知っているようで実は知らない いまさら聞けないMTB基礎講座 第2回 〜ブレーキ編〜

さまざまなテクノロジーを1台のスポーツ自転車に凝縮したメカニズムの集合体、それがMTB。普段、なにげなく乗っているMTBですが、操作方法ひとつとってみてもよくよく考えてみると、ちょっと自信がない……そんな貴方をこっそりサポートするこちらのコーナー。第2回はブレーキをテーマに取り上げてみます。

第1回 変速編はこちら

コントロール性も安全性もすべてはブレーキ操作次第

MTB初心者のみならず、自転車に乗っているすべての人に関わりのあるパーツ、それがブレーキ。車輪さえ回れば走り出すことはできます。でも、ブレーキがなければ当然、止まることができません。

つまり、安全性を担保する上で、命を守る上で、最も重要なパーツといえます。また、MTBに乗る人にとっては車体をコントロールするために、バイクを操る楽しさを追求するために欠かせないパーツでもあるのです。

「上手にブレーキを操作するための必須条件、それがブレーキレバーの位置調整です。ブレーキレバーが適正な位置に固定されていなければ、スムーズに操作できませんから。完成車の中には、ブレーキレバーの操作がしづらい位置に取り付けられているものもあるので、その場合は、取り付け位置を見直す必要があります。また、ブレーキのアップグレードを考えている方は、なるべくセッティングしやすいアイテムを選んでください」とタスサイクルの福田さん。まずは愛車の状態からチェックしていきましょう。

アナタはこんな乗り方していませんか? ブレーキ操作関連NG集

「まさか、そんなことするわけない」と顔は笑いながらも、心の中では「え? なんでなんで?」とドキドキしている貴方。正しい操作方法を覚えましょう!

前後ブレーキを意識せずに操作している

初心者向けの自転車教室では「ブレーキレバーは左右均等に握る」と教えられます。それ自体は間違っていませんが、路面に起伏のある未舗装路を走るMTBの場合、前後ブレーキの効き方をそれぞれ把握しておくことが大切です。

特に初心者にとって未舗装路で前ブレーキをロックさせることは、前転などの大きな転倒に繋がります。操作に慣れるまでは前後ブレーキの効き方を意識し、ロックさせないよう注意しましょう。

4本指でブレーキレバーを握っている

近年は初級グレードのMTBにも、制動力が高く軽い力でレバーを引ける油圧式ディスクブレーキが採用されています。

そのため、中級グレード以上のモデルなら1~2本指で十分ブレーキレバーの操作が可能です。人差し指1本でブレーキを操作できれば、残りのすべての指でしっかりとハンドル(グリップ)を握ることができ、安定感が格段に高まるのです。

ブレーキレバーは正しく取り付けられている?
ブレーキレバーとグリップの位置関係、ブレーキレバーとシフターの位置関係が適正化されていないと、ハンドル操作や変速操作に支障をきたすことも。またブレーキレバーとグリップの距離が近すぎると操作時に指を巻き込むような動きとなり、微細なブレーキ操作ができない上、指を怪我する原因にもなりかねません。取り付けの調整幅はブレーキレバーによって異なるため、まずは専門ショップのスタッフに相談しましょう。

ブレーキレバーのリーチは、人差し指の腹(第一関節より先の部分)がレバーにかかるくらいがベスト。レバーが近すぎると指を巻き込む形になり、怪我を負う恐れがあるので要注意。

MTBから降りた状態でブレーキレバーに手をかけても、乗った状態の腕の角度とは異なるため、正しい取り付け位置は把握できない。ハンドルまわりのセットアップは必ずMTBに跨った状態でおこなうべし。

トレイルライドで役立つ ブレーキテクニックを習得する練習メニュー

もっとスムーズに、もっと美しくトレイルを駆け抜けるために、ここでは自然とブレーキ操作が身につく、福田さんオススメの練習方法をご紹介。目指せ、ワンランク上の走り!

