実録リアル自転車ライフ「ThePEAKS」vol.21

写真と文:星野哲哉

今回行ってきたのはココ!!

The PEAKS

開催日:2019年9月1日

9月1日に行われた、走行距離195㎞、獲得標高5249mを走るイベント。長野県立科町の女神湖畔を中心として、霧ヶ峰や蓼科高原といった、風光明媚なコースを12時間半以内(通常エントリーの場合)で走る。コースの過酷さだけでなく、「完全自己責任での個人ライド」を原則としており、コースに案内表示や誘導スタッフはいなかったり、トラブルへの対応なども自己対応なのも特徴だ。そのため、日本のロングライドイベント史上、最も完走が難しいライドイベントと言われ、「真の坂バカ」たちが集まってくる。

 

人間いくつになっても
チャレンジする心を忘れずに!

「チャレンジを忘れたサイクリスト達へ。」

ロードバイクに乗り始めて約10年。おもに、ロングライドイベントやヒルクライムレースに参加したり、輪行した先でのサイクリングを楽しんだりしてきた。

はじめのうちは、完走が目標だったが、慣れてくると、完走できるのは当たり前になっていき、正直言って刺激が足りないと思っていた。

そんな時に目に入ったのが、冒頭のキャッチコピーの入ったポスター画像。

「完走できるとわかっているものに出ることはチャレンジとは言いません。」
「結果の見えている勝負じゃないから面白いのではありませんか。」

まるで自分の気持ちを見透かされたかのように、次々と刺激的な煽り文句が続く。走行距離190㎞超、獲得標高5000m超。

無謀とも思える地獄のようなライドイベントに、まんまと乗せられてエントリーしてしまったのは昨年のこと。残念ながら(?)当日朝に襲った豪雨の影響で、中止になってしまった。

そして今年、そのリベンジ大会が行われることになり、懲りずに(笑)またエントリーしてしまったのだ。

The PEAKSと名付けられたこのイベント。毎回、開催場所を変えて行われている。

今回エントリーしたのは、長野県の蓼科高原を舞台とするコース。スタート・ゴール地点の女神湖を中心に、4方向のルートを登り下りする。

東京はまだ暑さが残る時期だったが、さすが避暑地。爽やかな空気に包まれていた。コース中、ビーナスラインと呼ばれる霧ヶ峰に通じる道は、森林限界の絶景が拝めるので、ツーリングの人気スポットでもある。

少しぐらいはコースを知っておこうと思い、大会二週前に試走をすることにした。

ルート4の折り返し地点である立石公園から、スタート・ゴール地点の女神湖を通り、ルート2の折り返し地点になる美笹湖まで走ってみた。

「いやぁ、キツイ」走った距離は約60㎞。全行程の1/3ぐらいだ。

本番はこの3倍走るのかと思ったら、気が遠くなった。この結果から、どのくらいで走れそうかを計算してみたら、ギリギリ完走できるかどうか。ASで休む時間をどれだけ削れるかが肝になりそうだ。

大会前日。主催者が丸々貸し切った施設での宿泊。300㎞やら400㎞やら走るブルベに出ている者や、毎週のように山を登っている者など、ツワモノたちとの相部屋だった。

当然、このイベントにも出たことがあり、初参加は自分だけ。場違いなところに来てしまったのでは?とも思ったが、自転車談義に花を咲かせていると、いつもひとりで走っている自分としては、自転車仲間ができたみたいで楽しかった。

スタート時刻は5時半。4時に目覚め、準備をしてスタート地点へ行くと、いるわ、いるわ、たくさんの変態さん(笑)。皆、これから過酷なコースに挑むとは、思えないような笑顔をしている。やっぱり変態だ(笑)。

そしてスタート。まずはルート2の大河原峠を目指す。登りに差し掛かると、徐々に前の人との差が開き、後ろから次々に抜かれる。

まだ先は長いから、「焦らずマイペース」と自分に言い聞かせながら粛々と登るも、やがて周りに誰もいなくなってくる。クルマもほとんど通らない道だから、ちょっと心細い。

峠までたどり着いたら次は下り。体力的には束の間の休息だが、下った後に再びこの道を登ることを考えると、「これ以上、下らないで」と叫びたくなる。下りきった場所で、コースを走った印のステッカーをゲットしたら、今下ってきた道を登る……。

この大会は、通常のエントリーの他に、エントリー費が安い代わりにスタート時刻が一時間遅い、変態割というものがある。

登っている途中、反対車線を下っていく、その変態割の方々とすれ違う。その後あっという間に、登り返してきた彼らに抜かれていく。

なかには、ごっついファットバイクで登っていく者もいた。やっぱりみんな、変態だ(笑)。

峠まで登って、スタート地点まで下る。ここまで走って、お腹がすいてしまった。スタート地点ではカレーを振舞ってくれている。

完走のためにはゆっくりしている時間はないのだが、腹が減ってはなんとやら。ありがたくいただくことにした。

その後も、ASのたびに休んで補給をした。それがやっぱり響いたのだろう。各ルートのチェックポイントに制限時間が設けられているのだが、最後に周るルートの制限時間に間に合わなかった。

ルート3の制限時間に引っかかってしまい、 完走することができなかった。4方向に走らなければならなかったはずなのに、3方向のみになっている走行ログと3枚しか無いステッカーが、今回の無念さを物語っている。

正直、間に合ったとしても、登る体力があったかどうかは疑問だったが、ゴール地点に帰ってくる人たちのやり切った顔を見ていると、ちょっぴり悔しい。

同部屋の方々は、皆完走していた。そのうちのひとりは、私がリタイアして戻ってくるより前にゴールをしていた。9番目の速さだったそうだ(驚)。

他の方々も、1時間ぐらい余裕を残してのゴール(ひとりはスタート一時間遅れの変態割にもかかわらず)で、やはり皆、ツワモノだった。

今回宿泊したヴィレッジ女神湖は、新宿区の保養施設。小中学校などの林間学校にも利用されるので、飯盒炊爨やキャンプファイヤーの設 備もある。また5人での相部屋でもあったので、 さながら合宿のようだった。

今回のチャレンジを振り返り、自分の力不足なのは除いて、「出し切ったのか?」を考えると、キツかったのは間違いないのだが、なんかモヤッとして、余力を残していたんじゃないかという気がしてくる。もう少し踏めたのではないか、とか考えてしまう。

「今度こそ完走したい」48歳を迎えた今、新たな目標ができた。

 

赤城山ヒルクライム

ThePEAKSの後、9月末に行われた赤城山ヒルクライムに行ってきた。今回の反省を踏まえ、力をすべて出し切ろうと思い、今までよりも前半から飛ばして、きつくなってもなるべく休まないように心がけて走ってみた。走り終わった気分はやり切った感があったが、過去6回出場した中で4番目のタイムだった。自分が思っている以上に、過去の自分は強かった(笑)。

 

Profile 星野哲哉

同じ社の別の編集部で働くアラフィフ社員。自転車に乗っているおかげかどうかは分からないが、ここ数年、健康診断では特に異常はない。同僚の中には、要再検査の者もいるだけに、健康でいられるありがたみをかみしめながら、これからも自転車を楽しんでいきます。

『自転車日和』vol.53より抜粋

- 連載, ロードバイク

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