愛着のあるMTBだから 長く乗り続けたい Part.2

お気に入りの相棒だから現役期間を続けさせたい

新採用されたフローティングアクスルは、ホイール取り付け面の幅をフロントハブのアクスル長と一致させる機構。インナーチューブとアウターレッグに一切のゆがみが生じないため、全域においてスムーズなストロークを実現する。

2021モデルが続々とローンチされる昨今、最新規格で武装されたMTBについ目を奪われがち。

しかし、思い入れのある愛車であれば、長く乗り続けたいという願望を抱くのは、ごく当たり前の事です。

そこで前号に引き続き、オーナーの思い出と愛情がタップリ詰まったデューンに対して、現役続行のためのカスタムを実施することにしました。

もちろん延命処置などではありません。飛躍的なアップグレードを目指す内容です。

タイヤやブレーキパッドほど短期間で消耗するパーツではありませんが、使用頻度が高ければ、サスペンションだって各部は消耗していきます。

使用期間が2~3年であればオーバーホールに対応するところですが、ブースト規格が標準化しつつある昨今、思い切って最新アイテムに入れ替えてしまうという方法もあるのではないでしょうか?

これまで使用してきたノンブーストのフォークは完成車状態で購入した車体に半年遅れで投入したもの。

4年以上経過していれば当然、サスペンションフォークのテクノロジーも進化を遂げています。

そして、このタイミングであのFOXが、追加設定された38シリーズ&36シリーズに、フローティングアクスルやアウターのエアブリードバルブといった、革新的な技術を数多く組み込んできたのですから、これはもう神様が「迷わずいけよ、いけばわk(略)」といっているようなもの。

振り返る必要も、立ち止まる必要もないはずです。

投入したのはコチラのアイテム

2021 FOX 36
FLOAT FACTORY 27.5 GRIP2
HL/CR 110×5QR
(160mmトラベル/ 37mm オフセット)

空気による意図しない圧力上昇を防ぐとともに、オイル循環の役目も果たすロワーレッグチャンネルも設けられた。

ボタンを押すだけでロワーレッグ内に蓄積した圧力を大気圧へと調整できるブリーダーも新たに追加された機能だ。

価格:12万8000 円(税別)

問:マムアンドポップス
http://www.ridefox.jp/

さらなる飛躍を求めて選ぶ
将来性を見据えたアイテム

さて、ここからが本題です。

「そんなこといったって、ブースト化したらホイールはどうすんのよ?」というご意見はあろうかと思います。

もちろん、2021モデルのFOXフォークには100mm幅のアイテムもラインアップされていますし、そちらを選ぶのが普通でしょう。

しかし今回、試してみたかったのは37mmオフセットのオルタネイト仕様。

これまでは一般的な44mmオフセットのフォークを装備していましたが、ここ数年のデューンにはこの37mmオフセットのフォークが使用されていました(2021モデルではスーパーフォクシーにバトンタッチ?)。

2020モデルのデューンは編集部号よりもヘッドアングルが1度ほど寝ていますが、編集部のテストバイクですから、それを踏まえた上でも試さないわけにはいきません。

当たり前ですが、オフセット量が変わればトレール(←山道のトレイルと混同させないためあえて「トレール」と表記)の数値も変わってきます。

ヘッドアングルやリアセンター長を過剰に気にする方もいるようですが、スペックの一部分を切り取ったところでそのバイクの本質にはたどり着けません。

ゆえにトレール値のみでバイクの特性を決めつけるつもりはありませんが、ハンドリングを左右する重要なポイントであることは確か。

今回はあくまで編集部号での比較となりますが、フォークのオフセットが7mm減ることによって、トレール値は概算で8mm増加。

一般論としては直進安定性が増して、ハンドリングがダルくなる方向。果たしてその結果は?(ほかのモデルとも数値の比較ができるよう、下にざっくりと計算した表を記載)。

上がこれまで使用してきたサスペンションフォークのイメージで、下が新たに投入したサスペンションフォークのイメージ。オフセット量が減ったことによる、トレール量の増加がよくわかる。

