐ形でうちの古い子ども車を使ってもらっているパパにもいってるんですよ、ヨツバを買ってあげなさいって。
 
中沢:で、思ったのが昔は日本のMTBブランドがたくさんあったのに、いまは大半が海外ブランド。日本の山で乗るんだから日本のメーカーのMTBに乗りたいなって。
 
今泉:子ども車に関していえば、自分たちが作らざるをえなかったのは当時、マスプロメーカーに子ども車がなかったから。

ロードには子ども車があったけど、最初のブームのときには子ども用のMTBがなくて。そのあと世界的なMTBブームがきて、そのときはジャイアントのようなマスプロメーカーが子ども車を出してきたけど結局、中沢さんがいうようにものに対する考え方の差が微妙にあって。

キックバイクが出てきてまた、メーカー側の発想が変わったような気がしますけど。
 
中沢:大人用のはなんでなくなっちゃったんですか?
 
今泉:それはある意味、パッションがないから。経済活動はしなくちゃならないので、メーカーさんは売れるものしか作れない。
 
中沢:トランジションなんかもそうだけど、自分たちが乗りたいから作りはじめて、数が売れるようになって。いまはすごいメーカーになっちゃったじゃないですか、ワールドカップでも勝てるような。

それってものがいいのはもちろん、走る環境とか、乗る人とか、さっきノリさんがいってたパッションみたいなものまで、すべてそろっていてこそなのかなって。

ヨツバは経済的にはもっと売らなきゃいけないのかもしれないけど、パッケージも見てわかりやすいし、日本で子どもたちがこれだけ楽しく乗っているんだから、そのうち海外からうちでも売りたいなんて話がきてもおかしくないはず。


 
今泉:日本にはサスペンションメーカーがありません。KYBやショーワも1度は作ったけど結局できなかった。

当時からよくいってたんだけど、日本のメーカーが作るものはよくできているんだけどハートがない。オートバイのサスペンションとか売れるものは作るけど。ドイツのメーカーも似ているところがある。
 
中沢:いいものを作ろうという意思は感じます。でもこういう人に乗ってもらいたいとか、こんな感じで遊んでもらいたいとか、そういうのがないのかな。ネジひとつにまでこだわったいいものが作れるのに。
 
今泉:テクニックはあるけどパッションがない。
 
中沢:苦手なのかな。
 
今泉:苦手なんです。
 
中沢:いまの若い子たちって伝えたり、広めたりするのは得意じゃないですか。自転車のことに限らず。
 
今泉:使うことや楽しむことは上手だけど、作ることと考えることは不得意な時代。クールジャパンとか、古い文化の代表的に南部鉄瓶とかが注目されたり。だったら掘り起こしてもらえるといいのかも。
 
中沢:これまで話をしてきた、古いものの中にヒントや答えがある、ってことですね。それを磨き上げるのが大事なんですね。

いまはフィールドが増えてきていますけど、昔はこうだったからダメになったとか、なんでこうしなかったんだろうとか、疑問に思った人たちが動き出したから。いまトレイルやフィールドにかかわっている人は若い世代の人たち。

昔、ものがないから作ろうと思ったのと同じように、いまは走る場所がないから作ろうとしている。もの作りの世代と若い世代がつながったらもっとおもしろくなるかもしれませんね。

走る場所がオフロードじゃなくても楽しさは◎。MTBをもっと身近に感じられたら……と話しているかどうかは不明です。

今泉:コンプライアンスが問われる時代だけど、それをしないと遊べない不幸が若い世代にはあるわけで。

本来はそういうものでもないけれど、いまはそれが大切。自転車だと安全基準とか、もの作りの観点から見ても似たようなものはあって、そういう意味ではいつの時代も変わらない。

だから遊びを作り出す中で、ものの使い方のバランスがいい意味でとれるようになれば……。
 
中沢:ヨツバがそのきっかけになる気がするんですよね。
 
今泉:MTBに関してはぼくもそう思います。
 
中沢:うちでヨツバを買ってくれた子たちは、どちらかというと近所で乗ったり足として使っているんです。

で、凸凹したところをちょっと走るだけでハッピー。それって大人のマウンテンバイカーが忘れていることなのでは?
 
