折りたたみ自転車と一緒に鉄分補給へGO ~ 糸魚川 to 直江津 ~ 久比岐自転車道ぜいたく輪行旅

輪行を使えば離れた場所へも鉄道や飛行機でひとっ飛び。今回はその1例として、新幹線で都内から新潟県は糸魚川市まで一気に移動し、最高の日帰りサイクリングを満喫しちゃいます。日本海の雄大な景色を横目に、鉄道好きなら一度は走ってみたい、唯一無二の自転車道をご紹介します!

小径車でも無理なく走れる日本海沿いの自転車道へ

北陸新幹線が開通したことにより、都内からも短時間で快適に訪れることができるようになった糸魚川市。ここには鉄道好きのサイクリストなら1度は走っておきたい、最高のサイクリングロードが存在します。

今回の目的はまさしく、その久比岐自転車道でのサイクリング。こちらの自転車道、実は旧国鉄の北陸本線の線路跡地を利用したもので、糸魚川市中宿から上越市虫生岩戸まで日本海に沿って繋がる全長約32キロの自転車&歩行者専用道路なんです。

体力を削られるきつく長い登りもなく、小径車でもくるくると足を回せば数時間で走り切れてしまいますが、日本海ならではの絶景ポイント、海鮮グルメポイントほか、立ち寄りどころが目白押しなので、退屈する時間など一瞬たりともありません。近くには温泉付きの宿泊施設もあり、1泊プランでのんびりとツアーを満喫するも◎。最高の自転車旅を体験できます。

やってきました糸魚川

JR東京駅から北陸新幹線に揺られること約2時間、やってきたのはJR糸魚川駅。小さく折りたためる自転車なら専用スペースの予約も必要ナシ!?

鉄道実車両、模型、プラレールetc マニアもうなる充実した内容

駅と直結しているジオパルは鉄道ファンなら丸1日でも居座りたくなる施設。JR大糸線で活躍したキハ52がお出迎えしてくれます。

キハ52の隣にはトライライトエクスプレスのA寝台(スイート)と食堂車を再現した車両も展示されています。

Nゲージ(7×6m)とHOゲージ(10×2.5m)の巨大ジオラマでは運転体験も可能。マニアも唸る内容です。

糸魚川ジオステーション ジオパル
新潟県糸魚川市大町1-7-47
(糸魚川駅アルプス口1階)
◎ジオパーク観光インフォメーションセンター・キハ52 待合室
8:30~19:00(7~9月は8:30~19:30)
◎トワイライトエクスプレス見学 10:00〜15:00
◎ジオラマ鉄道模型ステーション
平日10:00 ~ 18:00(通年)
土・日曜、祝日9:00 ~ 18:30
(7~9月は9:00 ~ 19:00)
休館日 1月1日

JR糸魚川駅から目指す久比岐自転車道の入り口までは距離にして約6キロ。今回はJR糸魚川駅のアルプス口からスタートしました。

久比岐自転車道までのルートはアルプス口を起点とするルートと日本海口を起点とする2パターン。どちらも路面のブルーラインにて案内してもらえるので安心です。

信号も少なく、スイスイ走れるアルプス口からのアクセス途中、海川に沿って咲き誇る桜をキャッチ。背景にはまだ雪が残る山たちの姿も。こんな絶景コラボ、見たことない!

JR糸魚川駅からのんびり走ること30分、久比岐自転車道の糸魚川側入口に到着。目の前に広がる日本海とご対面の瞬間です。

左側一面に広がる壮大なブルー1 色の景色。お天気に恵まれたのは日頃の行いがよいおかげでしょうか?

 

はじめに立ち寄ったのは能生海岸のシンボル的存在、弁天岩。厳島神社へお参りし、安全な旅の祈願を。赤い鳥居&白い灯台のコントラストも絶妙です。

白山トンネル手前の白山神社には、重要文化財に指定された聖観音立像、白山神社本殿など、貴重な文化財が複数保有されています。

久比岐自転車道で遭遇する旧国鉄北陸本線時代のトンネルは全部で8つ。 まずひとつめのトンネル、白山トンネルを走ります。

糸魚川地域振興局では、4月29日より〈久比岐自転車道レンガトンネルカード〉を配布。各500枚でなくなり次第終了です! ※詳しい配布場所は久比岐自転車道魅力アップ実行 委員会(tel 025-553-1843)まで。

蒸気機関車が走っていた自転車道のトンネルへGO

現在、海岸線から離れた場所を走っているえちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインですが、旧国鉄北陸本線時代は海側を走っていました。

