MTBが気になっているあなたを応援! 女性マウンテンバイカー倍増計画

 
男性に比べ、まだまだ数の少ない女性マウンテンバイカーですが、アクティブなアウトドア派やお子さんと一緒にはじめるファミリー層を中心にじわじわと増殖中。MTBライフを満喫する方々やMTBの楽しみ方を紹介し、MTBが気になっているみなさんを応援します!
 

わたしとMTB

MTB との付き合い方は十人十色。それぞれの歩幅で楽しむ、すてきなマウンテンバイカーを紹介します。
 
自然とMTBに魅了された彼女が選んだ道は……

大沢茉希さん

愛車:MONDRAKER DUNE RR

身長:168cm
MTB歴:4年
ヘルメット:URGE Gringo
シューズ:GIRO

 
ロードバイクを選ぶはずがMTBと出会い人生激変!?

「自転車の基礎を学ぶにはMTBに乗った方がいい」

ロードバイクに乗りはじめるつもりで友人に連れて行ってもらったショップにて、なぜかMTBを勧められた大沢さん。戸惑いながらもショップのMTBイベントに参加したところ「めちゃくちゃ楽しい!」と予想外の方向へ向かうことになりました。

「MTBの魅力は自然の中で非日常感を味わいながら楽しめること。越えられなかった根っこを越えられたとか、乗るたびに新たな発見や達成感があるので全然飽きません」。気づけばENSにも参戦するようになっていました。

週末はトレイルライドへ、シーズン中はふじてんや白馬岩岳などのパークへ。とにかく時間があれば下っていたいという大沢さん。そのMTB愛は日に日にふくれ上がり、ついには長野市への移住を決意するほどに。この本が出るころには長野の山を駆け回っている予定?

新天地での活躍も期待しています。
 

MTBをはじめて半年経ったころ、成り行きで野沢温泉エンデューロに参加。まわりの人たちが喜んでくれたこともあり、ENSにも参戦するように。バームをうまく走ることが現在の課題とのことですが、すでに表彰台の常連さんですね。

 
「自然の中を走る楽しさはやってみないとわからない」

國光香子さん

愛車:SANTA CRUZ CHAMELEON AL

身長:158cm
MTB歴:1年
ヘルメット:SMITH SESSION
シューズ:FIVE TEN GUIDE TENNIE

 
形に捉われることなく自然体で付き合うMTB

男性マウンテンバイカーにありがちな「ワタクシ、マウンテンバイカーでございます」的な空気感はゼロ。服装はストレッチが効くデニムにTシャツと温度調節ができる羽織りもの。そんなラフなスタイルで拍子抜けするほどナチュラルに、軽やかにMTBと付き合っているリアル女性マウンテンバイカー、國光さん。

MTBの魅力についてたずねると「自然の中を走るのが楽しいから」という、とてもシンプルな答えが返ってきます。國光さんにとってのMTBは、自然の中に身をおくためのツールであって、戦うための武器でも、攻略すべきメカでもありません。

少し前まで某有名自転車店に勤務していた國光さん、MTBに乗り始めたきっかけは同僚からのトレイルライドへのお誘い。「身近な山を気軽に走れそうだったので」とハードテイルのカメレオンを購入しました。つぎの目標は〈MTBで山道を経由しながら旅をすること〉。楽しみですね。

國光さんの趣味は山登り。最近はクライミングや沢登りにも夢中で、登山とはまた違った緊張感のあるドキドキを求めているのだとか。指2本ずつで懸垂できるという男性陣顔負けの握力と広背筋、見た目からは想像つきませんけど。

 

女性マウンテンバイカーのリアルなご意見集めてみました!

 

 
SNSで募集した「女性マウンテンバイカーアンケート」に届いた、リアルなコメントをピックアップしてご紹介します!
 

元々山が好きでアウトドアスポーツにハマりました。マウンテンバイクに乗りながら爽快な景色を楽しみ、大自然の中を駆け巡るのは最高すぎます!

