最新スペックの 乗り心地を アップデート!身長別試乗IMPRESSION

ワンサイズでフォローできる身長の幅が広いことは、小径車の大きな魅力のひとつ。

とはいえライダーの身長や乗り方次第で、同じ自転車でもその印象は大きく異なるものです。そうした違いを見極めるため、3人のライダーが最新の折りたたみ自転車&スモールバイクをじっくり試乗しました。

用意したのは定番から個性派バイクまで、個性豊かな7台の2023モデル。体格の差はどこまで影響するのか、志向の違いはどれほど作用するのか!?

身長による乗車ポジションの違いをチェック!

今回試乗した7車種のうち、複数のサイズがあるのはマンハッタンのM451SDのみ。そのほかの6車種はすべてワンサイズ展開でした。

下の写真を見ると、体格によって乗車姿勢に差が生じていることがよくわかります。ステムやシートポスト、ハンドルなどをカスタムすれば、同じフレームをそれぞれのライダーに合ったポジションに微調整することも可能。

下記の乗車姿勢を参考に、自分が無理なく快適に乗れるかどうかを想像してみてください。

今回試乗したのはこの3人

石井美穂さん
25年前に初めて購入した小径車は、シートポストを切るなどカスタムして愛用していた。ビギナーにも寄り添うレビューに定評アリ。小柄な体格に対し大きめの自転車も乗りこなす「ややロード系」のライダー。


編集│トライジェット
ミニサイクル時代より「変なかたち」の乗りものに興味津々。気づけば小径車だけで両手の指が足りなくなる台数に。姉妹誌『自転車日和』&『MTB日和』などを幅広く担当しており「ややマウンテン系」な傾向も。


サイクルハウスしぶや│高橋 航さん
東京・葛飾区にある小径車専門店のスタッフ。もともとBMXを楽しんでいたが、折りたたみなど多様な小径車と出合ったのはいまの仕事を始めてから。テクニカルな乗り方もこなす「ややストリート系」。

BROMPTON P Line Urban

ブロンプトン Pライン アーバン

細部のアップグレードで既存ユーザーも納得

日本法人「ブロンプトン・ジャパン」が設立されて最初のイヤーモデル。チタンフレームの「Tライン」が話題を呼んだが、このPラインも一部パーツにチタンを採用して軽量化を図っている。

さらに「街乗り用に微調整された」外装4段変速とフェンダーを備え、普段使いの実用性を確保。ヒンジ部やローラーなども含めたこまやかな改善点が、過去のモデルを知るライダーたちからも高評価を得た。

ブランド名:BROMPTON
モデル名:P Line Urban
価格:44万1100円〜
重量:9.9kg
タイヤサイズ:16×1.35
タイヤ幅(実測値):33.0mm
タイヤ銘柄:CONTINENTAL CONTACT URBAN(タイヤ・チューブの名柄はロットにより異なる)
変速:1×4
フロント歯数:50T
リア歯数:11-18T
フレーム素材:スチール(リアフレーム&フォークはチタン)
ブレーキ種類:キャリパー
ハンドル幅(実測値):540mm
クランク長:170mm
F/Rディレイラー:Brompton

問:ブロンプトンジャパン
https://jp.brompton.com/

◎BROMPTON P Line Urban乗車姿勢の違い

大柄な人でもきゅうくつになることはない、ゆったりしたサイズ感。走りを求めて前傾姿勢を好む人にも◎。ただし手が小さい人にとってはブレーキレバーが引きづらく、手首が直角になってしまう配置。ハンドルも少し高い印象だ。



石井美穂さん



編集:トライジェット



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

◎インプレッション



石井美穂さん

サドル位置で多少は緩和されますが、乗った瞬間「遠い」と感じてしまいました。ブレーキレバーがハンドル真下にあり、握るには手首ごと前方へ持っていく必要が。小柄な人は必ず店頭で試乗して調整を。

走りはフロントの精度が上がった印象で「こんなに安定してたっけ?」と驚くほどです。変速もロスなくカッチリ決まって、「これまでとは何かが違う」と思わされました。よく走るし、規格がコロコロ変わるバイクと比べて長く乗れるんじゃないかな。



