マウンテンバイクと出会い、その魅力に取りつかれてしまう。そこにはどんな道のりがあったのか……さまざまなマウンテンバイクライフを楽しむ人たちのリアルなエピソードをお届けします。
MTB日和vol.55の表紙を飾ったのは……
篠さん&SURLY KARATE MONKEY
ロードとは違う難しさに新たなおもしろさを見いだす
ヒルクライムやロングライドを中心に活躍し、ロードバイク界隈で圧倒的な知名度を誇る篠さん。
そんな篠さんがMTBと出会ったのは埼玉県の飯能市に引っ越した4年ほど前、ロードバイクを見てもらうために行ったお店がきっかけでした。店内にはMTBがずらり。その見慣れぬ光景に興味を持ったものの、ちょっとハードルが高い……そう感じていたところ、お店が主催するMTBツーリングへの誘いを受け、レンタルのMTBで参加してみることにしました。
はじめてのトレイルライドはどうだったのでしょうか?
ロードに乗っていて体力はあるから大丈夫だと思っていたんですけど、はじめは根っこがあってもそれに向かってぶつかっていったんです。いなそうという感覚がなくて。タイヤが太いから走破性がめっちゃあるんだろうと思ったら、乗り手によって違うんだとそのとき知りました。
上りでもおりていたし、下りも怖くて体勢がつくれない感じで、すごく難しいと。でも、こんな乗り物があるんだと、ちょっと興味をもちました。もっと体を動かせたらロードでも活かせるんじゃないかって。そのころはヒルクライムの下りがすごく苦手だったんです。
上りは楽しいのに、下りは仕方なく下っている感じで。ぜんぶ楽しむためには下りもなんとかしたい。飛ばしたいわけではなく安全にもっと余裕をもって走れるようになりたい、そんな理由でMTBをはじめてみようかなと思ったんです。
気づけばロードのためというのではなく、トレイルライドをメインに純粋にMTBを楽しむようになりました
フラットペダルからMTBに乗りはじめる人が多い中、ロードから入っている篠さんははじめからビンディングを使用。不安はなかったのでしょうか?
ロードからの流れで自然とビンディングを使っていましたが、良くも悪くもペダルに助けられているところが多くて。ちゃんと乗れていなくてもバイクがくっついてきてくれている感じで、その状態でパークを走っていたときは怖さのほうが勝ってたんですよね。
かろうじて下れているけど、自分で操作している感じはあんまりなかった。フラペに切り替えてからはまだパークに行っていないのでなんとも言えないんですけど。無茶しても意外とはじかれない、というのはビンディングのよさだと思うんですけど、自分がちゃんと乗れていないのがわからない。
ビンディングで乗っていたときは、ペダルが空回りしてる感じや引っ張りあげる動きをしてるときがあったんです。フラペでやるとそのまま足がすぽっと離れる動きだと思うんですけど、たぶんちゃんと立てていないままハンドルで曲がろうとするからすべったりするし、グリップしているかもそのときはわかってなかったんですよね
フラペに切り替えたきっかけはなんですか?
2年くらい前に、仲間と遊びながらブレーキングを教えてもらったんです。ロックさせないでフロントで止まったりリアで止まったり、あえてロックさせてみたり。
いろんな動きをするのに、ビンディングだといざというときにこけそうだからとフラペにしました。フラペでポゴをやろうとしたら最初はバイクの上でそのまま飛ぶみたいな感じになりました(笑)。
ロードで飛んでる人もいるんですけど、ビンディングだから飛べていて、実際は自転車を置いてきちゃってるのかもしれないなーと。フラットペダルに慣れたら自転車との一体感をもっと高められるんじゃないかなと思って、練習の意味で使うようになりました。ビンディングからフラペにしたら、いままで走れていたトレイルがぜんぜん走れなかったんです。
下りだけじゃなくて、上りでも足が外れるんですよね。ビンディングとは回し方が違うし、サドルの高さも違うし。それからトルクのかけかたも考えるようになって、MTBは奥が深いなぁ、と。いまはまだ自転車にも道にも遊ばれている感じなので、なんとか自分で遊べるようにしたいですね
楽しそうに語る篠さんの向上心、尽きることはなさそうですね。
SURLY KARATE MONKEY
最初に購入したのはサンタクルズのハイボール。トレイルライドから王滝参戦まで幅広く楽しんでいましたが、「もう少し下りもいけてアクションの練習がしやすいものが欲しい」というタイミングで出会ったのがこちらのカラテモンキー。色にこだわって選んだパーツや、MTB 仲間に譲ってもらったアイテムなどでフレームから組み上げた。
ハンドル&ステムはPNW。「山のマークがかわいかったから(笑)。ポップな色を使いたいなと、この色を選びました。グリップはあえて黒ではなくグレー。色ですごく悩みました」
くいつきの良いHTのペダル。ハブには「ハブ毛よりハブにやさしいし、かわいいので」と、ミサンガを巻く。グリップ型のバルブキャップもワンポイントに。
ブレーキはシマノのセイント。「よく利くのでロックしそうだなと思っていたんですけど、止まるためだけじゃなくてその間を使う感覚がわかってきました。すべる路面でロックする回数が減って。ブレーキングの考え方がここ2年くらいで変わった気がします」
トレイルライドだけでなくトリックの練習も楽しんでいる篠さん。愛車にはスケボーのデッキテープをチェーンステイに巻くというプチカスタマイズが施されている。