いまさら聞けない自転車の基本をコッソリおさらい|チリンチリン基礎講座「カスタムにまつわるあれこれ」その4

ここ数回、カスタムにまつわる話をさせて頂きましたが、そもそもカスタムする目的ってどこにあるのでしょうか?今回は各部位ごとに細かく分けてそこら辺の話を少々。

【カスタムの基礎知識 PART4】カスタムする意味

カスタムすると自転車はどう変わる? 自転車に乗り始めたばかりの人には、あまりピンとこないかも知れません。カスタムには大きく分けてふたつの意味合いがあります。

ひとつは「赤いパーツをどこかに取り付けたい」とか「レトロっぽい雰囲気を出したい」など、見た目を前提としたカスタム。もうひとつが操作性や快適性など、走行性能を向上させるためにおこなう機能面のカスタム。見た目のカスタムの方は、自転車の知識を特別持っていない人でもイメージはつくと思います。

そこでここでは、パーツのカラーやグラフィック、走りに影響しないデザインなど、各自のセンスによって異なる“好み”云々の話は置いておいて、パーツを交換することでライディング時にどんなメリットが得られるのか? といった、機能面についてチェックしていくことにします。
 

ハンドルバー


ハンドルバーは前輪の舵を取る部位。自転車のタイプに合わせてドロップバー、フラットバーなどさまざまな形状のものがあります。

ハンドルバーを交換する最大の意味は、自転車を自分の体格や好みの乗車ポジションに合わせること。完成車はロードバイクやMTBでも数サイズ、小径車では1サイズのものも少なくありません。

つまり、購入した自転車が必ずしも自分にとってベストなサイズであるとは限らないのです。厳密にポジションを追求していくのであれば、幅や曲がりの角度など、適正なアイテムに交換する必要があります。

また、軽量化や疲労軽減を目的に軽く、路面からの微振動を和らげる効果のあるカーボン製のアイテムに交換するケースも多く見られます。
 

ステム


ステムはフォークのコラム部分(フレームのヘッドチューブ部分を貫通する上部の支柱)とハンドルバーを繋ぐパーツで、ステムを交換する理由もハンドルバーと同様、体や手の長さに対して、自転車のポジションなどを合わせるため。

ステム自体の長さはもちろん、角度の異なるアイテムをセットすることでハンドルの位置を上げ下げすることも可能です。ステムの中には、角度を動かすことのできる可動式タイプも存在します。

また、軽量化についてもハンドルと同様のことがいえます。ステムを交換する際には、ハンドルバーのクランプ径(ステムに取り付ける部分の太さ)が合致するアイテムを選ばなくてはならないので要注意。
 

ヘッドパーツ

ヘッドセットとも呼ばれ、ハンドルの舵取りをスムーズにおこなうためのパーツ。パーツ自体はベアリングで構成されており、そのベアリングを収納する“椀わん”と呼ばれるパーツ、

蓋になる部分の上側の玉押し、フォークのコラム下部に固定する玉押し(ベースプレート)と呼ばれるパーツを含めて、「ヘッドパーツ」といいます。

ベアリングの精度が高いほどハンドル操作がスムーズになります。精度の高いヘッドパーツは高額で、クリスキングなどがその代表に挙げられます。

従来は椀をフレームのヘッドチューブに圧入するタイプが主流でしたが、近年はヘッドチューブ自体が椀の役目を果たす“インテグラル”タイプが多く見られるようになりました。
 

ワイヤー各種


ワイヤーまたはケーブルと呼ばれるパーツは、カスタムの視点では比較的軽視されがち。しかし、定期的に交換する消耗品というだけでなく、上級アイテムに交換することで各操作性が向上することも多々あります。

使用されるのはブレーキワイヤー、シフトワイヤーが主で、それぞれアウターケーブルと呼ばれる外側のチューブ状のケーブル、インナーワイヤーと呼ばれる金属の糸を束ねたワイヤーを使用します。

アウターケーブルの内部をインナーワイヤーが通るために当然、内部には摩擦抵抗が発生するわけですが、上級アイテムほどこの摩擦の抵抗が少なく、より軽快にブレーキ操作および変速操作をおこなうことが可能です。
 

ブレーキ装置


ブレーキはタイプを問わず、本体、シュー(パッド)、レバーの3点とブレーキワイヤーによって構成されています。ブレーキを交換する目的は基本的に制動力のアップ。

これに大きく影響するのはシューの部分で、リムブレーキの場合はこのシューがホイールのリム部分を挟むことで制動力を得る仕組みになっているため(ディスクブレーキの場合は、ローターと呼ばれる金属の円盤状パーツをパッドで挟む)、このシューの素材が重要です。制動力を優先するか、ロングライフを優先するかなど、目的に応じたアイテムを選択します。

またレバーや本体の剛性も操作感に影響するため、剛性が高く軽量なアイテムは総じて高価になります。
 

変速装置

本来はチェーンリングやコグといったギア系パーツも含めますが、ここではシフターとディレイラーを中心に考えます。ディレイラーはチェーンを狙ったギアの歯にかけ変えるためのパーツで、その操作をおこなうパーツが手元に取り付けるシフターです。

上位グレードになるほど変速段数が多いため、カスタムの目的としては段数アップが一般的。同じ段数の場合、軽量化以外にカスタムの目的が見えにくい部位ですが、フィーリングの善し悪しとでも言いましょうか。

上級グレードのアイテムになるほど、カッチリかつ滑らかな操作感で確実な変速性能が得られるようになります。これらは部品の精度やレバーの剛性が影響しています。
 

クランク

ペダルを取り付けるアーム状のパーツですが、多くは“クランクセット”としてクランク本体、チェーンリング、ボトムブラケット(BB)がセットで販売されています。

クランク本体についてですが、こちらを交換する目的はポジションの調整と軽量化。完成車に装着されているクランクの長さは170mmが大半ですが、一般に“クランク長は身長の10分の1が適正”と言われます。