編集:トライジェット

従来のスーパーライトモデルからエラストマを含むチタンバックが一新されたこともあり、車体の剛性が飛躍的に向上している印象を受けました。リアタイヤにしっかりとトラクションが掛かり、見た目を裏切るスポーツバイクさながらのテイストに仕上げられています。

オリジナルの外装4段変速システムも絶妙なギアレンジで、シルエットこそ従来のブロンプトンと大きくは変わりませんが、フルモデルチェンジに相当する圧倒的な完成度を見せてくれました。



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

高剛性で振動吸収性も優れた1台です。最初はハンドリングがクイックに感じるかもしれませんが、慣れれば直進加速やコーナリング時の安定性が快感になると思います。

また、以前の内装変速操作時にはペダリングを一呼吸止める必要がありましたが、外装4速化でそれがなくなったのは非常に大きいと思います。ギアの選択肢も増え、足を回し続けてガンガン走りたいというスポーツ志向も満たしてくれます。専用デザインになった変速レバーも反応良好です。

 

Chalet Sports Chalet-COZ rev.0 DROP

シャレースポーツ シャレーコージー リビジョン0ドロップ

体格に合わせた調整でその実力を引き出そう

「ロードを喰えるミニベロ」をコンセプトに掲げる「シャレー・スポーツ」の街ロードシリーズから、ドロップハンドルとディスクブレーキを備えたモデルをチョイスして試乗した。

アルミフレームにカーボンフォークを組み合わせ、20速で9kg台の軽さを実現。走行性能と街乗りの気軽さ、コストパフォーマンスも追求したよくばりなスペックだが、ポジションがシビアになるドロップハンドルによって評価が分かれた。

ブランド名:Chalet Sports
モデル名:Chalet-COZ rev.0 DROP
価格:19万2500(税込)
重量:9.7kg
タイヤサイズ:20×1-1/8(451)
タイヤ幅(実測値):27.6mm
タイヤ銘柄:SCHWALBE ONE
変速:2×10
フロント歯数:53/39T
リア歯数:11-25T
フレーム素材:アルミ
ブレーキ種類:ディスク
ハンドル幅(実測値):425mm
クランク長:170mm
F/Rディレイラー:SHIMANO Tiagra

問:テック・ワン
http://www.caracle.co.jp/

◎Chalet Sports Chalet-COZ rev.0 DROP乗車姿勢の違い

前傾姿勢になる高速モデルだが、フレームはワンサイズ展開。180cm超の人ではサドルを一番上まで上げても足が伸びない。150cm台では「リーチは問題ないが、ハンドル幅がやや広く感じる」とのこと。体格に合わせたパーツ変更を。


石井美穂さん


編集:トライジェット


サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

◎インプレッション



石井美穂さん

カーボンフォークのおかげか、嫌な振動が手に残らない印象です。小径車のドロップハンドルは基本「遠い」ので、小柄な人はシートを前に出す、ステムを短いものに変えるなど工夫が必要。

また手の小さい女性ではレバーに指がかかりづらいことに加え、ディスクブレーキが機械式(ワイヤー引き)。ブレーキが効くところまでレバーを握り込むのにかなり力がいるので、ちょっとお金をかけて105の油圧ディスクブレーキに換装することをお勧めします。



編集:トライジェット

フレームのデザインから硬い乗り味を想像しがちですが、実際に試乗してみると路面の細かなギャップでも不快な突き上げや振動を感じることはありません。レーシングライクなルックスながら、日常のパートナーにもなりうるマルチパーパス的キャラクターを持ち合わせています。

が、やはり〈小径車最速〉と名高いカラクルコージー譲りの俊敏さこそ本モデル最大の魅力。乗り手に自制心さえ求められる、走り重視派にオススメの1台と言えます。



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

私の場合、試乗車のパーツ構成だと、シートポストを最大限高くしても少し足りないように感じました。体格に合わせたパーツを選ぶことで、より快適に乗れるようになると思います。