2021 モデルの36フロートを装着した編集部号。FOX のサスペンションフォークはクラウンの形状でオフセットを変えているため、オフセット量が7mm減ると真横から見た印象がかなり変わりました。

 

車両 タイヤ外径(mm) ヘッドアングル(度) フォークオフセット(mm) トレール(mm)
DUNE 編集部号(2015) 703(27.5×2.35) 66.5 44 105
DUNE 編集部号(2015) 703(27.5×2.35) 66.5 37 113
DUNE(2020) 711(27.5×2.5) 65.5 37 122
SUPER FOXY(2021) 749(29×2.5) 65 44 126
FOXY(2021) 749(29×2.5) 66 44 119
F-PODIUM DC(2021) 741(29×2.35) 66.8 44 111
F-PODIUM(2021) 741(29×2.35) 68 44 102

impression

人間の感覚は意外と馬鹿にできないもので、オフセットが7mm減っただけ(ではない?)で、前輪がかなり手前に寄った印象を受けるのだから不思議。

視覚から脳が受ける影響はなにげに大きく、それだけでもコンパクトに動かせるような錯覚さえ受けてしまいます。

実際に走り出して驚かされるのは、オフセットの話以前に、また見た目以上に、大きく進化を遂げたサスペンションフォーク自体の存在。

はっきりと体感できるレベルでストロークのスムーズさが向上しています。

アウターレッグの剛性が上がっているためか、フローティングアクスルの恩恵によるものか、複数の理由が考えられますが、アウターレッグに対してインナーチューブがすーっと吸い込まれていく感覚は、攻めた走りをしなくても気持ちよく、フォークをアップデートする価値を改めて実感できました。

そしてオルタネイトオフセットについては……懸念していたハンドリング性能の低下らしきものは感じられず、デューンのようなジオメトリーを持つMTBにロード的なロジックは必ずしも当てはまらない、そんなありがたくも予想を裏切られる結果となりました。

しかし、前輪の接地面を把握しやすくなったというべきか、グリップ感が増したというべきか、フロントタイヤの存在感が大きくなったことは間違いありません。

元々、前輪加重をさほど意識することなく、リアステア感覚で大らかに乗らせてもらっていたデューンなので正直、これまで前輪の軌道に対してちょっと不誠実だったと反省しています(笑)。でもこの仕様ならば、もうワンステップ上の走り方にチャレンジしたくなります。

また、コーナーで車体を傾けたとき、わずかな操舵角で以前よりもスッと曲がっていく感じがしたのも、長らくつき合ってきたバイクなだけに、気のせいではなさそうです。

なお、今回は諸般の事情により中速域までのテスト走行でしたが、デューン本来の主戦場たるゲレンデなどでの高速走行では、また違った効果が現れる可能性があります。フォークを一新したおかげで、新たな楽しみが増えちゃいました。

12速化にまつわるもうひとつの提案

前号では、ドライブトレインの12速化に当たり、手間入らずで装着できる前後ホイールセットを用いた足まわりのアップデートを提案しましたが、こだわり派にはそれまで使用していたホイールからリムを流用+マイクロスプライン搭載のハブにて、新たにホイールを組み上げるという選択肢もアリ。

スポーク長の算出&用意ほか、手間さえ惜しまなければコストを抑えて、理想のホイールを手に入れることだって可能!?

SHIMANO DEORE XT

トップ10Tの12速カセットギアに対応するマイクロスプライン規格のフリーボディ。

今回のブースト化に伴い、フロントホイールは以前使用していたM8000シリーズのホイールにM8100シリーズのハブを組み込むことにより対応。

「せっかくだから前後そろえたい!」と勢いでリア側もM8100シリーズのハブにチェンジしちゃいました。

M9100シリーズに採用されたフェイスラチェット機構を持つこちらのアイテム、レスポンスに優れた踏み込み性能はお墨付き。

OLD142mmのアイテムも用意されているので、編集部号のようにひと世代前のMTBにも投入できますよ!
 
価格:
HB-M8110-B/5555 円(税別)
FH-M8110/9286(税別)

問:シマノ自転車お客様相談窓口
https://bike.shimano.com/

写真:村瀬達矢 文:トライジェット
『MTB日和』vol.43(2020年8月発売)より抜粋

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