重い! 車体が大きい分、運ぶのは大変です。
自然の中で風をきって走るのが最高です!
梅雨とかで長雨になると乗れない日が続くこと。屋内でも土の地面でMTBに乗れたらなって思います。
山の中をのんびりと走るのがすきです。近くの山に入ると、鳥がさえずり、四季の花が綺麗に咲いているという自然を感じることが癒しにもなるので良いと思っています。
トレイルもパークも遠いので始めるまでが大変。男性はそこそこいるけど女性がほとんどどいないので、いかんせん高強度になり余裕がない。トレイルは原則非公開なので誰かに頼るしかなく、その相手次第で楽しいかどうかが決まるので自由度が低いかもしれない。SNSなどを見ると年配の男性が知識走力をひけらかしていて息苦しい世界。
子どもがストライダーで遊ぶのを見ているうちに、バニーホップできたらかっこいいなって思ったのがきっかけで乗り始めました。フラットな場所で40cm飛ぶのが目標ですが、他にもかっこいいことをやりたくて、公園で練習しています。子どもと一緒に同じテンションで遊べるのがMTBの魅力!コースに遊びに行くのも好きです。SNSでも、MTB、BMX繋がりのお友達が増えて、感謝!!
MTBのタイヤが入る駐輪場がない。
昨年海沿いに引越し、マリンスポーツを楽しむためにアウトドアフィットネスクラブの会員になり海三昧の日々を過ごすハズだったのに、何故だか好奇心でMTB のプログラムに参加してみたら、一瞬で堕ちてしまい………。気が付くと山三昧の日々を送ってしまっています(笑)。登っても楽しい!下っても楽しい!『人生山あり海あり!』MTBに出会えて幸せです!
小柄なライダー向けのちゃんとしたMTBがまだ少ないと思います。あってもカラーリングが選べなかったり、フロントフォークのトラベル量が少なかったり、ボトルがひとつだけしか付けられない形状だったり。しかも、今、国内にXSサイズの在庫がほぼないので、オーダーすると納期1 年以上待ちなんですよね。小さくても、山、本気で楽しみたいんだっっっ! …メーカーさん、お願いします(切実)。
MTB用ウエアを着ないとかっこ悪いという風潮をどうにか変えたい! 女子はもう少しいろんなウエアを着たいのです。泥んこになったとしても。
コロナ禍でロードバイクのイベントが全滅。興味はあったけど、二の足を踏んでいたMTBに乗ることに。偶然、MTBのスクールを開催するお店に巡り合い、お話を伺って即 参加を決め、現在も継続中。MTB のテクニックは本当に難しい! わたしの苦手なことだらけ……。ロードではひたすら速く、前へ、でごまかしてきてしまったバランス、コントロールに泣きたいほど苦戦中。スクールでの課題をいろいろな方からいただくヒントをきっかけに、少しずつ前進させていこうとしています。トレイルライドも少しずつ経験、面白い落車でみなさまに笑っていただきつつ、MTB日和を楽しんでます♪
身長が小さくフルサスに乗れない。

 

プロショップ店長が提案する女性のためのMTB選び

MTBで走りたいと思う気持ちに性別は関係ありません。ですが、スペックやカッコよさを最優先する男性とは異なり、多くの女性にとって大切なことは、そのバイクを〈どれだけ好きになれるか〉ということ。ここでは、MTB選びに悩んでいる女性のために、プロショップの店長からアドバイスを頂戴しました!

「スペックよりも気に入った色のモデルを。必要と感じた時点で少しずつパーツの交換をするなど、スペックはいかようにでもなるので」と、後悔しないためのアドバイスをしてくれた高山さん。

スペックは二の次でOK カラー重視のバイク選び

自然と一体になって遊べるMTBに興味を持ち、詳しそうな人に愛車選びの相談を持ちかけてみたら、やれスペックだのパーツだの、専門的な言葉を並べ立てられてチンプンカンプン。そんな経験をお持ちの女性も多いとか、すごく多いとか。

ASTフォレストの高山さんによれば「バイク選びのポイントはふたつ、価格と車体色ですね。気に入った色の自転車を予算内で選ぶ、これに尽きます。気に入ったものではないと、長く付き合っていくことができないですから。価格については高額なものほど性能は上がりますが、レースで走りたいなど具体的な目的が決まっていないのであれば、最初の1台は10万円前後くらいで検討していただければ十分だと思います。それよりも低価格なモデルはありますが、オフロード走行を見据えるのであれば、極端にスペックが低いものはおすすめできません。