車体の軽さと硬さ、ホイールの回転性能も相まって、ペダリングに対する反応が非常によく、気持ちいい加速感が味わえました。スピード維持のしやすさに加え、ディスクブレーキ搭載のため、高い走行性能をしっかりコントロールできることも好印象です。

 

DAHON K3

ダホン K3(限定カラー)

ちゃんと走る。ポジションも自由度高し

7kg台の車体に3段ギアを備えた14インチの折りたたみモデル。今回の試乗車は限定カラーのアーミー/ブラックで、ほかにブラウン/ブラックとマットブラックのリミテッドデザインが用意されている。

ワンサイズで対応するポジションの幅広さ、走りの安定性などは見た目を裏切る高評価。ただし軽さと小ささによってトレードオフになるものも。身長や体重がある人ほど、使い方や点検に配慮が必要になるようだ。

ブランド名:DAHON
モデル名:K3( 限定カラー)
価格:10万5600円(税込)
重量:8.5kg
タイヤサイズ:14x1.35
タイヤ幅(実測値):33.0mm
タイヤ銘柄:CST C1653
変速:1×3
フロント歯数:53T
リア歯数:9/13/17T
フレーム素材:アルミ
ブレーキ種類:Vブレーキ
ハンドル幅(実測値):550mm
クランク長:170mm
F/Rディレイラー:Dahon

問:アキボウ
https://www.dahon.jp/

◎DAHON K3乗車姿勢の違い

今回試乗した7台ではもっとも軽い14インチモデルだが、車体サイズのわりにホイールベースが長い設計になっているため、どの体格でも無理のない乗車ポジションになっている。小柄な人も含め、全員が自然に乗れると答えた1台。



石井美穂さん



編集:トライジェット


サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

◎インプレッション



石井美穂さん

ただ軽いだけではなく、小ささに見合った軽さでバランスがいい。ハンドルの遠さや高さも気になりません。ハンドル幅もほどよく、まっすぐ走るし、オリジナルの変速レバーもしっかり操作できる。

このスピード域ならVブレーキで不足はないし、むしろレバーが軽いので、力の弱い女性もしっかりブレーキをかけられて安全面も◎。アウトドア感のあるカラーなので、キャンプに連れていくのもよさそう。広いキャンプ場だと移動に便利だろうなと思います。



編集:トライジェット

当方の体格に不思議なくらいフィットするサイズ感ゆえ、逆に「小柄な人や大柄な人はスイートスポットにハマりにくいのでは?」と不安に思ってしまうほど。

乗って軽く、担いで軽く、輪行を利用した自走距離が20キロを超えるようなサイクリングに出かけるのであれば、本モデルに勝る車種は存在しません。最大の問題点はあまりに軽快に走れてしまうこと。長距離走行を頻繁におこなうと当然、14インチホイールは短期間で消耗してしまうので、ご留意を。



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

シートポストがかなり高く出せるので、膝の伸び具合も無理なく調整できました。ホイールベースが長く、ハンドルとサドルの距離もしっかり取られており、直進時の安定感も問題ありません。

車体の軽さは気持ちいい加速に貢献する反面、私の体格だと、コーナリングでのグリップ力低下を感じます。乗車時の重心も高くなりがちなので、この点は注意が必要です。また、軽い車体は繊細なので、体格や体重を考慮しながらの試乗や定期メンテナンスを推奨します。

 

iruka iruka C

イルカ イルカC

デザイン同様、乗り味の個性も愛せる人に

ブランドのデビューは2019年。個性的なデザインが目を奪う、折りたたみ自転車のニューカマー。リラックスポジションに内装5段変速を搭載したイルカCは、街を快適に走ることにこだわったモデルだ。

スリットが入った「ジャックナイフフレーム」や片持ちフォークなど。さまざまな独自設計はコンパクトな収納形態を実現するためのものだが、乗り味にも大きく影響する。果たしてライダーたちの評価は。

