実録リアル自転車ライフ 「東京オリンピック2020自転車ロードレース」vol.28

写真と文:星野哲哉

東京オリンピック2020自転車ロードレース

東京都府中市の武蔵の森公園をスタートし、富士スピードウェイにフィニッシュする、東京オリンピックの自転車ロードレース。男子は234km、女子は137kmで争われた。獲得標高差は、男子は4865m、女子2692mで、特に男子は、標高1000m以上の峠を5つ越えるという近年まれに見るハードなコース設定だったそうだ。そんなコースへ、数日前までツール・ド・フランスを戦っていた選手たちがやってきた。こんな機会は二度とないと、当日は現地に観戦に行ってきた。生で見るスピード感は格別で、新型コロナの影響で無観客で行われた競技が多い中、オリンピックを肌で感じることができて満足した。

 

あんな厳しいコースを平均時速約40kmって!?

今夏開催された、東京オリンピック2020。自転車ロードレースは、東京都府中市から神奈川県、山梨県を通り、静岡県の富士スピードウェイにゴールするコースで行われた。閉会して2か月ほど経った今、そのコース(の一部)を走りに行ってみた。

東京都をすっ飛ばし、京王線の橋本駅まで輪行して、チャレンジスタート。道志みちを上って山伏トンネルを抜け、山中湖畔を走ってから籠坂峠を越えて、御殿場まで走って電車で帰る、という予定を立てた。しかし、序盤のアップダウンの連続で、意外と体力を消耗してしまったため、山中湖に着いたところで富士山駅から帰ることにした。

この日走ったコースは、ハイライト映像だとほんの5分足らずで終わってしまう。やっぱりメインは、後半の峠の区間だということで、翌週続きを走ることにした。

今度は静岡県側から、御殿場線の駿河小山駅まで輪行してスタートした。明神峠・三国峠を越えて山中湖へ行くつもりだったが、道を間違えたらしく、富士スピードウェイ周辺を往ったり来たりしていた(とはいえ、ここもコース)。その後明神峠を上るも、容赦ない激坂にひるんで引き返し、御殿場まで下って帰ることにした。

こんなグダグダな走りだったにもかかわらず、2日間の合計で獲得標高が2700mもあった。そこからもわかるように、インパクトがある峠に隠れて、実はその前後の平坦に見える場所のアップダウンが意外ときつかったのではないか。そんなコースを6時間5分、平均時速38.4kmで走ったとは、選手ってやっぱり凄すぎる。ちなみに今回自分が走った最高時速が、下り時の49km。っていうことは、下りのスピードのまま234kmを走ったってこと?

1日目 神奈川・山梨県エリア

京王線の橋本駅まで輪行。東京オリンピックなのに、東京都をすっ飛ばして神奈川県まで来てしまった。ここから国道413号線を目指す。

国道から県道へ入り、小倉橋を渡ってすぐの壁にある、巨大なピクトグラム。見学中に相模原市の職員によるアンケートに応えたら、オリンピックの記念バッジをいただいた。

道志みちに入って20kmぐらい走ると、山梨県との県境の両国橋に。まだまだ上りが続くのに、ここまでのアップダウンで意外と体力を消耗した。

スタート地点から約80km地点にあった看板。レガシーとして遺すために、オリンピックが終わった後に、競技の様子を紹介する文言を追加したらしい。

約40km の道志みちを上った先にある山伏トンネル。まだまだコースの半分にも達していないが、もう十分走り切った感じだ。

山伏トンネルから下ると山中湖へ到着。オリンピックの時はこの周辺で観戦した。この日はもういい時間になったので、富士山駅から輪行で帰る。

2日目 静岡県エリア

静岡県側のコースを走ろうと、御殿場線の駿河小山駅まで輪行する。ちなみに御殿場線はJR東海の路線なので、JR東日本のSuicaで入場すると出られない。

オリンピックではフィニッシュ会場になった富士スピードウェイ。サーキット内だけでなく、周辺道路もぐるぐると周るコース設定になっていた。

富士スピードウェイを過ぎてしばらくすると、明神峠の入り口に差しかかる。ここからいよいよ厳しい上りが始まる。

上り始めてすぐに現れた、勾配12%の標識。この先ずうっとこんな感じ、もしくはそれ以上の坂が続くのかと思うと心が萎えてくる。

あと5kmで山梨県との県境らしいが、ここまで走って上りがきついことは十分わかったので、来た道を引き返すことにした。

行きと帰りは、東海道線グリーン車で輪行。テーブルがついているので、弁当を食べたり酒を呑むことができるのでオススメ。

Profile 星野哲哉

同じ社内の別の部署で働くアラフィフ社員。先日、会社の引っ越しをし、20年以上働いた社屋を離れることになった。長年親しんだ新宿を離れ、新しい土地に移転したが、街の雰囲気が全然違う。新宿と比べて、きちんとした人が多く感じる。心機一転、シャキッと働きましょうか。

『自転車日和』vol.60(2021年11月発売)より抜粋

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