10万円前後のモデルの遊び方としては、例えば富士見パノラマのスキルアップエリアで楽しく走るイメージですね。必ずしもゴンドラに乗ってダウンヒルコースを走る必要はありませんから。

まず乗り始めて、どういう遊び方が好みなのかご自身で感じ取ってください。方向性が決まってきたら、また次の提案もさせて頂けるので」とのこと。

また「MTBだからといって、必ずしもオフロード走行に縛られる必要はありません。どんなところでも走れる自転車=MTB、くらいでいいんです。安全性と快適性の高さこそMTBが持つ突出した性能ですから、スピードを求めていないのであれば是非、MTBを選んでみて下さい。カフェ巡り、ポタリングなどにもマッチしますから」と、やさしいアドバイスを頂きました。

装備やウエアについては「走行時は最低限、ヘルメットとグローブを着用。またMTB コースやパークで走るときはプロテクターをマストと考えて下さい。ウエアは動きやすい服装であればOK。MTB用として販売されているレースジャージもありますが、抵抗のある人はアウトドアブランドのアイテムで気軽におしゃれしてみるのもいいと思います」とのこと。

女性マウンテンバイカーの心強いサポーター


 
AST FOREST 店長
高山祐次郎さん

BMX&MTBの国内トップカテゴリーに参戦、プロライダーとして数多くの実績を残してきた下り系最速店長。自転車はもちろん、アウトドアブランドのウエアにも造詣が深く、ベストなコーディネイトを提案してくれます。

AST FOREST

埼玉県秩父市下影森697-11
tel 0494-40-0466
https://www.astbikes.com/astforest
営業時間:11:00 ~ 19:00(平日)、12:00 ~ 19:30(土日祝)
定休日:月・水・イベント参加時

 

秩父MTB女子会の週末ポタリングに同行しちゃいました!

ワンパクな男性陣とは求める方向性がちょっと異なる女性マウンテンバイカー。一体、どんな楽しみ方をしているのでしょうか?今回はASTフォレストに集まった女性たちを高山店長がエスコート、その模様を密着取材してまいりました。

お花見シーズンもいち段落、桜に緑の葉が目立ち始めた4月の上旬、西武秩父駅前に集合した秩父MTB女子会の面々。アテンド役の高山店長、バイクのキャリアになにやら積載している模様?

季節を感じながら軽やかによくばりな女性陣も大満足

限られた自由な週末。多くの男性マウンテンバイカーたちの遊び方といえば、MTB専用コース&パークでバームやジャンプを攻めまくるヒリヒリしたスポーツライド。はい、いくつになっても男の子は負けられないのです。「だれに?」といった類の疑問、質問には一切お答えできません。とりあえず、そっとしておいてあげて下さい。

同じマウンテンバイカーでも、多方面へのキャパシティが大きな女性陣の遊び方はちょっと違います。きれいな景色を見たり、おいしいものを食べたり、仲間たちと楽しくおしゃべりしたり。もちろん、トレイルだって走っちゃいます。でも、そこはあくまで山道のサイクリング。ちょっとドキドキするくらいが丁度いい感じ。わずかな距離だったとしても、アドベンチャーライドを満喫できてしまうのです。

そんな女性マウンテンバイカーたちのキラキラした時間、同行しながらこっそりお裾分けしてもらいました。

各々の愛車に乗車して、秩父MTB女子会のポタリングがスタート。クッション性に富んだ太めのタイヤを履くMTBなら、市街地走行も快適そのもの。

最初の目的地は羊山公園。桜並木を横目に隊列を組んで、軽やかに進んでいく一行。果たして行き先には何が待っている?

