CARRYME(キャリーミー)モデルの変遷を辿ることで見えてくる進化の過程(1980~2021)

ポケット&LGS-CMの登場から15年余り、脈々と受け継がれてきたキャリーミーの血統。多くのファンから愛され続けてきた理由は、その絶え間ない進化があったからこそ。ここでは、キャリーミーが紡いできた歴史を振り返ってみます。

1980s

OVERLOAD PB80T


写真はキャリーミーの始祖とも言える、オーバーロードインダストリーズが生産したPB80Tと呼ばれるモデル(チェーンリングが80Tだったため)。1980年代後半、カナダ人デザイナーのピエール・ブランシャール氏のアイデアを元に、パシフィックサイクルズのジョージ・リン氏が共同開発することで誕生した16インチタイヤのフォールディングバイクだ。メインフレームにヒンジを持たない構造、各部の折りたたみ機構は約20年後、8インチの極小径車へと受け継がれることとなった。

2005

Carry-me(日本未発売)


写真はパシフィックサイクルズのOEM向けカタログに掲載されていたキャリーミーの初代モデル。その後、ディテール各部が見直されて翌年、パシフィックブランドのフォールディングバイクとして量産化。販売が開始された。フロントフリーを採用し、チェーンリングは100Tに設定(リアは16T)。カタログ時の重量は7kgと、その後に量産され
たモデルよりも軽量だった。折りたたみサイズは88.9×31×27cm。)

2006

OX ENGINEERING Pocket


Carry-meのOEM車としてOXエンジニアリングより発売されたモデル。チェーンリングはキャリーミーと同様の100T、フロントフリーも採用されていた。重量は8kgで折りたたみサイズは94×33×28c m。専用のキャリーバッグが付属した。キックスタンドはオプション扱い。

LOUIS GARNEAU LGS CM


Carry-meのOEM車としてルイガノより発売されたモデル。フロントフリーに90Tのチェーンリングを組み合わせた仕様。重量は8.4kgで折りたたみサイズは95×30×25cm。保証対象体重制限(80kg)
が設けられていた。キックスタンド&収納カバーは付属していたが、キャリングバッグはオプション扱いだった。

2007

Pacific Cycles Carryme


日本で販売された最初のキャリーミー。初代からモデルチェンジを受けてリアフリー化へ。チェーンリングは84T(リアは14T)となり、新型のディッシュホイールも採用
された。フロントチューブ固定クランプの形状変更およびQRレバーの蝶ネジ化を実施。折りたたみ時にフォークを固定するスプリングラッチも追加されている。シートク
ランプのQRレバー裏に凹部が設けられ、フレーム前部のボルトに嵌合させることで、シートチューブを固定する仕組みを採用。重量は7.9kg、折りたたみサイズは102×
33×27cm。

Pacific Cycles Carryme DS


限定モデルとしてATS社製のスピードドライブを搭載する2段変速モデルを発売。翌年、カタログモデルとして正式にラインアップへ追加された。

2008

LOUIS GARNEAU LGS-CM


LGS-CMもキャリーミーと同様、モデルチェンジを受けてリアフリー化へ。重量は8.0kgまで減量が図られた。折りたたみサイズは95×30×25cmと、キャリミーよりもややコンパクトだった。

LOUIS GARNEAU LGS-CM FD2


キャリーミーと同様、ATS社製のスピードドライブを搭載する2段変速モデルを追加設定。重量は8.7kg

2009

Pacific Cycles CARRY ME II


メインフレームをBタイプに変更。リアキャリアは消滅し、フレーム前部にはシートQRレバーを固定する樹脂パーツが取り付けられた。重量は8.0kg、折りたたみサイズは95×28×25cm。

Pacific Cycles CARRY ME DS II


ATS社製のスピードドライブを搭載する2段変速モデルもメインフレームをBタイプ化。重量は8.6kg。

2009

LOUIS GARNEAU LGS-CM FD2


LGS-CM FD2もキャリーミーと同様にモデルチェンジ。

LOUIS GARNEAU LGS-CM


LGS-CMもキャリーミーと同様にモデルチェンジ。

2010

Pacific Cycles CARRY ME II D


メインフレームをDタイプに変更。ホイールベースは768mmに延長され(2009モデルまでは760mm)、前後のサブフレームもロング化。シートポスト径が31.6mm(2009モデルまでは27.2mm)、チェーンは166Lに(2009モデルまでは168L)。重量は8.7kg、折りたたみサイズは106×33×275cm。小柄な人向けとして2009モデルのCARRYME II Bも併売された。

Pacific Cycles
CARRY ME DS II D

ATS社製のスピードドライブを搭載する2段変速モデルもメインフレームをDタイプ化。重量は9.2kg。

2011

Pacific Cycles CARRYME DC(日本未発売)


専用の電気モーターとコントローラーが搭載されたキャリーミーの電動アシストモデル。

2012

Pacific Cycles
CARRY ME-v


クランクが4アームから5アームへランニングチェンジ。ホイールデザインも変更された。また、2段変速モデルの日本導入は2012モデル限りで打ち切られている。

2013

CARRYME


ブレーキケーブルをフレームに内装化。フォークのデザインを一新するとともに、フォークの自動ロック機構も装備された。シートポストのヤグラ部に固定フックが設けられ、シートポストをリアサブフレームへ固定する方式へ変更(フレーム前部のQR固定パーツは消滅)。大径化されたリアキャスター(シールドベアリングタイプ)、ブレーキレバー一体型のベル、「CM」ロゴ入りのリアサブフレーム、新型チェーン引きなど、数多くの変更点が見られる。重量は8.5kg。

2014

CARRYME


ハンドル形状(折りたたみ方式)を全面変更。リアブレーキは従来のキャリパータイプからスターメーアーチャー製のドラムタイプとなる。折りたたみサイズは91×32×25cm。

2015

Pacific Cycles CARRYME


ソリッドタイヤを履いたノーパンクモデルを追加設定。エアータイヤ仕様の重量は8.4kg、ソリッドタイヤ仕様の重量は8.9kg。リアキャスターはベアリングの入らない小径タイプに戻る。

2017

Pacific Cycles CARRYME


チェーンテンションを調整しやすいデタッチャブルリアフォークを採用すると共に(ホイールベースは768-817mm)展開作業をよりスムーズにするシートチューブのオートキャッチ機構を追加。ハンドルは溶接仕様からボルト固定仕様へ変更を受け、リアサブフレームにはキャリアダボが設けられた。エアータイヤ仕様の重量は8.6kg、ソリッドタイヤ仕様の重量は9.1kg。デタッチャブルリアフォークの取り付け方式は初期ロット以降、ボルトの形状を含め、変更されている。

2021

Pacific Cycles CARRYME


シートチューブを鍛造一体成型のパーツに変更し、メインフレームと接する部位の強度を高めた。リアのリフレクターは角型から丸型へ。

※キャリミーの日本輸入元は2007~2012モデルはマルナカ、2013~2014モデルはミズタニ自転車、2014モデル以降はパシフィックサイクルズジャパン。このページの車名表記は、それぞれ日本輸入元の発表に準じています。

-プロダクト, 小径車
-