ブランド名:iruka
モデル名:iruka C
価格:19万9800(税込)
重量:12.1kg(付属物除く)
タイヤサイズ:18 x 1.50
タイヤ幅(実測値):33.1mm
タイヤ銘柄:GMD irukaオリジナル
変速:1×5
フロント歯数:40T
リア歯数:22T
フレーム素材:アルミ
ブレーキ種類:ディスク
ハンドル幅(実測値):520mm
クランク長:170mm
F/Rディレイラー:SHIMANO Nexus

問:イルカ
https://www.iruka.tokyo/

◎iruka iruka C乗車姿勢の違い

街乗りをメインコンセプトにしたモデル。気軽なアップライトポジションでハンドル幅も広めだ。150cm台でも安定感があるが、リーチはやや遠い印象だとのこと。180cm台でもシートポストを上げ切っておらず、全体のサイズ感はゆったりめ。



石井美穂さん



編集:トライジェット



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

◎インプレッション



石井美穂さん

フレームの柔らかいアールがエレガント。バイクサイズは大きめですが、ハンドル幅がゆったりしていて安定感があります。慣れれば気にならなくなりそうですが、接合部の多さから、相応のしなりを感じます。

グリップ操作の変速は内装5 段。女性の脚力でも軽やかに坂を駆け上がれるギアが選択できます。ただしこの内装ギアが、バイクを持ったときや向きを変えるときにちょっと重く感じます。「人と違う、だがそれがいい。」っていうバイクですね。



編集:トライジェット

〈シティコミューター〉という明確なコンセプト通り、硬すぎず、ユルすぎない乗り味で、車体剛性から各部パーツの操作性に至るまで、中低速域での使い勝手を考慮した設計&アッセンブルに好感が持てます。

足に力を込めてペダルを踏み込むような乗り方はNG。ギアを少し軽めに感じるくらいのポジションにセットして足をクルクルと回してみれば、スーッと速度が上がっていきます。停車時にギアを切り替えられる内装変速の搭載にも納得できました。



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

走行中にメインフレームの空洞から見る路面はとても新鮮です。以前は路面が濡れていると、水滴が空洞を抜けて上がってくることが難点でしたが、純正フェンダーが発売されて対策されました。

低速走行時の操作性は非常に良好で、片持ちフォークもストレスを感じさせない剛性があります。ただ私の体格で、ステムとシートポストを伸ばして走行すると、スピードが乗るにつれて剛性の不足を感じます。ブランド独自の世界観がマッチする方にお勧めします。

 

Manhattan M451SD

マンハッタン M451SD

「鉄らしさ」あふれる、プレーンなクロモリロード

今回、唯一のクロモリバイク。複数のサイズ展開があるのも本車種のみだった。フラットマウントのディスクブレーキと鉄フレームを組み合わせた新旧一体の構成。乗り味に素材のよさを感じさせる正統派のフレームは、ライダーたちにも好評だった。ただしノーマルのパーツ構成では、体格によって気になるポイントも。オーソドックスなフレームを生かしたカスタムベースとしてのポテンシャルも高そうだ。

ブランド名:Manhattan
モデル名:M451SD
価格:13万2000(税込)
重量:11.2kg( 460)、11.5kg( 510)
タイヤサイズ:20×1.1(451)
タイヤ幅(実測値):30.3mm
タイヤ銘柄:MAXXIS torch
変速:2×8
フロント歯数:52/39T
リア歯数:11-30T
フレーム素材:クロモリ
ブレーキ種類:ディスク
ハンドル幅(実測値):420mm
クランク長:170mm
F/Rディレイラー:SHIMANO Claris

問:ケイ・エイチ・エス・ジャパン
https://www.khsjapan.com/

◎Manhattan M451SD乗車姿勢の違い

460(適応身長150~165cm)と510(適応身長165~180cm)の2サイズ展開に従い、試乗車も双方を用意。フレームサイズは合っていたが、ブレーキレバーなど、ドロップハンドルゆえのパーツ構成は手の小さい人には調整が必要か。