今泉:やっちゃいけないが増えすぎました。いまは神社の境内で遊ぶ子どももいないし。それが世の流れ。
 
中沢:でも、失敗の中にも学びってあるじゃないですか。絶対にやっちゃダメなことはあるけど。
 
今泉:対外的な枠というか、いまはそういうのが大変だから。でもヨツバという正しい自転車があるから、それで遊んでもらう提案はできます。
 
中沢:子どもっていろいろなことを勝手にやり出すけど、それってMTBの進化につながると思うんです。

下りばっかりやりたいとか、技をきめたいとか、飛び降りたいとか、それぞれのスタイルがあって。だから最初はこうって決めつけずに、なんでもやってみればいいと。

イベント前のコースチェックでモンキーの子ども車に乗る西多摩マウンテンバイク友の会のキッズ。設計の方向性やバックボーンが異なるヨツバサイクルに乗り慣れた子たちも、その走り心地のよさに驚きを隠せない様子。

今泉:おー、めっちゃコントロールしてる(←走る子どもたちに集中しているため、やや会話から離脱中)。
 
中沢:見ながら話をしてると楽しくなっちゃいますね(苦笑)。
 
今泉:インカットしてもオーバーランしちゃうから。じゃあ、どういうライン取りをしようかと考える。で、こうなる(引き続き離脱中)。
 
中沢:バルーンの壁にぶつかるのが楽しい子も出てきたりして。
 
今泉:ヒュー、グッジョブ!(←完全に離脱中)。
 
中沢:試乗している子たちの走り方に違いがあって、それでXCにいくか、DHにいくか、距離系にいくか、なんとなく見えてきます。
 
今泉:おっ、いいねぇ!!(←まだまだ離脱中)。
 
中沢:転んで笑われてハッピーな子は自転車じゃない道に進むかも(笑)。
 
今泉:子どもたちは真面目に、真摯に取り組んでいます(←半分復帰)。
 
中沢:この子たちがヨツバを卒業したときの受け皿を増やそう、それは大人の責任! 子どもたちにフィールドは作れませんからね。

 

徒然特別座談会

GUEST
ダートフリーク 秋田さん

右がヨツバサイクルの仕掛人、秋田さん。モンキーとヨツバサイクルによる夢のコラボはあるのか!?

中沢:ところでヨツバを立ち上げたきっかけってなんですか?
 
秋田:本当のこといってもいいんですか? 自分の子のためです。(一同爆笑)
 
中沢:だからパッション(笑)。
 
秋田:会社に同世代が多くて、子どもたちも同世代。テストライダーにはこと欠きません。イベントもテストライダーだらけです。
 
今泉:うちと同じ。これ(モンキーの子ども車)も長男のために作ったやつ。
 
中沢:ヨツバって基準となるサイズってあるんですか?
 
秋田:正直、最初は右も左もわからなくて他社さんの自転車を参考にもしました。

実はロットごとに変えているんですよ、ジオメトリーも細かいところも。イベントで子どもたちの走りを観察して、もう少しBBを下げてみようとか、リアセンターを詰めたらとか。
 
今泉:サンプリングは大切ですからね。
 
秋田:宣伝もできてテストもできて、親御さんの意見も聞けますから。この色いいねとか、サイズ感のこととか。ありがたいです。
 
中沢:大きいサイズも出てきたし、そろそろ大人用のヨツバがあっても?
 
秋田:もちろん、考えていますよ。子どもと大人が一緒に走れるような電動アシストも視野にいれて。
 
中沢:ではノリさん、いい感じにまとめてください。
 
今泉:四葉のクローバーっていうのは遺伝子学的にはなくて、踏まれて傷がつくとその関係で1枚葉が増えるらしいんです。

みんながなにか考えることでありえないものが生まれるように、外からの力で葉っぱがひとつ増える、それがヨツバ。
 
中沢:パッションだねぇ、やっぱり(笑)

 

徒然特別インタビュー

GUEST
西多摩マウンテンバイク友の会 石川くん

中沢:モンキーに乗ってみてどうだった?
 
石川:ジャンプしようと思ったけどうまくできなかった。
 
中沢:ジャンプはヨツバの方がしやすい?
 
石川:うん。
 
中沢:ヨツバと比べてどうだった?
 
石川:乗り心地が一番よかった。
 
中沢:どっちが速かった?
 
石川:ギアがあるからあっち(モンキー)の方が乗りやすかった。買いたい。
 
中沢:買いたい!?(笑)。

 

取材協力:ヨツバサイクル 
http://www.dirtfreak.co.jp/cycle/yotsubacycle/

 
写真:村瀬達矢 文:トライジェット
『MTB日和』vol.36(2018年11月発売)より抜粋

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