「サイクリング王国わかやま」がおすすめする2つのコースを自転車業界の人気インスタグラマー、篠さんと平野由香里さんが走る!
前回に引き続き、今回は「モデルプランその2」をご紹介します。
モデルプランその2
雑賀崎から紀の川サイクリングロードを走り高野山へ!
スタート:JR海南駅〜ゴール:南海高野山駅(距離:約85km/獲得標高:約1983m)
JR海南駅よりスタートするこちらのプランは、海辺のルートや川沿いのサイクリングロードを堪能し、世界遺産・高野山を目指すもの。
「その1」と比べると距離も延び、内容も濃密なお腹いっぱいコースです。
まずは漆器の産地として400年以上の歴史を誇る黒江の街並みを眺めつつ海沿いへ。
リゾート感あふれる和歌山マリーナシティを経由し、開放感ある風景を堪能しながら北上します。
和歌浦にさしかかると徐々に雰囲気が変わり、雑賀崎では「和歌山のアマルフィ」と呼ばれる風景に出会えます。
ここでしばし撮影タイム。
雑賀崎からさらに北上すると紀の川の河口に到着。
ここからしばらくは紀の川サイクリングロードをひた走ります。
紀の川サイクリングロードは、河口から橋本市のJR隅田駅まで60kmを超える大規模なサイクリングロード。
春には桃の花が咲き誇る桃源郷をはじめ、豊かな自然や歴史を感じられる場所やグルメスポットも盛りだくさん。
基本的に平坦で人の行き来も多くないため、ストレスなく走ることができます。
途中、南海本線をくぐるのですが、赤い鉄橋とレンガづくりの橋脚の組み合わせがなんともいい雰囲気。こちらでもあれやこれやと撮影タイムを楽しみます。
道の駅・柿の郷くどやま付近まではサイクリングロードの開放感を堪能。その後、じわじわと高野山へのヒルクライムがはじまります。
高野山は言わずと知れた日本仏教の聖地。
世界遺産にも登録され、宗派を問わず多くの観光客が訪れています。
今回ふたりが走ったルートはヒルクライムとしての距離は20kmほどと長いものの、勾配はそれほどきつくないようで、篠さんも平野さんも余裕の表情です。
鮮やかな朱塗りが映える大門前にたどり着いたらヒルクライムは終了!
歴史や文化を感じる見どころが満載の高野山。登りきったことで満足してしまってはもったいなさすぎます。
じっくり巡ろうと思うとととても半日では足りませんが……せっかくなので時間の許す限り、天空の聖地と呼ばれる高野山観光を満喫しましょう!
と、その前に……。
この日、篠さんと平野さんの登頂を待ち構えていた取材班が驚いた光景をひとつ。
まるで近所を散歩するかのごとく、シティサイクルの方が登ってくるではありませんか!
聞けば和歌山市街からやってきたとのこと。ある意味、かなりのツワモノ!?
大門から少し奥へ進み、壇上伽藍エリアへ。
天保14年(1843年)の火事で焼失し、高野山開創1200年を記念して再建を果たした中門が。
こちらの四天王像は、消失をまぬがれて保存されていた像と、新造された像があるため、比べてみると興味深いです。
高野山は「一山境内地(いっさんけいだいち)」と称され、山内にあるすべてのお寺をはじめとする街全体が境内とされています。
境内には117の寺院があり、そのうち52の寺院が宿坊として旅行客を受け入れていますが、なんとその中の3つの寺院が“サイクリストに優しい宿”として認定されています!
ということで、今回はサイクリストに優しい宿坊のひとつ、福智院にて精進料理をいただきました。
精進料理に舌鼓を打った後は、高野山最大の聖地「奥之院」を参拝。
樹齢数百年以上という杉木立の中、20万基を超える歴史上の人物たちの墓石や祈念碑などが立ち並ぶ様子に圧倒されます。
奥之院の参道は、一の橋から御廟まで片道約2kmの距離があるため、歩きやすい靴に履き替えて散策しましょう。真夏以外は思いのほか冷えるので、防寒着もあると安心です。
今回はガイドさんの案内により、ところどころでとても丁寧な解説をしていただき、とても有意義な時間を過ごすことができました。
超濃密な2日間を満喫したら、南海高野山駅からケーブルカーを利用して帰路につくのがスムーズです。
モデルプランその2はいかがでしたか?
篠さん
紀の川サイクリングロードは、関東と比べて車止めポールなどの減速ポイントが少なく、気持ちよく走り続けることができました。
高野山は観光地ということもあって、路面が整備されていて走りやすいですね。斜度もきつくないので、走力がある人はスピードを上げることもできるし、初心者も時間をかければちゃんと登頂できそうです。
道中は山深いのに、上に着くと観光地があることに驚きますね。普段のヒルクライムは登頂してもサイクリストしかいないので(笑)。
精進料理は言われなければ精進料理とわからないような内容で、めちゃくちゃおいしくて感動しました。
奥之院については、サイクリストは登ったらその後は通り過ぎがちなので、こんなところがあるとは知りませんでした。
ひとりだったら雰囲気を味わって通り過ぎてしまいそうな参道も、ガイドさんの説明のおかげで勉強にもなったし、歴史に触れる旅を満喫できました。
平野さん
都会のサイクリングロードと違って、紀の川はローディーの数が少ないので自分のペースにあったサイクリングが楽しみやすいですね。南海のピンクの電車を見たときは気分が上がりました。
高野山は4年くらい前にも登ったことがありますが、記憶していたより緩斜面で、景色も楽しめました。
登った先で左手に大門が飛び込んでくと、達成感が増しますね。
観光シーズンはクルマが多くなるので、登るときはライトをつけたり、見えやすい服装を準備したりすることをおすすめします。
宿坊でいただいた精進料理は目でも味わえる内容でとてもおいしくて!
奥之院は、ガイドさんの案内のおかげで歴史を感じたり、生と死について考えたり……自分の人生を振り返るような。とても考えさせられる内容でした。
歴史上の人物や大企業のお墓など、いろいろなお話を聞きながらタイムスリップしたような気分に。
体も頭も動かし、さらに心も動いた和歌山の旅になりました。
「サイクリング王国わかやま WAKAYAMA800」のおすすめコースは無限大!県内のその他のおすすめコースやサイクルステーション、サイクリストに優しい宿も紹介されています。
今回、残念ながら取材班は篠さん&平野さんと一緒に走りながらの取材ではありませんでしたが(そもそも一緒に走ってもついていけません……)、2日間で巡った場所は脱力系の『自転車日和』編集部でも「走ってみたくなる」ルートでした。
撮影を担当したカメラマンも、「あらためて走りに来たい!」と言うほど。
無理をせずマイペースで走ればかなり満足できそうです。
すべてのルートをたどるもよし、美味しいとこどりするもよし。
「サイクリング王国わかやま」を思う存分満喫してみてください!
写真:吉見幸夫