石井美穂さん



編集:トライジェット



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

◎インプレッション



石井美穂さん

ホリゾンタルフレームが美しく、「自転車らしい自転車」の佇まい。乗り心地は思った以上によかったです。鉄らしいしなやかさを十分に感じ取れる乗り味にちょっと感動しましたーーが、ブレーキやステムなど、パーツチョイスは小柄な女性向けではありません。

ドロップハンドルにこだわらないなら、ハンドルをストレートにするのもいいかも知れません。フレームはとてもいいので、どんどんカスタムして自分に合ったバイクに仕上げるのが楽しそう。



編集:トライジェット

ひと言で形容するのであれば「ずっと乗っていたくなる」に尽きます。その肝となるのがクロモリチューブの特性を活かしたフレーム設計。入力に対して適度な反発が得られ、リズミカルにペダルを回し続けることができました。

車体の操作感についてもフルサイズフォークの恩恵か、20インチホイールであることを意識させない安定感があり、小径車に抵抗感を持つ人にも受け入れてもらえそうです。乗ればわかるこの気持ちよさ、体感して頂きたい!



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

クロモリらしい細身フレームで、親しみやすい印象です。510mmサイズでは、私の体格でも快適な乗車姿勢を取ることができました。ディスクブレーキを装備しているので、悪天候や悪路面に対しても強気で臨める安心感があります。

お好みでタイヤを少し太くして、クッション性やグリップ力を高めてもよさそうです。ホイールもタフで高コスパ。10万円台前半でシマノ・クラリスを搭載しており、エントリーモデルとして申し分ない1台だと思います。

 

Pacific cycles birdy CLASSIC EVO

パシフィックサイクルズ バーディー クラシック エヴォ

タイヤもハンドルも、カスタムの幅もワイドに

エアボリュームのあるタイヤとディスクブレーキを備えた、「クラシック」の新たなスタイル。上下・前後にポジションを変更可能なアジャスタブルステムの採用により、パーツを追加することなく身長や好みに合わせて自由なセッティングを行えるのも大きな魅力だ。

ノーマルの「クラシック」と比べ、幅の広いハンドルが採用されているため、オフロードだけでなく街乗りでも安定感ある走りを実現する。

ブランド名:Pacifi c cycles
モデル名:birdy CLASSIC EVO
価格:31万3500(税込)
重量:11.4kg
タイヤサイズ:18×2.0
タイヤ幅(実測値):45.8mm
タイヤ銘柄:SCHWALBE BILLY BONKERS
変速:1×10
フロント歯数:52T
リア歯数:11-32T
フレーム素材:アルミ
ブレーキ種類:ディスク
ハンドル幅(実測値):600mm
クランク長:170mm
F/Rディレイラー:SHIMANO Tiagra

問:パシフィックサイクルズジャパン
http://pacific-cycles-japan.com/

◎Pacifi c cycles birdy CLASSIC EVO乗車姿勢の違い

ステムとシートポストの取り付け位置を変更することで大幅なポジション変更が可能。170cm台と180cm台のふたりとはセッティングを変えたことで、150cm台の石井さんも無理のない快適な乗車姿勢を実現することができた。



石井美穂さん



編集:トライジェット



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

◎インプレッション



石井美穂さん

初期設定だととにかく「遠い」のですが、ひと手間であらびっくり。①シートポストの向きを前後逆にし、サドルを一番前へ。②ステムを前後逆向きに。パーツ交換不要で激変する設計の妙を見せてもらいました。

剛性あり、振動吸収よし、よく走る。シマノ・ティアグラのレバーは軽くてしっかり変速するし、女性の脚力でもちゃんと登れます。ただ、機械式ディスクブレーキのレバーの引きが重いのが難点。パーツ交換や調整を検討したい部分です。



編集:トライジェット

そのシルエットから骨太なイメージを抱かせる「クラシック」ですが、乗り味もまさしく骨太。「フレーム単体の話であれば、オフロード走行への適応力はGT以上?」などと空想していたら、グラベル仕様のEVO が本当に登場しちゃいました(汗)。