その跡地である久比岐自転車道、「いま自転車で走っている道をかつて蒸気機関車が真っ黒な煙を吐き出しながら、轟音とともに走っていた ……」そう想像するだけでサイクリングの気分は一気に高まります。

当時のレンガがそのまま使用されているトンネル&橋梁ほか、歴史を感じさせる鉄道遺構がこの久比岐自転車道沿いには数多く残されているので、鉄分の補給にはこと欠きません。 SL気分でペダルを回して、レトロなムードに浸ります。

お待ちかねのランチタイムは道の駅マリンドーム能生にて。こちらはレストランやお土産やさん、カニや鮮魚の市場がギュッと詰まった夢のような空間です。JR糸魚川駅からここまで距離にして約17キロ。お腹の空き具合もちょうどいい?

この日のランチはカニ姿丼(1800 円)に決定。地産の食材を頂くのも自転車旅の目的のひとつですからね。

人気B級グルメのブラック焼きそば&地元海洋高校の生徒が開発した昆布アイスも美味!

地元海洋高校の学生が商品開発&製造販売!?

4月16日にオープンしたばかりの能水商店にはカフェも併設。地元海洋高校の生徒が開発した鮭の魚醤〈最後の一滴〉や相撲部が開発した〈ごっつぁんカレー〉も購入できます。

採れたてのカニが山のように積まれるかにや横丁&日本海の魚介を堪能できる鮮魚センター。

道の駅マリンドーム能生では自転車のレンタルもできます。PRキャラクターの〈久比岐 凛〉ちゃんはレンタル不可なのでご了承ください(笑)。

セブンイレブンに釣り具コーナーが!?

サイクルステーションも兼ねるこちらの道の駅では、工具や空気入れの貸し出しもOK。

道の駅 マリンドーム能生
新潟県糸魚川市能生小泊3596-2
tel 025-566-3456
通常営業時間
◎レストラン&軽食 9:00~17:00
◎おみやげ売店 9:00~17:00
◎かにや横丁 8:00~17:00
◎鮮魚センター 季節によって異なる
http://www.marine-dream.net/

住宅が密集する路地を走りながら、どこか懐かしさを感じる筒石の町並を探索。昔は町の近くに旧国鉄北陸本線の筒石駅があったのだとか。

橋から川沿いに進むとレンガで覆われた橋梁の基礎部分を発見、これら鉄道遺構に出会えるのも筒石エリアの魅力のひとつ。

日本海を一望できる名立休憩所にてしばし休憩を。水平線を見渡せば、地球が丸いことがわかるかも?

運がよければ運行本数が限られているえちごトキめき鉄道の日本海ひすいラインと並走できるかもしれませんよ。

ちょっとだけ頑張ってヒルクライム。たにはま公園まで登れば、丘の上から日本海の絶景を見下ろせます。

久比岐自転車道を走ること32キロ。糸魚川側からの出口&直江津側からの入口に到着。ここからは市街地を経由してJR直江津駅へ と向かいます。

帰路はえちごトキめき鉄道に 輪行で。今年の4月20日から自転車をそのまま持ち込めるサイクルトレインも運行開始!

カニやお魚たちのグラフィックで彩られた1両編成の列車の車内へ。 糸魚川駅までの運賃は900円也。

糸魚川駅までの大半はトンネルの中なので窓の外は真っ暗。その分、ときおり顔を見せる海沿いの風景は格別です。あ、駅弁を買い忘れてた。。。

かつては地上の駅だった!? 異世界感たっぷりのモグラ駅

上りのホームまで280段、下りホームまで290段の階段が続く筒石駅は、トンネル内にある日本でも珍しい駅なのです。

3月にドラマで紹介されたためか最近、鉄道ファンを含む多くの人が訪れるえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの筒石駅。地すべりの影響で海沿いから山側に北陸本線を移設する際、駅を存続させたいという住民の強い要望もあってモグラ駅へと生まれ変わりました。

ローカル線での輪行も◎ 旅は続くよ、どこまでも

日本海の雄大な景色を満喫できるビューポイント、8つのトンネルetc。32キロの自転車道(+約10キロの市街地)を走り切り、帰りは直江津駅からえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインを利用して、輪行で糸魚川駅まで戻ります。

気軽に鉄道輪行できるのが折りたたみ自転車の魅力。ローカル線の旅も楽しめてしまうのだから一挙両得です。鉄道ファンのサイクリストにとって、こんな贅沢な自転車旅はまずほかにありません。

「絶対、また走りに来るぞ!」

写真:村瀬達矢
『自転車日和』vol.61(2022年5月発売)より抜粋

-小径車