フロントブレーキを操作する感覚を身につける

リアブレーキは一切使わず、アスファルトの平らな場所でフロントブレーキのみの使用で止まる練習方法。速度をゆっくり歩くくらいまで落として、後輪が地面から離れる姿勢(ジャックナイフ)をわざと作る。いきなり強く握ると前転するリスクあり。操作は少しずつ慎重に。

左右のペダルの高さをそろえて惰性で走行。ブレーキレバーをちょんちょんと握り、MTBがつんのめる感覚を走りながら覚える。

ブレーキレバーを軽く握って前輪をロック、ワンアクションでバイクを停車させる。まだ後輪は地面についたままでOK。もしも後輪が急激に持ち上がったらハンドルを押しつつ、すぐにブレーキを解除する。

ブレーキレバーをやや強めに握って前輪をロック、後輪が浮き上がる感覚を身につける。地面から離れる距離は数センチで十分。高く上がりすぎたと感じたらハンドルを思いっきり押して、お尻を後輪側に移動させれば、安全かつボディアクションも身につけられる。

リアブレーキを操作する感覚を身につける

あえてフロントブレーキは使わず、アスファルトの下り坂をリアブレーキのみの使用で下る練習方法。速度をかけ足くらいまで落として、足を止めた状態(惰性)で下りながら、ブレーキが効きはじめるポイントからロックするポイントまで、状態の変化を確認する。

リアブレーキが効きはじめるポイントを把握する練習。遊び分のみブレーキレバーを動かし、速度の上昇が止まるポイントを覚える。

ブレーキをあまがけした感覚を覚える練習。リアブレーキが効きはじめるポイントから軽くレバーを握ってバイクの速度をキープ。

ブレーキがロックした感覚を掴む練習。ブレーキレバーを思い切り握って後輪を滑らせる。どのくらいの力でロックするかを把握する。

独自のテクノロジーでシーンの未来を切り開くシマノのブレーキ系コンポーネントはここがスゴイ

シマノのコンポーネント群には、数多くの先進テクノロジーが採用されています。ここでは、優れた制動力とコントロール性能を両立させる、そのテクノロジーひとつひとつをチェック!

ICE TECHNOLOGIES
アイステクノロジー

ディスクブレーキローターとパッドの両方に冷却効果を高めるアイステクノロジーを採用することで、安定したブレーキングパフォーマンスを実現。ブレーキノイズを軽減し、パッドを長持ちさせる。

採用グレード:XTR、DEORE XT、SLX、DEORE、SAINT、ZEE

「フィンつきパッドが◎長い下りでも安心!」

ICE TECHNOLOGIES FREEZA
アイステクノロジー フリーザ

ステンレススチール+アルミ+ステンレススチールという軽量で高性能な3層サンドイッチ構造のフリーザディスクブレーキローターを採用することですばやく放熱。過酷な条件下で制動性能を維持する。

採用グレード:XTR、DEORE XT、SLX、DEORE、SAINT、ZEE

「ハードに使っても制動力が落ちない!」

I-SPEC EV
アイスペックEV

ブレーキレバーとシフターを一体化させることで、ハンドルまわりをスッキリまとめられる機能。ブレーキクランプとは別にハンドルとの接触点を追加することで、ブレーキレバーの剛性も高めた。

採用グレード:XTR、DEORE XT、SLX、DEORE

「レバーがよじれないので剛性感が抜群!」

ONE WAY BLEEDING
ワンウェイブリーディング

ブレーキオイルのルートを合理化することでブレーキへの空気の混入を防止し、素早く簡単にブリーディングがおこなえるシマノ独自のシステム。わずらわしいブレーキのエア噛みを排除できる。

採用グレード:XTR、DEORE XT、SLX、DEORE、ALTUS、SAINT、ZEE

「エアが混入しにくくメンテ性が抜群!」

SERVOWAVE ACTION
サーボウェーブ アクション

シマノの油圧式ディスクブレーキに採用される独自の機構。パッドがローターに当たるまでは素早く動き、制動開始後はレバー比が変化して、強大かつコントローラブルなブレーキ力を生み出す。

採用グレード:XTR、DEORE XT、SLX、DEORE、SAINT、ZEE

「ひとさし指1本の軽い操作でしっかり効く!」

問:シマノ自転車お客様相談窓口
tel 0570-031961
https://bike.shimano.com/

イラスト:田中 斉

取材協力

タスサイクル
店長:福田さん

遊び方やテクニックのレクチャーからバイク選び&メンテナンス、カスタムについてのノウハウまで、MTBのことならなんでもおまかせ。マウンテンバイカーにとっての頼もしいサポーターです。


TAS CYCLE

茨城県つくば市東新井38-6
tel 029-896-8253
営業時間:13:00~20:00
定休日:不定休(スケジュールカレンダーにて確認)
http://www.taspark.com/

 

 

-OTHER, 連載
-, ,