MTBさながらのパーツアッセンブルにより、大きなアクションに対する安心感が大幅に増量。市街地での安全性を高めるとともに「ダートを経由する輪行サイクリングを楽しみたい」という夢を叶えてくれます。



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

そのシルエットから骨太なイメージを抱かせる「クラシック」ですが、乗り味もまさしく骨太。「フレーム単体の話であれば、オフロード走行への適応力はGT以上?」などと空想していたら、グラベル仕様のEVO が本当に登場しちゃいました(汗)。

MTBさながらのパーツアッセンブルにより、大きなアクションに対する安心感が大幅に増量。市街地での安全性を高めるとともに「ダートを経由する輪行サイクリングを楽しみたい」という夢を叶えてくれます。

 

Pacific cycles CARRYME

パシフィックサイクルズ キャリーミー

親しみやすさ抜群 唯一無二のポータブルな8インチ

8インチの極小ホイールを装備した個性派フォールディングバイク。その愛らしさとポータビリティから熱烈なファンも多い。巡航速度は決して高くないが、その分ポタリング向きな自転車といえる。

設計上、大柄な人ほど後輪の真上にサドルがあるようなポジションとなり不安定に感じやすい部分はあるが、乗り慣れれば問題はなさそうだ。重量8.6kgと軽量で、持ち運びしやすい折りたたみ形状もポイントだ。

ブランド名:Pacifi c cycles
モデル名:CARRYME
価格:12万6500(税込)/エアタイヤ
重量:8.6kg
タイヤサイズ:8×1-1/4
タイヤ幅(実測値):33.2mm
タイヤ銘柄:CST
変速:1×1
フロント歯数:84T
リア歯数:14T
フレーム素材:アルミ
ブレーキ種類:F:キャリパー、R:ドラム
ハンドル幅(実測値):455mm
クランク長:160mm
F/Rディレイラー:―

問:パシフィックサイクルズジャパン
http://pacific-cycles-japan.com/

◎Pacifi c cycles CARRYME乗車姿勢の違い

ミニマム設計で小柄な人でも無理のないポジションが叶う一方、大柄な人ではシートポストを一番上まで出しても膝が伸びない。体格のいい人ほど乗車姿勢がきゅうくつになるが、ハンドル位置を低めにすることで重心が下がり安定しやすい。



石井美穂さん



編集:トライジェット



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

◎インプレッション



石井美穂さん

「乗れる雑貨」と呼びたくなるポップなルックス。たためばA4サイズに直立する小ささは、もちろん小柄な人も無理なく乗れます。キャリーミーも長く展開される長寿モデルになってきて、各部のリファインが感じられました。

精緻とまではいかずとも、年々細部がカチッとしてきていると思います。変速は潔く1速。歩くように走り、登り坂は……勾配2%までは乗る。3%は降りて押す、というのもいいじゃない。そういう気分でいかがでしょうか。



編集:トライジェット

個人的にも長年所有し続けているお気に入りの1台です。8インチタイヤの極小径車という振り切った設定ゆえ、使用条件は相応に限定されます。しかし、自走距離が10キロ程度、時速10 ~ 15キロの範疇であれば「これほど笑顔になれる自転車は存在しない!」そう断言できます。

高速巡航は不可能、小さな段差も常に注意、タイヤの慣性に頼れない(=疲れる)などなど、弱点だらけの自転車ですが、それらを一蹴する魅力を持ち合わせています。



サイクルハウスしぶや:高橋 航さん

私の体格ではシートポストを最高点にしても膝が伸び切らず、若干の余裕がありました。溝や段差にも注意が必要ですが、無理に上半身を起こすことで後輪に荷重が集中し、ウイリーのようにめくれやすくなって危険です。

軽く前傾した自然なポジションを探り、キャリーミーらしい操作感に慣れていけば、見た目以上の走行距離も可能になるでしょう。徹底した輪行と持ち運びへの適性はすばらしく、これから輪行を始めようと考える人にお勧めです。

 

写真:奥村純一、村瀬達矢/文:鈴木絢子

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