背の高い人や小柄な人であればクランク長の異なるアイテムに交換することで、さらに自分の体格に合った1台になるでしょう。

また自分のライディングスタイルとしてあえて、長めのものや短めのものを選ぶ人もいます。大きい部位なだけに軽量化の効果は狙えます。
 

ギア板

前回取り上げたチェーンリングとコグについてですが、これらはギア比の調整と軽量化がカスタムする主な目的で、完成車の状態から「坂道でもう少し軽いギアが欲しい」「もっと巡航速度を上げたい」など、それぞれ体力や乗り方に合わせたギア比を得るために交換します。

変速段数アップを考えて変速装置(シフター&ディレイラー)を交換する場合は当然、合致するギア板枚数のカセットへ交換する必要があり、チェーンリング側も適正なアイテムに交換しなくてはならないケースが出てきます。

真円形状以外に楕円形状のチェーンリングも存在し、ペダリング効率の向上を狙ってそれらのアイテムを選ぶユーザーも増えています。
 

ボトムブラケット

ボトムブラケット(BB)はクランクを効率よく回転させるためのパーツで、フレーム最下部のシェル(ハンガー)に取り付けます。

ヘッドパーツと同様、両端にベアリングが収納されているのが特徴で、ベアリング自体とカップの精度の高さが回転効率と価格に大きく影響してきます。

カスタムする際に注意しなくてはならないのが、このボトムブラケットの規格がヘッドパーツ以上に乱立していること。

従来のクロモリやアルミのフレームは比較的シンプルですが、特にカーボンフレームのロードバイクの場合、フレームメーカー独自の規格まで存在するために社外パーツの選択肢が少ないなど、カスタム自体が厳しいケースもあります。
 

チェーン

前側のギア板と後ろ側のギア板を繋いで車輪に駆動力を発生させる自転車の要となるパーツですが、ブレーキや変速のワイヤー類と同様に単なる消耗品として捉えられがち。

ですが実はこのチェーン、例えばシマノひとつとっても複数のグレードが存在しているほど、カスタムには欠かせないアイテムなのです。チェーンは金属の板を繋ぎ合わせたパーツであるため、当然可動時に摩擦が発生します。

この摩擦抵抗を少なくする技術に各コンポーネントメーカーは尽力しており、上位グレードになればなるほど精度が高く、まるで鞭のごとくしなやかに可動します。

チェーンを交換する際には厚歯には専用のものを、薄歯はそれぞれ変速段数に合致したアイテムを使用します。
 

ホイール

ホイールはタイヤ、チューブを除いた車輪部分で、カスタムについては完組みホイール(ホイールとして組み上げられた状態)で交換するケースと、リムやハブなどホイールの一部をアップグレードする方法があります。

ホイールをカスタムする目的はいくつかありますが、やはりメインは軽量化です。特に車輪部分の軽量化は実感しやすく、大きな意味のあるカスタムといえます。

つぎに回転性能の向上が挙げられ、ハブ部分にはヘッドパーツやボトムブラケットと同様にベアリングが使用されているため、ハブの精度が上がればハイスピードを維持しやすくなります。MTBでは剛性アップを目的にホイールをカスタムするケースもあります。
 

タイヤ

タイヤも消耗品のひとつのように思われますが、タイヤ交換ひとつで走りが大きく変わるケースはよく見られます。

タイヤは一般的に細めのアイテムを装着するほど抵抗が減って走りが軽くなり、逆に太めのアイテムを装着するほど快適性が増す(チューブ内の空気の量が増えることでクッション性が高くなるため)と考えられています。ゆえに自分の自転車や走り方のスタイルに合わせてサイズを選ぶことが大切です。

またタイヤのトレッド部分(地面と接する部分)にはさまざまなパターンと素材が採用されていて、グリップ性能を高めたもの、ロングライフを重視したものなど、こちらも使用目的に合わせて選び方を考える必要があります。
 

サドル

カスタムするポイントとしては、価格的にも交換する難易度から見ても、比較的初心者が手を出しやすい部位のひとつ。ですが、実際に自分のお尻にフィットするアイテムを選ぶのは難しく、フィッティングに苦労する部位でもあります。

カスタムの目的としてはお尻の痛みや痺れを解消するのが第一ですが、軽量化を優先してチタンやカーボンレールのアイテムなどを選ぶ人も少なくありません。

事前に骨盤の形や荷重のかかるポイントを測定し(ショップにて専用の器具を使用して計測)、その人に適した形状のサドルを薦めてくれるメーカーもあるので、なかなか自分にフィットするサドルが見つけられない場合は、それらを利用してみるのもよいでしょう。
 

シートポスト

シートポスト(※シートピラーとも呼ばれる)のカスタムについては、大半が軽量化目的と考えて間違いないでしょう。

ただし、交換の際に注意が必要な部分でもあります。近年はカーボン製のシートポストが数多くリリースされていますが、クランプの締め付けトルクを正確に管理しないと、せっかく交換したシートポストを壊しかねません。

トルクレンチを使用して、規定値通りにセットする注意が必要です。もちろん、フレーム側のシートチューブ内径に合ったアイテムを選ぶのは大前提。

また形状についてはストレートタイプ、セットバックタイプなどの違いがあり、乗車ポジション合わせのためにシートポストを交換するケースも見られます。

 
文:トライジェット
『自転車日和』vol.34(2014年11月発売)より抜粋、一部修正

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