実はこの日、ヨガの小川先生にお願いして、コンテンツのひとつとしてレッスンを仕込んでいた高山店長。緑の芝生の上で気持ちよくヨガ体験……女性マウンテンバイカーのテンションが上がる、贅沢なひとときを過ごしました。

秩父の羊山公園といえば、やっぱり芝桜。この日は見頃に入る直前ながら、見事な9 分咲きで公園の丘は一面ピンク色。さらにテンションが上がります。

いよいよオフロードのエリアに突入。ピンク色で覆われていた芝桜の丘から一転、今度は黄色の菜の花を眺めながらトレイルへGO。

木漏れ日が注ぎ込む落ち葉の絨毯の上を進むMTB女子会のみなさん。おそろいのTシャツもアースカラーで自然とマッチ。

トレイルの後半は少し山深い雰囲気に。一気にアドベンチャー感が増し増し。自慢の愛車、本領を発揮するときですよ。

ドキドキ感が増量するダウンヒルセクション。でも、ゆっくり下ればノー問題です。なんたって愛車はMTBですからね。

トレイルを抜けたら残りは舗装路……なのですが、その前にもうひと汗だけかいておきましょう。ランチ&スイーツを求めて定峰峠方面へヒルクライム。

 
木漏れ日の中を愛車と走る冒険心をくすぐる山道散歩

コンテンツが豊富な秩父MTB女子会のポタリング。ヨガのレッスンあり、芝桜の観光あり、トレイルライドあり。単なるスポーツの道具としてだけではなく、移動道具としての機動性も活かしているあたりはさすがです。

オフロードでの高い走破性能はMTB最大の魅力ですが、必ずしもハイスピードで競い合うような走り方をする必要はありません。サクサクという落ち葉を踏む音、木の実や小枝が弾ける音を聞きながら、クルクルとペダルを回す乗り方こそ贅沢の極み。

木漏れ日の中でおしゃべりをしながら山道散歩……ダウンヒルコースでスリルを味わうのも悪くはありませんが、MTBと一緒ならこんな時間の使い方ってできるんです。

さて、ライドが主菜になりがちな男性陣に対して、女性陣のメインといえばランチ&スイーツ?むしろライドはランチをおいしく頂くためのスパイスのようなもの、なのかもしれませんね。

 
ジェラテリア HANA
埼玉県秩父市定峰514-1
カフェ営業時間:8:00 ~ 17:00(L.O. 16:00)
雑貨店営業時間:11:00 ~ 17:00
定休日:毎週木曜日・金曜日
https://gelateriahana.com/

自家製生地を焼き上げたパンをベースとしたホットドッグ、具材を生かしたピザ、焼き立てワッフルなど、乙女心をくすぐるメニューが目白押。

研究に10年もの月日を費やしたという、ジェラートにこだわりを持つマスターが作る、季節に応じた素材を使う自家製ジェラートは絶品。

定峰川のせせらぎに耳を傾けながらテラスで頂く焼き立てピザ、そして至極のジェラート。仲間と一緒に走った日はさらにおいしさ倍増です!

 

秩父MTB女子会(CMJ)参加者のみなさんと愛車をご紹介!

はじめてみたら本当に楽しいので、女性にもっと乗ってほしい

高山絵理さん
SURLY KARATE MONKEY

 

おいしいものや楽しいところを探したり。カフェ巡りも楽しい

島田香名子さん
ROCKY MOUNTAIN SOUL10

 

友人に誘われて、今日はじめてオフロードデビューしました

横田 彩さん
KONA FIRE MOUNTAIN

 

昨日、納車されました。また仲間といっしょにMTBで出かけたい

小亀はづきさん
KONA HONZO

 

まだ、ついていくのが大変だけど、走り終わったあとは爽やか

井澤佐知子さん
ROCKY MOUNTAIN GROWLER 20

 

息子と旦那と一緒に乗りはじめました。むずかしいけど楽しい

宮田由里子さん
SURLY KARATE MONKEY

 

自分の愛車はお休みさせて、夫のフルサスを借りて参加しました

黒澤利江さん
TRANSITION PATROL

 

はじめて1年半。日頃のストレス解消になり、気分転換できています

土屋裕美子さん
KONA BIG HONZO

 

新しい仲間がたくさんできました。暇さえあれば乗っていたい

堅木恭子さん
KONA KILAUEA

 
写真:鈴木英之、村瀬達矢 文:トライジェット、編集部
『MTB日和』vol.46(2021年5月発売)より抜粋

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